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オモイデレシピ  作者: 澤中雅
レシピ17 ツイオクタマゴ
315/365

四季の章 お約束

アクセスありがとうございます!



 一月六日――


 新年度の日々平穏も開始して三日が経った。

 年始の営業は夕方までが観光客を中心に、以降は仕事始めや部活始め、また正月料理に飽きた島の住民が来店するので曜日問わず忙しい。

 なので今日も恋愛コンビに加えて孝太も呼びつけていた。


「白河、少し待ってろ」

「あん?」


 その営業後、まかないで遅い夕食を済ませて帰宅しようとした孝太を優介が呼び止める。


「コンビニに買い出しだ。付き合え」


 続けて端的な用件を告げるなり返事も聞かず着替えの為に二階へ。

 むろん孝太も構わない、ここからコンビニなら帰り道。ついでに自分も何か買い出しするかと思うのだが――


「やっぱおかしい……」

「心配です……」


 閉店作業や食器の片付けをしていた恋と愛が訝しむのも無理はない。

 夕食後は料理修行が基本で、実家で暮らしていた頃の恋や、リナや手伝いに来たソフィの見送り以外に出かけることのなかった優介がわざわざ一度着替えてコンビニへ買い出しに行くという。もちろん優介もコンビニを利用するし、今まで用がなかっただけなのかもしれないが先月辺りから奇行が目立つ。

 喜三郎最後の教えを昇華しているとは思うが、料理修行とはかけ離れたものばかり――つまり時期が時期だけに行動理念が意味不明すぎて読めないのだ。

 もしかして思い悩んでいるのか? しかし何故? と、心配しているのは恋や愛だけでなくソフィもだ。カナンは最後の教えをまだ知らない故に別の意味で気にかけてはいるがやはりここ最近の優介はどうも読み切れず。


「ま、気持ちは分かるけどな」


 ただ孝太は別の意味で気にかけてはいるので、良い機会だと嘆息していた。



 ◇



 ――まあ、そろそろ聞いてみるのもいいかとは思っていた。


 先月、つーか師匠の遺言を受け取ってからの鷲沢は確かにおかしかった。なんつーか良い意味で力が抜けてるし、緩く感じたしな。上條の爺ちゃんが亡くなってからのあいつは張り詰めまくってたし、唯一の緩みは良い女との時間、それも完全じゃなかった。

 爺ちゃんにカリ返して一息付けたってのもあるだろうけど、やっぱ上條の爺ちゃんや婆ちゃんに会えたのが大きいんだろうな。いつもいつも肩肘張ってて疲れないもんかねと呆れてたから、良いことだと俺も安心してたんだが……うん、さすが鷲沢っつーか何でも徹底的だわ。

 ちなみに宮部や愛ちゃん、ソフィちゃんにカナンちゃんって鷲沢の幸せ四季娘と息抜きしてるのはおかしいよりも普通だろとは思ってた。当事者の四人は自分との時間以外はおかしい……いや、宮部は自分含めてか。とにかくどうした? みたいに心配してたけど、いや鷲沢も肩の力抜いたなら改めてお前らとの時間で息抜きしたいだろ? てのが俺の意見だけどそれはさておき。

 意味もなく雨に濡れたり、急に一人の時間を過ごしたりは今までの鷲沢にはない奇行。必要のないことはしないが心情な奴だからな、雨に濡れるのがどう必要なんだ? とは気にしてた。まあ鷲沢のことだし、バカみたいな意味あるんだろ、それはなんだ? みたいな答え合わせ的なのだけど。

 でもな……


「なあ鷲沢……俺ら、どこ行ってんの」

「あん? コンビニ行くっつったろ」

「ならどうしてこんなとこ歩いてんだよ!」


 さすがに解答予測不可能でツッ込まずにはいられなかった。だってよ、俺の家は日々平穏出て住居区に向かう、途中に宮部がまだアパートに住んでた頃に通りかかってたコンビニがあるのになぜか鷲沢は逆方向の商業区に向かいだしたんだぜ?


