枝の発展(後編)
枝の発展の後編です
ごきげんよう、オリビア・アスファードです
私は現在、アラム子爵の案内の下、子爵家のシマの視察を行った。河川、畑、町を一通り回った後、私はあるものに目を付けた
【オリビア・アスファード】
「これ、カラムシ(青芋)じゃない」
前世の記憶で新潟県に行った際に、織物の材料としているカラムシ(青芋)を見ており覚えていた
【アラム・オリバーン】
「その雑草をご存じなんですか?我々は駆除していますが、いつも生えてきて困っております」
【オリビア・アスファード】
「何言ってるの?これは織物の材料として使えるのよ」
【アラム・オリバーン】
「えっ!そうなのですか!まさかその雑草にそんな使い道があったとは」
【オリビア・アスファード】
「このカラムシ(青芋)は織物作りには欠かせないわ、特産品として領民の副業として奨励したほうがいいわ」
【アラム・オリバーン】
「そうですか。では早速、調査してみます」
まずは織物をオリバーン子爵家の特産品とすることに決定した
【アラム・オリバーン】
「では最後にこちらをどうぞ」
案内されたのは天然の温泉でした
【アラム・オリバーン】
「我が領地の唯一の自慢です。普段は仕事の疲れを癒す領民たちの湯治場として使っております」
【オリビア・アスファード】
「温泉はここだけなの?」
【アラム・オリバーン】
「いいえ、我が領内には温泉が数え切れないほどあります」
【オリビア・アスファード】
「よし、この温泉を使って、客を呼びましょう!」
【アラム・オリバーン】
「客を呼ぶ?」
【オリビア・アスファード】
「ええ、この温泉の名所として国内外に広めるのよ」
【アラム・オリバーン】
「広める!国内外にですか!」
【オリビア・アスファード】
「ええ、温泉は美容にいいから、特に女性には大人気なのよ」
【アラム・オリバーン】
「女性にですか?」
【オリビア・アスファード】
「アラム殿、いくつになっても女性は綺麗でいたいものなのよ」
【アラム・オリバーン】
「はあ~」
【オリビア・アスファード】
「あと、温泉は入浴用と作業用に分けておいたほうがいいわ」
【アラム・オリバーン】
「入浴用は分かりますが、作業用とは何に使うのですか?」
【オリビア・アスファード】
「作業用とは、温泉水を使ったご当地グルメよ。温泉水を使った温泉饅頭・温泉パン・温泉卵・温泉水の焼酎・温泉湯豆腐等、いろいろな料理ができるわ、ご当地でしか食べられない名物も紹介するのよ」
【アラム・オリバーン】
「なるほど」
【オリビア・アスファード】
「それに温泉施設も作った方がいいわね。泊まり用と日帰り用と分ければ文句なしよ」
【アラム・オリバーン】
「いや~そこまでは考えませんでした。恐れながら、その知識はどこで入手したのですか?」
【オリビア・アスファード】
「フフフ、秘密よ(さすがに前世の記憶とは言えないわ)」
【アラム・オリバーン】
「分かりました。でもこれだけのことをやると、かなりの費用と人脈が必要になります」
【オリビア・アスファード】
「その心配はないわ、陛下と夫にお願いして、資金と人手を出してもらうわ」
【アラム・オリバーン】
「オリビア様、助言だけではなく援助までしていただき、感謝の念が堪えません」
【オリビア・アスファード】
「勘違いしないでちょうだい!決して貴方のためじゃないわ。私は貴方の領地に住む家臣と領民とその家族のために援助したのよ。貴方の仕事は家臣と領民の暮らしを守ること、それが人の上に立つ者のケジメよ」
【アラム・オリバーン】
「オリビア様の言葉を聞き、目から鱗が落ちた気分です。オリビア様の言葉に従い、子々孫々への格言として、これからも精進し伝えていきます!」
【オリビア・アスファード】
「まあ頑張りなさい、ねえ、領内の温泉で名物の秘湯はあるかしら?」
【アラム・オリバーン】
「もちろんございます。我が領内の名物の秘湯をご案内いたします」
【オリビア・アスファード】
「温泉を見てたら、入りたくなっちゃったわ」
私は名物の秘湯で入浴し、子爵家のもてなしに舌鼓をうち、一泊してから悠々と皇都へ帰還した
帰還したその足で愚弟と夫にお願いし資金と人脈を駆使し、オリバーン子爵家の発展に努めた
その後、オリバーン子爵家の治めるシマは温泉の名所として国内外に徐々に知られるようになり、カラムシで作った特産品の織物【オリビア織】&【オリビア縮】が作られ、皇都に徐々に広まった。また温泉水を使ったご当地名物の【オリビアの温泉饅頭】&【オリビアの温泉パン】&【オリビアの温泉卵】&【オリビアの温泉焼酎】&【オリビアの温泉湯豆腐】等も好評である。ちゃっかり私の名が使われているのは気になるが。御用商人の宣伝文句でオリバーン子爵家の治めるシマには美容目的で来る女性客が後を絶たず、日々、忙しくなっているようですが、依然と違い活気にみち溢れており、シノギの方も徐々に増えていくようです。シノギの方は問題ありませんが、また問題が発生しました。アスファード公爵家に各シマの領主たちからシマの発展の嘆願書が後を絶たず増えていることです
【オリビア・アスファード】
「そんなことは、てめえらで何とかしやがれ!いちいち人に頼んな!こんちくしょーーーーー!」
山積みになった嘆願書を見て私は文句を垂れ続けた