女王陛下と誘拐事件:第十話:~ヴァレンシア王家の牙~
フレイジアは、アイギスにヴァレンシア王家の牙につて説明すると同時に城を出る直前に警備部隊長ボイドの私室へ呼び出された時の事を思い返した。
「それで、ボイド話って?時間が無の・・・手短にお願いね。」
「はい。フレイジア陛下・・・陛下に聞いて頂きたいのは、ヴァレンシア王家の牙という組織のことでして。」
「VKF?・・・それが今回の誘拐と何か関係が?」
「そうでは、無いのですが・・・私、ボイド=ルトルバの家系は・・・」
話の見えないフレイジアが困惑の表情を浮かべた事を気にする様子もなくボイドは、話し始めた。その表情は、普段の好々爺とした小柄の老人ではなく眼光鋭い歴戦の騎士・・・いやそれ以上の凄みがあった。
ボイドの家系、ルトルバ家。表向きは、小貴族ながら代々ヴァレンシア王家の警備を担ってきた名誉ある一族。その裏の顔は、王家の影の部分を支える一族でもあることををボイドは、フレイジアに説明する。
歴史の闇の中で王家の政敵や王家に仇なす貴族や商人などを危険因子として人知れず対処してきたのだということ・・・それがルトルバ家が代々長を務めるするヴァレンシア王家の牙という組織であると。その存在は、王と騎士団の団長、副団長程度にしか知らされていないということ。
「そう・・・たしかに、冒険者時代のときに王家直属の暗殺組織みたいな存在の噂を耳にしたこがあったけど・・・」
「実際に暗殺を行うような組織ではないのです・・・VKFは、王の見えぬ聞こえぬ部分を補う第二の目と耳・・・諜報組織のようなもので反乱や不正を未然に防ぐ為、調査内偵が主な任務なのです・・・いえ、だったのですが・・・」
ボイドは、少し言葉に詰まりながら表情を曇らせ前女王ヒルダレイアの政権時に、彼女の意向に逆らう幾人かを実際に処理した事実を口にし、実質ヒルダレイアの暗殺用私兵となり下がっていた事を告白する。
「それで貴方は、ガウェインとハサードにVKFの解体を相談したと・・・私には、知らせず・・・」
「はい、彼らに相談したところ陛下の政務状況を鑑み・・・落ち着き次第報告すべきと。両名も申していましたが陛下もご理解下さると考えVFKは、現在解体に向けた準備をしておるところです。」
「そうですか。VKFの在り方については、考慮しますが・・・この場で私は、明確な答えを出せません。それに、なぜ今・・・」
「も、申し訳ございません。話が逸れてしましましたな。コホン!それでは、本題なのですが・・・VKF最後の任務として陛下の護衛に就きたいと考えているのですが?全員がトレーサー・・・追跡調査任務のプロですので確実に陛下の跡を追尾することが出来ます。賊に気取られる事なく付かず離れず陛下を見失うことも絶対に無いでしょう。」
「そう。それは、頼もしいわね。でもボイド・・・護衛するのは、3人のメイドよ。」
「そうでしたな。如何でしょう陛下?」
「ええ、是非お願いするわ。でも、相当危なくなるまで手出しは、無用よ。」
「そうとう手練れのメイドのようですからな。ニコッ!」
「2人はね。ふふっ!」
話を終える頃には、ボイドの表情も普段の好々爺に戻っていた。フレイジアは、ボイドの私室を後にして二人のメイドの待つ城の正門へ急いだのだった。
~フレイジアが回想と説明を終えると~
「なるほど・・・そのような組織が・・・しかし馬車周囲には、まったく気配がありませんでしたね。50m位の範囲は、警戒していたのですが。不覚にも私は全く気が付きませんでした。どのくらいの距離で追跡していたのです?」
フレイジアが、アイギスにVKFの説明を終えるとアイギスが感心したような声でVKFの3人に話しかける。アイギスも警戒を解いているようであった。
