第二百八十七巻目 わが友よ
「……?」
「どうした?わが友よ。 そんなに困った顔をして」
「いや……」
どうしてだか、不思議な感覚だ。こいつの顔を見ても言ったこいつが誰なのかはわからない。だけれども、なぜだか見知った人間のように思えてしまうのだ。
「いや……お前、どっかで俺と会ったことあるのか?」
「私は常に人々を照らす太陽として君臨しているつもりだ。もし、太陽を他人としてとらえるのであれば毎日私と顔を合わせていることになる。それであれば、あったという事になるだろう」
「つまりは、会ったことがないって事でいいか?」
「君が思うならば、それが真実であろう」
「だけれども、なぜだかお前とは会ったことがあるように感じる」
「それは、私にはわからない。ただ今の時代、何が起こるかは君のような凡人はおろか神である私にも分からないのだよ」
「ふーん」
教祖の部屋は上の部屋と違って非常に豪華な造りになっている。そして、少しおしゃれな照明が暗く明るい感じで、我々を照らしている。部屋のにおいは非常に良いもので、簡単に言えばさわやかであるといえるだろう。テーブルの上にはウイスキーの瓶が置いてあり、隣においてある二つのグラスには片方には氷とウイスキー。そして、もう片方は空の状態になっている。テーブルには同じ種類の椅子が二つ用意されている。
「まぁ、わが友よ。理由はどうであれ立ち話では心は開くことは難しいだろう。どうぞ、この席に座り大人の水でも味わいながら語り合おうではないか」




