序章
私とフィーヴィーは、街外れにある家へと向かっている。
祖父の顧客リストの一人。
つまりは、リビングドールの持ち主がそこに住んでいると分かったからだ。
「引っ越し先を知っている人がいて良かったですね、ご主人様」
「そうだね、フィーヴィー。結構昔に街外れに引っ越していたみたいだし、覚えている人が見つからなかったら、分からず終いになって危なかったかも」
持ち主の居場所までは分かった。
けれど、リビングドールを今も所有しているかはわからない。
できたら今も持っているといいんだけど。
「動いているリビングドールがいるといいな。少しでも手がかりが欲しいし」
「はい。私も楽しみです。リビングドール同士が会う機会も珍しいですし」
「そっか、リビングドールのフィーヴィーは同族に会えるのが嬉しいんだね」
人形技師である私ウィル・フォーメンは、リビングドールのフレイムヴィレッジことフィーヴィーと一緒に旅をしている。
旅の目的は、祖父が作成し…そして販売したリビングドールの調査だ。
その為に祖父の残した顧客リストを頼りにして、リビングドールの持ち主を訪ねている。
持ち主を訪ねるにしても一応の名目がある。
五十年の節目に無償のメンテナンスを行うというものだ。
祖父からリビングドールの業務を引き継いだ私がそれを行って、メンテナンスついでに色々調査しちゃおうってわけだ。
そんな、私とフィーヴィーの旅の第一弾についての物語がこちらです。