「あぁ、あの気配は、貴女だったのですが・・・100mも接近したら感知されそうだったので150~200m位を維持して追跡していたのですよ。敵か味方か判別が付かなかったので・・・女王陛下には、一人女性の騎士が同行しているとは聞いていましたが・・・いやはやまさか・・・まぁ、あの気配の持ち主が敵でなくてホントによかったと・・・ははっ。」
「貴方達の気配察知能力が規格外だということは、十分よくわかりました・・・とこで、まだ危険というわけでもないでしょうに何故姿を?」
アイギスと互いに技量を称え合うVKFの隊員にフレイジアは、呆れたような口調で本題に入るよう促す。
「そうでした。城の方と状況をやり取りしいた隊員から連絡が有りまして。それを、伝える機会を伺っていたのです・・・しばらく前から急にその、警戒する気配が消えて荷馬車が停車したかと思えば2名が馬車から離れる気配を感じまして。暫く離れた所で様子を見ていたのですが、再び馬車へ戻るようだったので警戒しつつ接近したのですが・・・あの何かありました?」
それを聞いてフレイジアは、思い当たる節がありチラッとアイギスの方に目をやった。それに、気が付いたアイギスは、気恥ずかしそうにそして申し訳なさそうに顔を伏せた。アイギスにしても尿意が限界で警戒が疎かになったなどと言えるハズもない・・・
「コホッ!それより、伝言というのを早く聞かせてくれないかしら?」
「はい、誘拐され行方不明となっていた3名メイドですが。後宮の方で保護されたそうです。ただ、その際に賊が建物に火を放ったようで・・・」
「メイドとハサード達騎士達に怪我人が?」
「いえ、全員ほぼ無傷だそうです。詳しくは、解らないのですが賊が自ら立て籠もる館に火を点けたような状況だそうで賊の方に多数の死傷者が出ているとか・・・」
「そう・・・よかった。でも、後宮で一体何が・・・」
「メイド達は、無事なんですね!フレイジア様、早くメルさんに・・・っ!?誰か近づいてきます!」
VKFの隊員から3人のメイドを無事保護したという知らせを聞きフレイジアは、ホッと胸を撫でおろした。
アイギスも、嬉しそうに安堵の表情を浮かべるが何者かの気配を感じ身構える。
「安心して下さい。VKFの隊員です。」
暫くすると暗闇からスーと夜間迷彩の軽鎧を着た人物が現れた。その人物もフレイジアにザッ!と敬礼をすると報告を始めた。
「班長!やはりこの先の木こり小屋がアジトみたいです。中には、現在2名いるのが確認出来ています。窓は、塞がれてますが漏れ聞こえる会話の内容から誘拐班なのは、間違いないようです。それともう一名、おそらく荷馬車の御者と思われる人物のことも話しをしていました。」
「そうかご苦労。引き続き監視を続けてくれ。」
「はっ!」
闇から現れた人物は、再びザッ!と敬礼し再び森の闇にスッと消えていった。
「フレイジア陛下如何いたしますか?人質も無事のようですし我々の方で捕縛しましょうか?」
「せっかくだから、少し捕縛に協力しましょうか?アイギスもずっと馬車で体が凝ってしまったでしょ?」
「フレイジア様?・・・そうですね、少し体をほぐしてから戻りましょうか。」
「班長さんでしたっけ?念のため御者にアジトの件を確認してきますので、それが終わりましたらご案内していだけますかしら?」
「はっ!了解しました!」
フレイジアとアイギスは、VKFの3人と一旦別れ荷馬車の方へ戻っていった。
「あ!フレィ・・・じゃなかったハンナさん!アイギスさん!!」
「メル!お待たせ、具合の方はどう?」
「はい!だいぶ楽になりました。」
