拒絶、その果てに
あれは高校生の頃だった。
ある日突然、人の頭上に病名が浮かんで見えるようになった。
知らない病名があっても調べないようにしたり、極力、というか絶対に本人やその他の生徒がいるところでは、病名を口にすることもなかった。
はじめて声に出してしまったのは、親友と登校しているとき。
彼はそれをきっかけに話してくれたけれど、あれ以来、少し距離を感じる場面が増えた。
大学に入って彼とは一切連絡も取らない仲になり、僕の記憶からも消えつつあった。
当初、親戚のすすめで医学部を専攻し、忙しい日々を送っていたのも理由だ。
新しい戦友もでき、ひたすら医学に励んだ。
大学卒業後、父親から病院を引き継ぎ、たくさんの診察を受け持つようになった。
僕の能力は大活躍で、診察の精度が高いと地域でも話題になった時期もあったそうだ。
いまでは、たくさんの人に頼られ、信頼されているけれど、一方で距離を感じる人も少なくはない。
でも、それが宿命なんだと、最近は思えるようになった。
遼太くんにも、いつかそんな日が来てほしいな、と心から思う。
そして、時間はかかるけれど、少しでも心の支えになれたらいいな、と。
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