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猫可愛がりしていたら、喰われました。  作者: 不知火螢


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 ぐっ、ぐっ、と足を曲げ伸ばしして、手首足首をグルグル回す。

 兄上が一角兎たちを囲むように結界を張る。それにより、周囲の空気が変化したのが分かったのか、おとなしかった一角兎たちが動き始めた。

 まずは、メスを数匹確保。その後、個体数を減らしつつボス個体を探し、見つけ次第確保。


 深呼吸と共に、全身に魔力を巡らせ、最後に足に集中させて、地面を蹴った。

 一気に結界内まで突入し、まずは目に付いた小柄なメス個体を一匹確保し、そのまま全力で結界の外へと放り投げる。

 兄上は器用なので、その放り投げられたメス個体のサイズに合わせてその部分だけの結界を解除し、さらにまた結界を張り直す。その横で、姉様が籠の中に入れていたのが見えた。

 一角兎を相手にする際に気を付けるべき点は、突進からの刺突攻撃だ。これだけ密集していたら突進もろくにできないので、それほど難しくはない。襲い掛かってくるオスの一角兎たちの角を直接掴んでへし折る。それだけで、一角兎は無力化できる。


 とはいえ、数が多いので、すべての襲い掛かってくる個体の角を直接へし折るのは現実的ではないので、氷の槍を作り出して、次々と頭を貫いていく。

 心臓は魔物によって位置は異なるが、脳は基本的に頭にある。なので、人間だろうが魔物だろうが、頭さえ潰してしまえばそれで終わりだ。


 それを繰り返して行くと、端の方の個体たちは私には敵わないと理解したのか、私からは距離を置き始めた。それでも結界から出ていくことはできないけれど、こちらに向かってこないのならば今は無視していいだろう。

 肝心のボス個体はどこにいるか分からないが、ファルクは遠くからでも一目でわかる、と言っていたので、多分そのうち見つかるだろう。


 そうして、健康そうなメスをまた捕まえてはぶん投げてオスを蹴散らし、先の二匹とは大きさの違うメスを捕まえてはぶん投げて、を繰り返して中心に少しずつ近付いていく。


 ここまですればいくら群れが大きかろうと、異常事態発生だということは群れ全体に広がっていく。私に向かってくるものも当然いるが、それ以上に、早々に戦線離脱する個体が予想よりも多く現れ始めた。

 元々、一角兎は好戦的ではあるけれど、自分でも、もしかしたら勝てるかもしれない、くらいまでの相手にしか向かっていかない。ただ、すでにここの個体たちは、囲めば天敵ですら倒せることを学んでいるので、明らかな格上の私にも向かってきているのかもしれない。


 そうして角を折ったり、捕獲したりしているうちに、ようやく、他の一角兎たちを壁にして身を潜めているボスらしき個体を発見した。


 確かに、ファルクの言う通り、一目でわかるほどにムキムキ兎である。しかし、そんな見た目とは裏腹に、身を隠しているのは、知能が高くて私に敵わないと理解しているからなのか。あるいは、見た目とは裏腹に憶病なのか。

 これだけの巨大な群れを抑え込んでいるのだから、憶病ということはなさそうだが、今の姿だけを見ると何とも言えない。


 早速確保に向かうと、拍子抜けするほど、ボス個体は簡単に捕まえることができた。

 筋肥大の影響か、見た目の大きさの割にずっしりと重い。まるで、普通の兎のようにおとなしく捕まえられている。

 さすがにこのボスをぶん投げて逃げられても困るので、しっかりと掴んだまま兄上たちの元へと駆け戻る。その間にも、ボス個体はやはり、ピクリともしないほどおとなしかった。むしろ、小刻みに震えているほどである。


「……姉様、これが多分ボスなんだけど……なんか、思ってたのと違うかも?」

「そうね……見た目は想定通りだけど……怯えてる?」


 姉様にボス個体を渡すと、震えはますます強くなった。本能で、私よりも姉様の方が強いと理解したのかもしれない。

 気のせいかもしれないけれど、先に捕まえていたメスたちも、ボス個体を心配そうに見ている、ように見える。


「あー、こいつです、こいつですー。……それにしても、ずいぶん怯えてますね? なんでだろ」

「てっきり、その強さで従えてるんだと思ったけれど。いえ、この筋肉の付き方なら、間違いなくその辺の一角兎なんて目じゃないほど純粋な力は強いわね」

「とりあえず、そいつもこの中にさっさと入れろ」


 んー、と腕組みをしながらマイペースにボス個体を観察し始めたファルクと姉様に呆れながら、兄上がボス個体を籠の中にしまってしっかりと扉にも鍵をかけた。


「さて。ボス個体を失った群れは……もう、次のボスの座を争い始めているな」

「わー……切り替えはやーい」


 群れの端から個体を減らしていったので当然ながら、反対側の端の方はまだまだ元気で無傷な個体しかいない。元気なオスたちが元気にボス争いをしている。


「このまま何もしなくてもそのうち個体数は減るだろうが……さすがに自然に減るまでは待ってられないからな。マリーナ、もう検体は必要ないか?」

「え、あ、そうね。おそらく世代の違うメスが三匹か……どうせなら、オスもちょっとほしくなるわね。できれば、怪我してない健康そうな個体……ラヴィニア?」

「……はーい」


 捕ってこい、ということですね。わかります。


「確保した後は、まとめて処理するべきだな。……ラヴィニア、まとめて凍らせろ」

「え、そこまで大規模なのは、姉様の方が」

「できるだろ?」

「……はーい」


 できないわけではない。ただ、疲れるからやりたくないだけです、はい。


 そうして、姉様が満足できるだけの検体を確保した後、残りをまとめて凍らせることになった。

 やはり、数が異常なだけで、討伐自体はそこまで大変ではなかったな。兄上の結界が無ければここまであっさりは無理だったけど。


 さーて、夜のおっぱい時間に間に合いそうでよかった!


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