メルは、フレイジアとアイギスの姿を見て安心したのか嬉しそうに駆け寄ってきた。
「まったく・・・随分と時間がかかるもんすね・・・一体何をしていたんすか?まさか野ぐっ!?ゾバメッ!!!」
不機嫌そうに何か言いかける御者の男の顔面にアイギスの渾身の右ストレートが炸裂しズパン!と乾いた音を響かせる。
御者は、奇妙な悲鳴を上げ少し吹っ飛ぶようにして地面にドサッ!と倒れた。
一瞬で3mほどの間合いを詰め御者を殴り飛ばしたアイギスの姿にメルは目を大きくまん丸にし口をポカーンと開けたまま固まった。
「大丈夫よメル。それより良い知らせがあるの。メイド達が、ジェーンとミュール、それとモカが無事保護されたそうよ。」
「え・・・ほ、ホントですかぁ!!!先輩たち無事だったんですね!!!」
「えぇ。怪我も無いそうよ。良かったわねメル。」
「は、はい・・・ううっよかったぁ・・・ぐすっ・・・よかったよぉ・・・・うぅ・・・」
「よしよし・・・泣かないの。」
「フレイジアさまぁ・・・ありがどぅございまず・・・ううっ・・・」
フレイジアは、緊張の糸がほどけ先輩メイドの安否の不安から解放され泣き出したメルを宥めて荷馬車に座らせた。
「さて、アイギス。御者はどう?」
「はい。思いっ切り加減したので意識はあります。」
アイギスは、加減したと言っていたが御者の特徴的な出っ歯の一本がボッキりへし折れていた。たぶん、御者の言いかけた言葉が原因だろう。いくら騎士といっても年頃の女性に野〇ソなんて・・・しかも、お花を摘んできた後で・・・
「あ・・・あぅ・・・・」
御者の男は、アイギスに胸ぐらを掴まれて立たされるとそのまま彼女に拘束され恐怖と激痛でブルブルガタガタ震えていた。
「御者さん?少し聞きたいのだけど・・・アジトはこの先の木こり小屋でいいのかしら?それと誘拐のお仲間だけど貴方以外の人数は、小屋にいる2人だけ?」
「あひゅ・・・・・あひゅ・・・うぅ・・・・」
「フレイジア陛下が直々に聞いているのだ!正直に答えろ!!」
「うぎっ!ふへ・・・へぅ・・・・はぁ・・・・はうぅ・・・・」
「ごめんなさいね。アイギスが強く殴り過ぎたみたいで。声が出せないなら首を振りなさい・・・・でどうなの?」
「はう・・・ほうぅ・・・・ほうぅ・・・」
フレイジアの問いかけに御者は、真っ青な形相で首をブンブンと縦に動かした。
「アイギス・・・もういいわ。」
「はい。」
「へげゅ!?」
フレイジアの合図でアイギスは、御者を絞め落とし気絶させた。アイギスは、御者を担ぎ上げるとメルが座っていた荷馬車の荷台へドサッと放るように寝かせた。
「あ、アイギス様・・・・えっと・・・・ぎょ、御者さん・・・」
「この男もメイド誘拐の一味なのです。安心して下さい気を失ってますので・・・えっと何か手足を・・・」
困惑するメルにアイギスは、普段の穏やかな口調で説明し荷台に御者を縛るロープなどが無いか探していた。
「終わったかい?ほら、これ使って縛れよ!」
荷馬車の方の様子を伺っていたVKFの3人が近づいて来て一人が腰のミリタリーポーチから特殊な拘束用バンドを取り出しアイギスに投げ渡した。
「えっと・・・み、皆さんは?」
「大丈夫よメル。3人とも騎士団の人たちだから心配しないで。ずっと私たちを護衛してくれてたのよ。」
「そ、そうなんですか!?あの、ありがとうございます!」
フレイジアが状況が飲み込めていないメルに簡単に説明するとメルは、笑顔で3人にお礼を言って頭を下げた。
「いや、いいってことよ。」
「あぁ、仕事だからな・・・」
「そうだな。」
お礼を言われたVKFの3人もメルの可愛いらしい笑顔に若干顔が緩だように感じられた。
