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猫神様のペット可物件【完結・猫画像あり】  作者: BIRD


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第115話:先代が遺したもの

 宴を途中で抜け出して、俺はユウナリアと共に彼女の自宅へ向かった。

 ユウナリアの家も他の家々と同じで、お椀を伏せたような形の白い石造りの建物だ。

 白木の扉を開けるとすぐ靴箱があり、真新しい編み上げサンダルが置いてあった。


「予備を作っておいて良かった。これで自力で歩けます」


 頬を赤らめて言う彼女を玄関で降ろしてあげた。

 ユウナリアは慣れた手つきでサンダルを履き、膝下まで続く編み紐を手早く編んでいく。


「そういえば、なんで裸足だったんだ?」

「古いサンダルの編み紐が切れて、途中で脱げてしまったんです」


 ユウナリアは村を抜け出したときはサンダルを履いていたらしい。

 途中で脱げて裸足になっても走り続けた少女は、どれほど必死だったのか。


「どうぞこちらへ」


 微笑む少女に招かれて、家の奥へと進む。

 家の中は玄関から入って最初の部屋がダイニングキッチンで、奥に扉が3つ見えた。

 ユウナリアはダイニングキッチンの右奥へ進み、扉を開ける。

 そこは寝室で、質素な造りの木製ベッドと引き出し付きサイドテーブルが置かれていた。

 家の中は全体的にきちんと整理整頓されているから、ユウナリアの性格は几帳面なのかもしれない。

 それはともかく、女性の寝室に入るのは気が引けるので、俺は寝室の手前で立ち止まった。


「どうされましたか?」


 寝室に入ったユウナリアが、キョトンとして振り返る。

 俺が一緒に入ってこないことを、不思議に思っているような感じだ。


「さすがに女性の寝室には入りづらいよ」

「……! あ、あのっ、そのっ、……ついクセで……」


 俺が言うと、ユウナリアはハッと気付いた後に顔を真っ赤にしてアワアワし始める。

 それはまるで、以前は一緒に寝室に入る相手がいたように感じられた。

 ユウナリアは寝室に駆け込み、サイドテーブル下の引き出しから小箱を取り出す。

 白木の小さな箱は、微かな銀灰色の光に包まれていた。


「こ、これが、先代イリ様からお預かりした物です」


 彼女は小走りにこちらへ来て、大事そうに両手で持つ小箱を俺に差し出した。

 箱から感じるのは、俺の中に在るのと同じ神力。

 間違いなく先代イリの神の力だった。


「俺に渡していいの? 本物に渡した方がいいんじゃない?」


 俺はちょっと後退り、小箱を避ける。

 これは、俺なんかが受け取っていいものじゃない気がする。


「いえ、当代の勇者様に加護を与えた方が持つべきと思います」

「……つまり、勇者に関係する物?」

「そうです」


 告げる少女の表情は、冷静さを取り戻していた。

 再び差し出される小箱を、俺は困惑しつつ受け取る。


「ユウナリアは、この中身を知っているの?」

「はい。邪神に対抗する為の装備です」


 話しながら、俺は木箱の蓋を開けてみた。

 箱の中にあるのは、銀のリング。

 そこから感じる神力は、俺に授けられたものよりも段違いに強い。


「先代イリ様は、次代で不具合が起きて、前世の記憶が戻らないかもしれないと言っておられました。記憶が戻らなくても神力と神技を使えるようにと、このリングを用意されたのです」


 先代は、何か予知能力っぽいものをもってたんだろうか?

 それとも、そういうことが起こりうる心当たりでもあったのか?


「本物が覚醒できなくて代理で異世界人がイリの神になる、とは言ってなかった?」

「そこまでは言っておられませんでした」


 ユウナリアに残された遺言は、ハッキリした予言とは違うらしい。

 とりあえず未だ本物が覚醒しない、邪神飛来のときは近い今、とりあえず俺が持っておくしかないのかな?


(俺、猫を飼う為だけに異世界転移した筈なのになぁ……)


 銀のリングをじ~っと見つめ、俺は心の中で呟く。

 本物、マジで今どこで何してんの?

 という本音は、口には出さずに心の中にしまっておいた。


挿絵(By みてみん)

挿絵代わりの画像は作者の保護猫たちです。

閲覧やイイネで入る収益は、保護猫たちのために使います。

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