「うぜぇ……コンビニなんざどこにでもあるだろ」

「あるよっ? だからこそ近いところや帰り道の方が良くねっ?」

「たまにはいいだろ」


 ……で、相変わらずワケ分からん上に端的すぎる。でもま、そういうことね。


「んで、最近の奇行はなんだったんだ」

「奇行はお前の専売特許だろ」

「かもな」


 とまあいつもの軽口でやり取りすればあら不思議、もう何となくでも分かったわ。

 つまり鷲沢はこれまで自ら目を向けてなかった色々なことをしてみたいわけね。こいつは基本、必要ならする、なければしないが心情だから。でもこの心情が良い意味でパワーアップしたと。

 だよな、結局のところ何が必要で必要ないか、それはやってみないと分からないもんだ。んで、必要ないことを経験してもそれが意味なかったかどうかなんてのもやってみればわかること。つまりやって意味なかったって経験が意味があるってな。

 とにかく遺言を受け取ってからの鷲沢は妙に緩くなったというか、肩の力が抜けてたから、これまで見る気なかった、そもそも見えてなかったものを見ることで成長しているわけで。

 ただ近くのコンビニに行くのは効率的、でも遠くのコンビニに行くのは非効率、でも行ってみないと分からないって辺りの徹底ぶりは鷲沢で。


「ただま、あいつらにも毎回付き合わせるのもな。故にテメェを誘ったわけだ」


 むしろ毎回付き合いたいだろうに、その辺にも全く気づかずに変な遠慮をするのも鷲沢だわ。でもま、これはこれで良いかもな。どうせ結局はあいつらと一緒にいる時間が一番だって分かるだろうし。

 これまたつまり、実際に色々したことで改めてあの四人が自分にとってどれほど大切な存在かがわかるってことで。


「どうせなら一番遠いコンビニ行ってみるか?」

「バカか。ここから歩いてだと二時間は掛かるぞ」

「別に良くね? バカだし」

「それもテメェの専売特許だが……ま、それもいいかもな」


 てなわけで、俺たちは相変わらずバカな時間を二人で楽しみましたとさ。



 ちなみに――

 俺たちはマジで片道二時間のコンビニまでバカな話をしつつ行ったんだが……帰りはソフィちゃんの車で帰宅した。うん、さすがに帰りが遅いって宮部や愛ちゃんから何度も連絡来て、鷲沢は気にするなって返したけどまあ気にするわけで。

 最終的にどこにいるかをバカ正直に答えて、なにしてんのっ? からの向かえに行かすからってソフィちゃんを呼んでね……まあ、ここまではいいけど。


「それでは孝太さん、また今日に」

「じゃあな」


 …………うん、俺は乗せてくれないのね。そんでもって、鷲沢……。


「俺をしれっと置いてくな!」


 からの鷲沢からのメールが。


『美味しいだろ』


 美味しいけども!




優介の奇行がなんだったのか、という答えでした。

それには孝太がピッタリですね。彼は解説役やオチに重宝するので作者的にも大助かりなキャラです(笑)。


さて、これにてレシピ17のオマケも終了。

そして次回から第四部……なのですが、実はこの作品を作者は三部で完結と考えていました。ほら、なんだか最終話っぽい内容だったでしょう?

ですが構成を練って実際に作品として仕上げていく内に、ここで終わるわけにはいかないと考えを改めました。

やはり最後まで書き切るべき内容もありますからね……長々と語りましたがつまり、次回から第四部であり完結編となります。

もちろん料理の話もありますが、メインは優介らの進路です。

なのでみなさま、最後の最後まで彼らの物語を見届けてください。

ではオモイデレシピ完結編、レシピ18『シアワセレシピ』をお楽しみに!


みなさまにお願いと感謝を。

少しでも面白そう、続きが気になると思われたらブックマークへの登録、評価の☆を★へ!

また感想もぜひ!

作者のテンションがめちゃ上がります!

読んでいただき、ありがとうございました!

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