「あのね、メル私たちは、これから誘拐犯の親玉を懲らしめにいくのだけど、ここで待っていてもらえる?それに、乗り物酔いもまだ辛いでしょ?」
「はい。わかりました。私がいても何も出来ませんし・・・あの、お気を付けてフレイジア様。」
「ええ、大丈夫よ。アイギスもいるし何人か騎士もいるそうだから。それじゃメル、御者の見張りをお願いね。」
「ふえっ!?わ、わたし一人でです!?・・・えっと・・・その・・・・」
「ふふっ。冗談よメル。ね、班長さん。」
「はっ!案内は、私が勤めさせて頂きます。お前たち2名は、この場で待機だ。」
「「了解!」」
「よ、よかった・・・あの、宜しくお願います。」
フレイジアとアイギスは、メルと拘束した御者を2名のVKF隊員に任せると誘拐犯のアジト木こり小屋へ向かった。
「見えてきました。あれが、例の小屋です。」
森が円形に切り拓かれ大小いくつもの切り株が並ぶ中にポツンと一軒、丸太で組まれた小屋が建つていた。暗闇に浮かぶ小屋の影は、フレイジアが想像していたより立派な小屋でロッジという表現の方が合いそうであった。フレイジア達は、森が途切れるギリギリのところで身を潜めて様子を伺っていた。
「そういえば、見張っているVKFの方達は、どこに?アイギスわかる?」
「いえ、かなり上手く気配を周囲に溶けこませているみたいで・・・居ると知っていれば確かに何か居るなという程度で・・・」
「さすがに、私には、もうわらないわ・・・」
「集中してみてください。フレイジア様・・・多分、小屋の裏手側の方に2名、両サイドに各1名・・・4人の気配が微かにあります。」
「んっ!むむむっ・・・(う~ん・・・ダメね全くわからないわ・・・)」
「しかし、良くわかりますねアイギスさん。それでは、フレイジア陛下、見張りの隊員を呼び出しますね。」
「呼ぶってどうやって呼ぶのですか?」
疑問を口にするアイギスの横で、自分だけ気配に気が付けないのが悔しくて全神経を集中するフレイジアであった。
そんな、フレイジアを余所に班長は、ミリタリーポーチから細い円筒型の物を取り出した。
金属製の5㎝ほどの管笛のような物を口に咥え調整するように金属の管の接合部を軽く回すとス~ッと息を吹いた。
音は出ない。ただ吐いた息の音が僅かに聞こえるだけだった。
「えっと・・・」
アイギスが不思議そうに見ていると直ぐにササッ!と4人の隊員が集まってきた。
「本当にアイギスの言った通り4人いたのね・・・」
「はい。でも、どうして音のしない笛で?」
「たぶん、犬笛のようなものね。信じられないけど普通の人間には聞こえない音域の音を聞き取れるのよ。」
「さすがフレイジア陛下。その通りです聴覚を強化する訓練を行っておりますので。」
「アニマで聴覚を強化するのですか・・・普通なら少し強化しただけで平行感覚が狂って酷い眩暈を起こしますよ・・・」
「アイギスがそういうなら相当、ヤバい訓練なのね・・・それより・・・」
フレイジアは、小屋を見張っていた隊員に現状の報告を求めると先ほど連絡に来たのと同じ隊員が状況を簡素に説明する。
「やはり、中には2人なのね。で小屋の構造は・・・」
「はい、所有者は、ここから5キロほどの田園地帯に住むバンラーという木こりですが今回の件とは関係ない様です。高齢の木こりで最近は、ほぼ引退状態だとか。小屋の構造も聞きましたが結構頑丈そうです。仕事の合間に趣味で建てたそうですが・・・かなり太い丸太で組まれているらしく・・・さらに、賊の方でも補強がされているようで窓なども板で塞がれております・・・」
「この短時間でよく調べましたね。」
