107話≫〔修正版〕
よろしくお願いします。
魔術士の男の首に短剣を突き刺した後、
糸のきれた人形のように崩れる体を支え地面に横たえた後、
音も無く次の標的を次々と狩っていく。
周辺の警戒を任せていた5匹の分体の狼もスキルで気配を消しつつ乱入した。
「ひぃぃぃぃぃ!!なんなんだお前はぁぁぁぁぁ!!うッ………」
ニタァ。
1分ほどしてやっと俺の存在に気がつきパニックになっていた最後の騎士を背後から一突きし殺す。
後ろを振り返ると分体の狼に足首を噛みちぎられたリーダーの魔術師が震えながら倒れていた。
俺は分体の狼達にサンドワームの牽制を頼み散開して行ったのを見計らい声をかけた。
「帝国の奴だな?所属と目的を吐け、少しでも怪しい言動があれば…」
ニタァ。
そういい俺は人差し指を上に立てる。
スキル
ー【全属性魔法】ー
発動
火属性下位弾魔法発動
発動キーは唱えず指先に火を灯す。
「お前の指は1本ずつ灰になる」
ニタァ。
「ヒィィィ!!!い、命だけは!」
仮面の効果は抜群なのか、完全に恐怖に陥り混乱しているようだがサンドワームが居る為時間はかけられない
「さっさと吐け、【火の弾】」
魔術師らしき男の親指を灰燼にし、
その後若干ショック死しかけた男、
名前はガラード・バルバードと言うらしい。
帝国に百数人しかいない貴重な貴重な、魔術師だそうだ。
それとやはりと言うべきか、
巫女の予言に乗じて周辺の村を虐殺し占領するつもりだったらしい。
その途中に2回ほど嘘をついていいたみたいなので指も追加で灰にしたが。
「ヴェッ…うゔ…もゔ全部はなじだ…解放じでぐれ…」
既に精神的にはボロボロであり、
足首も噛みちぎられていて逃げる事も出来ないガラードと言う男の首をはねる。
そして俺は。
涙を流さなかった。
「あぁ………………………何も感じない…。」
そして俺もサンドワームとの戦闘に参加する事にした。
この戦闘を無事に切り抜ける事が出来たら溜まったPointの使い道でも考えながら城塞都市に向おう。
かけつけてみると既に5体の分体の狼のうち2匹は食い殺されたようで辺りに血が撒き散らされている。
残る3体の狼、本来の名称は【血狼】と言うのだがずっと狼と言っていたのは面倒だったからだ。
まぁ次からはしっかりと名前で呼ぶとしよう。
ぶっちゃけ安直で分かりやすいネームだから覚えやすいしな。
レベルはソラと違い俺より15レベル落ちるが、
落ちたとしても16レベルある為この移動の旅では重宝している。
それにソラほどでは無いがある程度の自我もあり、
スキルも中々充実しているので隠密にも戦闘にも最適であるし勿論感覚の共有もできる。
ぶっちゃけ魔物を使役するよりも手っ取り早く、使い勝手が良いのだ。
3匹のブラッティ・ウルフは土から半分ほど体を出し暴れるサンドワームの周囲を囲み時々大きな鉤爪や牙で切り裂いている。
どうやら完全に注意を引く事だけに徹してくれたようだ、ありがたい。
俺はブラッティ・ウルフ達に労い送り、
注意を引くのでは無く本格的にダメージを与えるように指示する。
ブラッティ・ウルフ達は雄叫びを上げ3方向からサンドワームを切り裂く。
「キャァァァァァァァァ!!!」
サンドワームが思わず眉を潜める程の高音で叫ぶ、
そして体内のマナが大きく躍動しているのを【魔力探知:強】が捉える。
格上のサンドワームとの戦闘が開始された事により、スキル【下克上】が発動され身体を駆け巡る力が増した。
俺はすぐにブラッティ・ウルフ達に警戒を促し各自対応するように指示する。
俺はこれから起こるであろう"何か"に備え盾を望む。
サンドワームの攻撃手段は土、
俺は弱点が分からないので無難に岩をイメージしスキルを発動する。
スキル【全属性魔法】発動
岩属性中位盾魔法発動
「フッ!!【岩の盾】!!」
俺の前方に下半身を覆うくらいの灰色の盾が地面からせり上がるようにして出来る。
何時もよりも若干強度が高い。
どうやら土や岩の魔法を使う時は地面に近い方が魔法の効率も良く威力も良いようだと即座に判断する。
俺は盾の裏に持ち手をイメージさせ魔力を注ぎ込む。
そして飛び出して来た持ち手を握りしめ盾に全身が隠れるようにしてしゃがみ込む。
そしてイメージを使って盾に細長い穴を開けサンドワームを睨む。
