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Soul-Move -新章開始-  作者: 癒柚 礼香
【エスナの地下迷宮】
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78話≫〔修正版〕


よろしくお願いします。









路地裏を抜けて表通りを歩けば、

道の左右には露店が所狭しと並び、

店に置かれたモノは食べ物だったり、

よく分からない置物だったり、

武器だったりする。


辺りには食べ物の匂いが充満していて、

血で麻痺した俺の鼻腔を覚醒させてゆく。


俺は落ち込む気分を切り替えて、露店や街ゆく人を観察する事にする。


街中を歩くのは殆どが人族と呼ばれる前の世界と酷似した身体的特徴を持つ、人間。


まぁ生物学上、ホモ=サピエンスと表記して良いのかはDNA検査の出来ないこの世界では分からないし、

解明できても何百年、何千年後になるのか。

俺には関係のない話だ。


そして次によく見るのが側頭部に獣の耳を持ち、尾骨の辺りには獣の尻尾が生えている。


獣人族と表すのが適切だろう。


だが今、獣人族と表した種族も細分化する事が出来た。


人族よりか希少種の様で街中では見かける事が少なかったが、

獣人族の中では猫耳猫尾の獣人族を1番多く見かける。


次に狐耳狐尾、


兎耳兎尾、


熊耳熊尾、こんなところだろうか。


人族が30人居たら各種族1人いるといった所だろう。

この種族以外にもいるのだろうが今は特に気にする事でもない。


そして次に目が止まったのはファンタジー小説では王道の王道を行くであろうポピュラーな種族だった。


尖った耳に森で生き抜くためにしなやかさを備えた体躯を持ち、皆眉目秀麗な男、

見目麗しい女、

そう、エルフと呼ばれる種族だ。


やはり街行くエルフでさえ相当な美人である。

この種族も希少種のようで、人族が30人居たら1人見かける程度だろう。


本当に稀に、人ごみの中にちらっと見える小柄でがっちりとした体躯を持つ人、

明らかに人族の子供ではないだろう。


多分あれはドワーフと呼ばれる種族だと思う。


何故か?


それは髭がもっさもっさしていたから。


そのくらいだろうか、いや1つだけ言っておかねばならない事があった。


街ゆく女性は皆、総じて可愛い…


多分俺なんかが話しかけても見向きもされないだろう、前の世界であれば48人居たら全宇宙が狙えるレベルだ。


これが異世界クオリテーなのか!


これが異世界クオリテーなのか!


大事な事だから2回言わせてもらったが、

男もそれなりの顔が多く憎たらしい。


そんなどうでもいい事を考えながら気分を紛らわせ、街中を歩いていると今更な気がするがある事に事に気がついた。


(…文字が読めない……………)


よくある人とは話せるのに文字が読めない、

そう、あれだ、テンプレと言うモノだ。


俺はすぐさまステータスを開きそういった生活関連のスキルを探す。


脳内に現れた画面をスクロールさせて行くとお目当てのスキルは案外すぐに見つかった。


(お、あったあった…)




【識字】


異世界の文字を読み書き出来る様になる


学校の意味ないね!




