第四十八話 それぞれの門
---ガレー 東門口---
そこには、イユがいた。
そして、機甲隊に囲まれている。
「君たちは包囲されている…逃げ場はないぞ」
「万事休す…かな?」
---ガレー 南門口---
そこには、サユがいた。
「機甲隊の力って、一度実感してみたかったのよねぇ…」
「君たちh・・・」
---ガレー 東南門口---
「先手必勝…って、話だ!」
「君tはははははああああああ・・・・」
ジジジという音と共に、一体が砕け散った。
「こい…グラム!」
俺は、両手を大きく翼を広げるように広げた。
その両手には、大きく風がまるで腕を隠すように包み…そして、グラムを生み出す。
「グラム二刀流の剣劇って奴を見せてやるぜ!」
--- ガレー 北門口---
「ここが…入口って話…なのかな、でも警備はその外側に今ある…フフ、いいことを思いついた」
私は自分の左をゆっくりと閉じてから、神経を集中させる。
そして、血の流れを読み取り、自分自身に最初からあった、火のイメージを増幅させ…目にため込む。
「”左目の鐘猫”!」
放出されるのは目から直接ではない。
放出されるのは、集中した場所に限ってのことだ。
目への負担はほとんどないが、その分集中力を要する。
そして、それを放った場所は、北門口だ。
火が効かないのであれば、蒼い炎で内部構造を破壊するのみ。
蒼い炎は実際には焼けない。
焼けないが、内部構造を破壊し尽すようにできてる。
それどころか、溶岩すらもその場から消し去ることも容易だ。
「これで、北門は開いた…ん、そろそろだと思ったよ、私だけ仲間外れは嫌だからね」
「君たちは包囲されている」
私の目の前に現れたのは、人型のロボット兵士通称機甲隊。
この島を外側から大きく包み込んでいるけども、その分兵士の数は少なくなる。
分散した兵士の精鋭部隊は、私たちには、全然問題ないだろうけど…。
ガレーの戦力は、油断できない。
だからこそ…
「御託はいいから、始めようよ!」
私が囮となる。
ロシル…みんな、頼んだよ。
そして、私は…機甲隊に立ち向かった。
--- ガレー 東南門口---
「うぉおおおおらぉおおお!!!」
俺は、二刀流のグラムを乱舞のようにグルグルと体回して扱う。
グラムは投影武装だ。
そして、投影とは、生み出す事にある。
つまり、複数作成もできる。
「次元蛇穴/投影放射!」
今度は、蛇穴を開けて、そこからグラムを生み出して放出した。
機甲隊は、それによって、最初いた20体を、10体程度まで減らされている。
このままいけば、勝てる。
「感謝させてもらうよ、この方法を教えてくれた”俺”にね」
そう、俺は”俺”の記憶を得た。
…戦いを経て、彼の記憶が経験として、俺の体に流れ込んだ。
心身ともに、俺は成長していた。
彼のいう3年が、俺に染みつき、今…負ける気がしない。
「てめぇらに、3年の力ってのを、見せてやるよ…闇よ、力を貸せ!
来い…バレッド・オブ・ジャッジメント!」
物凄い高熱と高音が辺りを包み込み、そして
「闇に終われ」
まるで砲弾があたったかのような威力。
火力。
全てにおいて、闇は圧倒的なる力。
されど…もう、闇に犯されるというものはない。
弱くない弱音は弱音ではないのだ。
「弱い俺でなくて、悪かったな、俺は強い俺だ」
俺は、黒いコートに身を包み、そして壊れた機甲隊の一人に近づく。
「まだ息があるか」
「き・・・ま・・・」
「ガレー島の王は、アルフェル=ガレーはどこだ?答えろ」
俺は、体のパーツがバラバラに砕けているそいつにそういった。
すると、そいつは口を開いて
「おっと、そうはさせないぞ」
俺は、その口から放出されたビームを難なくかわす。
交渉の余地なし…と。
「gg…ぐぁ・・・くぁwせ…」
「もうだめか…やっぱ、ここを突破するしかないか…」
俺は、北門口に目を向ける。
…突き破るか。
俺は両手を前へ出して
”トライガゥ”と唱えた。