第二百八十五巻目 一理あるように思える
『おい、悩んでるんであれば扉を開けるんだ。君はどうせ、このまま階段を引き戻ったとしても上にいる奴らに「しっかり会ってきてから戻ってきてください」といわれて、またここに戻るのがおちだ。それであれば、今ここで目的を達成してしまうのが得策だと私は思うぞ』
俺が扉の前で、扉を開けるかどうか悩んでいるとスピーカーを通して声が聞こえた。上を見上げると、スピーカーが設置してあった。
「別に俺は悩んでいるわけではない。ただ、お前がどうも胡散臭すぎるから少し気が引けてしまっただけだ」
『胡散臭いのは君自身もだろう』
「何をいう。俺の一体どこが胡散臭いというんだ?」
『人間はみなしっかり作られて、正規品ような見た目をしているが実はどこか偽物臭かったり、中身が空っぽだったりすることだってある。もちろん、君が正規品であるという確証があるのであれば、私は今の言葉を訂正するが君に自分自身が正規品であるという確証はあるのかね? そうでなければ私も君と同じぐらいの正規品というわけなのだ』
「……」
なかなか弁のたつやつだ。ただなぜかむかつく。ジョンも確かにムカつくがこいつはなんだか、気に食わない話し方をする。ただ、こいつの言う事も一理あるように思える。




