仲間
なんとか母親を返した翌日。
宮原さんに「大事な話がある。」と言われた俺は、休憩時間に診察室へ向かった。
「おお、来たか。」
部屋に入ると、いつにもまして真剣な表情で資料を読み込んでいた。
近くの空いた椅子に座り、話が始まるのを待った。
「ふーっ...さて、いきなり本題に入るが...」
「はい」
緊迫した空気に、少し言葉が硬くなる。
「おまえは、仲間が欲しいと思ったことはあるか。」
それは、特殊能力について、なのだろうか。
すると宮原さんは、俺の心の中を見透かしたように「あ、能力の話。」と付け加えた。
「...考えたことないかも」
「まあ、そうだよな...。」
しばらくの沈黙。そして、迷った末に口を開く。
「欲しい、かな...。その、別に孤独とかじゃないけど、辛かったのは事実だし、」
また沈黙。
宮原さんは一瞬驚いた表情を見せたあと、柔らかい表情になって、「そうか。」と言った。
「さて、そんなおまえに朗報だ。実は、もしかしたら仲間が見つかるかもしれないんだ。」
「...」
「昔の知り合いに聞いたんだ。いまはライターやってるんだけど、明日はその調査に行く。」
「なるほど」
「連れて行くつもりなんだけど...いいか?」
「行くよ。気になるし。」
すると、ふっと力を抜いて、
「よかった...。早速だが、この資料を渡しておくから、軽く読んでおいてくれ。」
仲間、かあ...。自分でも気づいてなかったけど、寂しかったんだな、俺。
とにかく、今日は明日に備えて早く寝よう。
そんな事を考えながら、資料に手を伸ばした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
頑張って更新してます...。
もう少しすれば一旦落ち着くはずなので、しばしお待ち下さい。
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