「そうね。(VKF・・・惜しいわね。ボイドは、解体を望んてたけれど・・・。)」
「そういう仕事が本来専門の部隊ですので。で、中はこの様な構造らしいです。」
感心するフレイジアにVKFの隊員の一人が蛍程度の明るさも無い調光した小型魔素灯 で照らしながら地面に簡単な図の書かれた紙を広げ、ランバーから聞きいた小屋の間取を説明してくれた。
「陛下、火でもつけて炙りだしましょう。逃げ道は、入口だけの様ですし。ランバーからは、最悪の場合ですが破壊許可を得ておりますが・・・」
VKFの別の隊員が犯人達が小屋の中で袋のネズミ状態であることから早期解決を提案してきた。
「いえ、自決されても面倒です。念のため事件の背後関係を知る必要がありますから生きて捕縛したいと考えいますので・・・それに・・・」
フレイジアは、今回の事件が一応自身を標的とした誘拐であることから誘拐の実行犯と別の背後潜む者の可能性を考えていた。他国や政治的不満を持つ貴族や組織etc.といった黒幕の存在だ。
「老人の趣味を破壊してしまうのも少し心苦しいですよね。フレイジア様。」
一瞬、言葉に詰まったフレイジアにアイギスが少々的外れな補足を入れてきた。
「そ、そうね、アイギス。それに、そのように仰々しくしなくても金塊を持ってきたと言えば顔を出すしょ?賊は、私たちに包囲されていることに感付いてないようですし。私もアイギスも金塊を運んできた”ただのメイド”だという事をお忘れなく・・・」
「フレイジア様・・・つまり正面から堂々行くわけですね?『身代金を届けにきました。』と。」
「そうよ。御者がいないので怪しむでしょうけど相手が小屋の外に出てきてしまえば、こっちの物!ボコボコにしてさしあげるわ!」
「は、はぁ・・・私たちVKFは、どうします?」
「そうね、相手に此方の方が大人数だとは、気が付かれない方がいいから・・・気配を消して待機、万が一場合ですが犯人逃走した場合に備えて下さい。それとこの場所の件は、城の方に?」
「はい、すでに連絡に向かわせおります。では、フレイジア陛下の指示通り待機しております。危険を感じたら援護しますが・・・くれぐれもお気をつけて。」
VKFの班長は、隊員に指示を出し小屋の周囲の闇に消えていった。
「班長いいんですか?女王陛下を・・・」
「心配無いだろ。アイギスという騎士は、言わずもがなだが・・・陛下の方も相当な実力の持ち主だ・・・それは、皆も感じただろ?」
「はい。元Aランク冒険者という噂も本当のようですね。」
「そうだな。ほら、さっさと持ち場につけ!」
「はっ!」
VKF隊員たちと別れたフレイジアとアイギスは、木こり小屋に正面から不自然に気配を隠すことも無くゆっくりと近づいて行く。罠を警戒してか、アイギスがフレイジアより一歩先を歩いていた。小屋は、意外と大きく立派でやはり小屋というよりロッジという表現の方がしっくりくる。地上より1mほどの高床式になっており無骨な分厚い木板の階段で上り下りするようになっていた。その階段を上がると庇のあるウッドデッキ状になった部分があり、その先が小屋の入口扉だ。高床となった部分の隙間には、小屋を支える太い丸柱が何本も地面から生え、その空間を雨避けの倉庫代わりにしているのだろうか木こりのものと思われる樽や木箱、伐採道具が乱雑に置かれていた。
「そう言えは、アイギス・・・暗いのは、平気?」
小屋を中心に森が切り拓かれているとはいえ、新月の今日、星明りだけでは、目が慣れてもかなり暗い。
「フレイジア様・・・私は、暗いのが苦手なのではなくて・・・その・・・・」
「そう?まぁ、平気ならいいわ。これだけ小屋に近づいたら、そろそろ賊も気が付くでしょうから。」