第二百九十一巻目 手紙
「まぁ、不思議なことに君は今の情勢をあまり理解をしていないから、僕がこんなことを言ってももしかしたら弥陀なのかもしれないけれども、とりあえず僕らのことは知っておいてもらいたい」
「うん」
「君は非常に不思議な人間だ。もちろん、ここにやってくる人間すべて不思議な人間ではあるが、君は特筆して不思議に思える」
「どの点が不思議に思えるんだ?」
「その不思議なところがどこにあるかわからないからこそ、特筆して不思議なんだ。私は仕事柄いろいろな人間のことを見てきた。私にへりくだるもの、私に反抗心を燃やすものや私を賛美するもの等多々。でも君はそれらに分類出来ないほどの魅力を持っているのだ」
「そういえば、君はなぜここに呼ばれたのかを気にしていたね?」
「まあ、気にはしているが……」
俺がそう言うと鈴木を一度大きなため息をついた。そしてウイスキーの置いてあるテーブルの机の引き出しから一通の手紙を俺に渡してきた。
「私が今から言うことを君は馬鹿にするかもしれないが、正直私も馬鹿らしいとは思うんだ。ただ、これが現に君がここに現れたことにより現実と化してしまった」
「この手紙は?」
「いったい何年前になるだろうか……いや、何十年も昔になる。私がまだ子供だった頃、この手紙を外国人からもらったんだ。それもいきなり。子供心に、突然こんな手紙をもらったから最初はすぐに捨てようと思ったが、手紙の内容を見て面白いと思い今日の今まで保管していたんだ。……よければ手紙の中身を見てみてくれ」
※※※※
ノブ。久しぶりです。
私の名前は事情により書くことはできませんが、あなたはもう私が誰か分かっているはずです。この手紙をあなたが見ているということはあなたはこの時代を脱出するための鍵を探しているはずです。
実は、鍵というのはこの手紙の事なんです。
長文を書いてもあなたには残された時間が少ないでしょうから、あとは端的に述べます。
あなたはこれから今目の前にいる人間と当分の間行動を共にしてください。
そうすることによりある人間と接触します。その人間はあなたは知らないかも知れませんが、その人はあなたのことを知っています。それが二つ目の鍵です。
ただ、その鍵を手に入れるには少しばかり努力をしてもらう必要があります。
それを超え、二つ目の鍵を手に入れればまたある場所に向かってもらいます。その場所ではあることを行いますが、この手紙では詳細は避けます。なにかあると困りますので。
短文で申し訳ないですが、わたしに許される文はここまでのようです。
最後に、私はあなたと友達です。だから、あなたは私を最後まで信じていてください。
手紙を受け取ってくれた方へ。
あなたはこの手紙を受け取って非常に不快に思っているかもしれません。まずはそれを謝罪させてください。申し訳ありません。
ただ、あなたの行動が世界を救うと考えてみてください。
端的に述べさせていただきます。
あなたは将来偉い人になります。ただ、偉い人になった後悪者扱いされてしまいます。ただ、あなたの考えは間違っていません。
この手紙を未来、いつかは分かりませんがある人物に渡してください。
その時あなたは仲間を持ち、ある組織を組織しているはずです。
やって来る人物は少し反抗的な人物で、小生意気かもしれません。だけれども、あなたはその人と当分行動を共にしてください。そして、あなたの目的を達成してください。
突然の手紙で申し訳ないんですが、どうかいつかのその日まで保管をお願いします。