最後の1行だけあっても無くても良い様な説明だったが、どうやらこのスキルでいいようだ。


俺は1Pointを消費してこのスキルを手に入れる事にした。



ーーーーーーーーーーーーーーー


1Pointを消費して【識字】を取得しました。


残存Pointは[2]Pointです。


能力(スキル)を確認してください。


ーーーーーーーーーーーーーーー



その瞬間、街の看板や露店の文字の意味が視界に入った瞬間、すうっと自然に理解できた。


文字を見れば自然と意味が分かるようでかなり面白い。

時間があれば文字を書いてみるのも良いかも知れないな。


露店の文字も読めるようになったし、

後で露店を冷やかして回るのも面白そうだ。


今の所持金は、

金貨が1枚に銀貨が2枚、そして銅貨が10枚だ。


硬貨の価値をロゼッタさんに聞いたところ、

金色の硬貨は10000エル、

銀色の硬貨は1000エル、

銅色の硬貨は100エルらしく露店に売られているモノを見る限り、

だいたい1エル=1円換算でも問題なようだ。


1円換算で言えば、俺がダンジョンで拾ったの金額は日本円だと大体13000円くらいって事になる。


ちなみに金貨より上には

白銀貨と呼ばれる硬貨があり、価値は10万エルらしい。

更に上には虹色硬貨と呼ばれる硬貨があり100万エルらしく100万円硬貨と思うとびっくりだが一般の人は目にする事は殆ど無いらしい


銅貨より価値の低い硬貨は黒い金属で出来た硬貨があり、価値は10エル。

これが1番小さい硬貨らしく商品に1001エルとかは無いらしい。


細かくなくて分かりやすいが、どこかおかしい。


俺はこの通貨について違和感を覚えた。

使う者には分かりやすく、使いやすい。

まるで使う者の立場しか考えていなく、

細かい金の流れも気にする必要がなかった様な…


そこで俺は辺りの喧騒に我に返った。


(…確かに妙だが人里に降りたばかりの俺が気にした所でなにも変わらないか。)


そこで思考を打ち切り、1万3千エル分の硬貨をポーチに入れている俺は露店を巡る事にした。


歩いていると肉の焼ける匂いと美味しそうなタレの匂いが鼻先をくすぐった。


その匂いにつられて匂いの元に歩いていくと小さめの露店が見えてくる。


人族のおばちゃんが営む小さな露店のようだ。


忘れかけていたが冒険者ギルドにいく予定もあった。

なので食べながら向かうことにしよう。


「そこの、フードの人!ウチの焼き串食っていかないかね?」


近づいて行けばおばちゃんが俺に気がついたのか歳を感じさせない軽快な口調で声をかけてきた。


「これってなんの肉ですか?」


やはり魔物の肉とかなのだろうか、

それならば前の世界の分まで食に好奇心のある俺には俄然興味が湧いてくる。


「プレーンラビットの肉って言ってね、平原によく居る弱い魔物なんだ。

だから駆け出し冒険者がよく狩ってくるから仕入れ値も安いんだよ。

おっと兄ちゃんは冒険者だから知ってたかもね。で?買ってくかい?」


やはり腰の剣帯に剣をさしてたら外見からして冒険者だと思われるのは当たり前の事だろう。

そして面倒だし否定もしない。

俺は早く食べたいのだ。


「そうなんですか。

あ、はい買います、取り敢えず5本下さい」


「まいどありっ!5本で300エルだよ!」


俺は銅貨3枚をおばちゃんの年季の入った手のひらに手渡した。


おばちゃんはこんがりと焼けたプレーンラビットと言う魔物の肉の串焼きを手渡してくれた。


(…やばっ…こ、これは…)


形こそ木を細く削って作られた串に肉の塊が4つ刺さっているシンプルでポピュラーなモノだが、

肉に付いている皮はキツネ色にこんがりと焼けていて、

肉全体が滲み出る脂によってキラキラとしていて、

夕日を浴びた常夏の海の様に街灯の光を受けて輝いていた。

それを包み込むタレはなんとも言えない深みのある香りで辺りを染めていて、

俺は新世界へとトリップしかけた。


俺の口は脳の信号を無視して開きかけてきたが、寸前でとどまり、

おばちゃんに冒険者ギルドの場所を聞く事にする。


「すみません、冒険者ギルドの場所しってますか?」


「ん?あぁ兄ちゃんは冒険者じゃ無かったのかい、てっきり冒険者かと思ってたよ。

冒険者ギルドはこの表通りをまっすぐ歩いて行くと見える筈だよ」


「ありがとうございます!」


どうやらこのまま進んで居ても冒険者ギルドには着いていたみたいだな。


俺は待てをされた犬の様にプレーンラビットの焼き串を頬張りながら冒険者ギルドに向かった。


俺の通った後に幸せそうな空気の残滓が残っていたのは言うまでもない。



だが、周囲にはフードをかぶった人がプレーンラビットの焼き串を頬張っているだけに見えていて、かなり注目されていた。


街に入ってまでフードをかぶる人間、

それを怪しまない奴がいないわけではないという事だ。


皆程度は違うが、ある程度警戒している事は確かであった。


そんな中、歩いているとすれ違いざまにおっさんが声をかけて来た。

辺りに漂う酒の香りと酒気を帯びたおっさん。

どうやら既に酒が入っていて出来上がっているようだ。


「おぉーい!兄ちゃんよぉ、こんな街中でフードかぶってるなんて怪しいなぁ?そんなんじゃ兵士に捕まって事情聴取だぞー」


な、…なんて俺に都合のいい事を教えてくれるおっさんなんだ!

