第二百七十一巻目 タクシー→神田
どうせ、ね?
「……着きましたよお客さん」
「ありがとう」
そう挨拶して、俺はタクシーの運賃を払おうとしたが、今気づいたことだがタクシーには運賃を表示する機械が付いていなかった。だから俺が、タクシーの運賃を運転手が言ってくれるのを待っていたのだが
「お客さん、悪いんだけれども早く出てってくれないかな? お客さんには悪いんだけれども、いくら仕事とはいえこんなところに長居はしたくないんですよ」
と、キレ気味に俺に言ってきたものだから、俺はその覇気に圧倒されてタクシーを降りることにした。降りてすぐタクシーは神田の方向へと走り出してしまった。よっぽどこの街から出たかったんだろう。
ただ、運賃を払わないというのは何だか罪悪感がある。本来……百年前と同じ環境なのであれば払うのが必然であり、義務なのだからなんだか悪いような気がしてしまう。ただ、さっき電車に乗った時は運賃を支払うことはなかったから、もしかしたらこの時代の交通機関に運賃と言う概念は存在しないのかもしれない。それであれば、今俺が感じている罪悪感と言うのも無駄なものなのかもしれないな。
さて、タクシーで降ろされた場所というのは秋葉原でも末広町の方で、俺が行きたい場所からは少し離れた場所だ。だからかもしれないが末広町は百年前とほとんど変わっていなかった。ただ、
「……」
街は、昼だというのにとても静かだった。まるで、町全体が廃墟になってしまったようだ。
まぁ、たとえ廃墟になったとしたところで俺が目指す先も変わらないのでこの末広町及び秋葉原を散策しながら、目的地を目指すことにする。
うぅん、すごいよぉ……
なんだか、中があついのぉ……