これは【概念魔法】の応用である。
これまでの行動はサンドワームの魔力の動きを感じてから僅か2秒の間の出来事。
そしてサンドワームの刃物を詰めたミキサーのような口が開いた。
【子砂蚯蚓軍勢】
膨張した魔力を食って爆発的に増殖した無数のサンドワームの子供が押し寄せる。
俺は読みを誤った。
岩だと防ぐ事は出来ても倒す事が出来ず回り込まれる…
直後、俺はリトルサンドワームの軍勢に呑み込まれた。
回り込むリトルサンドワームが俺の身体を食いちぎる、
そして後ろから次のリトルサンドワームがまた俺の身体を食いちぎる。
腕が垂れ下がり、膝に伝わる神経が噛みちぎられ地に膝が付く。
岩の盾を肩に寄りかからせ残った腕で咄嗟に剣を握り、
周囲にたかる敵を薙ぎ払い切り殺す…
だが大半は魔力で構築されているのか切ったそばから光となって消え去る。
今、俺の周りは光が天に登る現象が絶え間無く起こり、
これが夜であったならさぞかし幻想的だろう。
俺はスキル【超回復】を発動
腕に力が戻り膝に伝わる神経が蘇る。
だがそれを持ってしてもギリギリ追いつくかどうかのダメージを負いながら、
俺は加速する思考の中で広範囲でダメージを与える術を考えた。
既に3体のブラッティ・ウルフの反応は無い。
どうやら血の一滴も残さずリトルサンドワームに食われたのだろう。
スキル【瞬間移動】発動
自分の居た真上、5m程の高さにワープする。
その時に何体か身体に接触していたリトルサンドワームを巻き込んだようだが問題ない。
へばりつくリトルサンドワームを蹴落とし、
【魔力探知:強】にサンドワームとリトルサンドワーム以外がこの場に居ないかどうか確認する。
俺は前に使うのを控えた魔法の手順を全て
【概念魔法】に置き換えてイメージを構築した。
そして対空時間を使い切る前に、イメージが固まり始めた。
イメージするのは怒り燃え滾る炎、
イメージするのは圧縮された水、
【概念魔法】オリジナルスペル
「ー【汝遺さず灰燼となれ】ー」
炎と水、紅と蒼、相反する属性が陰と陽の様に混ざる事無く絡み合い、
真下に向かって堕ちていく。
「………爆ぜろ……」
そして地表に当たる前に解放する。
爆発、
バゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!
爆風、
ブワァァァァァァァァァァァァァ!!!
荒れ狂う爆煙が当たりを包み込む。
仰々しくなってしまったが、
分かりやすく言えば水蒸気爆発なのだ。
【ラエリの平原】で普通の魔法を衝突させて爆発させた後、
暇な時間を見つけては全ての工程を
【概念魔法】に置き換えてイメージしていた。
その結果目の前の光景がある。
地面は抉れ、底は溶け、黒く固まり、変質した。
そして見渡す真下の煙が晴れれば一面に光の粒子が漂う海のような景色が見えた。
俺は重力に引かれるままに地上に降り立つ。
サンドワームは地中から半分ほど体を出した部分が全て抉れ息も絶え絶えであった。
「水蒸気爆発の爆心地に近くてここまでで残るのか……」
俺は魔力が3分の1を切り、
朦朧とする意識の中サンドワームに剣を突きたてとどめを刺した。
【SideOut】
『半人族[lv:33]』 :【剣士】/【戦舞技師】/【全属性魔術師】
雪埜 奏
必要経験値/規定経験値:1850/3400
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:大】
【剣豪:Ⅰ】【魔力探知:強】
【体力補正:強】【筋力補正:中】
【解析の眼】【弱点解析】【縛りの咆哮】
【竜種の咆哮】
【野生の本能】【下克上】【全属性魔法】
【魔力量増大:中】【隠密】【暗視】【魅了】
【砂塵の爪甲】【魔法操作:強】【思考加速】
【瞬間移動】【予測の眼】【血分体】【下位従属】
【魔法威力補正:中】【魔法命中率:強】
【超回復】【粘糸精製】【識字】
【色素調整】【剥ぎ取り補正:弱】
残存Point:[18]
所持金:[1096300エル]
称号:【魂を鎮める者】
【英雄の国の者】
[!]経験値3140を獲得しました!
※規定経験値を超えました。
Levelupします。
必要経験値がresetされます。
1Point獲得 。
※格上打倒により1Point獲得しました!