御都合主義に万歳するが、

酔っ払いは面倒なので適当にお礼を言って放置。


どうやらこの街の衛兵は補導の様な事までやっているらしくこの街の表通り(・・・)の治安はすこぶる良いようだな。


周囲を歩く人々の顔に笑みがあれば大体の雰囲気は分かるものだ。


だが、そうなると顔を隠すのはやめた方がいいのかも知れない。

そうするとどうやって髪の色を隠すか…

何かスキルがあれば良いという希望的観測で俺はプレーンラビットの焼き串を齧りながらステータスを見る。


すると面白いものを見つけた



色素調整ピグメント・アジャストメント


身体の色素調整が可能

可能部分:瞳.頭髪.皮膚

だが魔法を使う場合髪色戻る




魔法を使うと髪色戻るは仕方ないが、

偵察や侵入などの隠密系で優れた効果を発揮するスキルのようだ。

この世界では染髪の技術は存在しない為か髪と目の色さえ変えれば相当なアドバンテージとなる。

俺はすぐにこのスキルを取得した。



ーーーーーーーーーーーーーーー


1Pointを消費して【色素調整ピグメント・アジャストメント】を取得しました。


残存Pointは[1]Pointです。


能力(スキル)を確認してください。


ーーーーーーーーーーーーーーー



まだまだ足りないが、生きていく為のスキルもなかなか充実して来た気がする。


すぐにスキル【色素調整ピグメント・アジャストメント】を発動させる。


すると目の前にステータス画面がでできた。


そのステータスにはまるでモン■ンの防具や髪の色の色素調整みたいなパラメータが存在した。


次に自分の全体を移す立体映像が立ち上がり、

どうやらそれをうまい具合に調整して行けば自由な髪の色になれるらしい。


もちろんこの世界で生活していて違和感の無い様に。

そうして出来上がった髪の色と瞳の色は黒に近い濃い紫になった。


あくまで力が無く、自分の身すら守れない今だから特異な髪の色と目の色を隠すのだ。


暗闇だと殆どの人が黒と勘違いしそうなくらいに濃い色だが一応光に当たると紫に見えるだろうしこれで問題ないだろう。


俺が力をつければいずれ黒髪黒目でも堂々と活動できるようになる筈。


というより最初の印象が大事なのだ。

冒険者ギルドに最初に入る時に黒髪で無けれは後は固定観念や第一印象でごまかせる。

楽観するわけでは無いが、人の精神とは誰であろうとも案外そういうものなのだ。


だがこの時、カナデは完全に忘れていた。

紫の髪の人間が氷の魔法なんて使えるわけなく、しかも黒髪で氷の魔法使ってる所、

軍隊とエミリーに見られてるじゃん!


と言う事を。


肝心な所で【鈍感:中】が絶大な効果をもたらすカナデは、プレーンラビットの焼き串を食べながら先に見える冒険者ギルドの看板に向かってゆっくりと歩いて行った。




【SideOut】




半人族(デミヒューマン)[lv:25]』 :【剣士(ソードマン)】/【戦舞技師ダンズ・ワー・トリッグ】/【全属性魔術師オール・アトリビュート・ウィザード


雪埜(ユキノ) (カナデ)


必要経験値/規定経験値:1800/2600



能力(スキル):【戦舞技(センブギ)補正:強】new!【鈍感:大】

【剣術補正:強】【魔力探知:中】【体力補正:強】

解析の眼(アナライズ・アイズ)】【弱点解析ウィクネス・アナライズ】【縛りの咆哮(バインド・ロア)

野生の本能ワイルド・インセィティクト】【下克上】【全属性魔法オール・アトリビュート・マジック

【魔力量増大:中】【隠密(スパイ)】【暗視(ナイトヴィジョン)】【魅了(チャーム)

【砂塵の爪甲】【魔法操作:中】【思考加速(アクセラブレイン)

瞬間移動(ワープ)】【予測の眼(ヴィジョン)】【血分体(ブラッド)

【下位従属】【魔法威力補正:中】

【魔法命中率:中】【超回復(ハイ・リカバリ)

【粘糸精製】new!【識字】

new!【色素調整ピグメント・アジャストメント


残存Point:[1]


加護:なし


所持金:[12700エル(1万2千7百エル)


称号:【魂を鎮める者(クロムソウル)





【鈍感:中】→new!【鈍感:大】


new!【識字】


new!【色素調整ピグメント・アジャストメント









安定の出落ちのピグメント。

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