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チート能力者達の異世界ライフ  作者: 星川佑太郎
13/14

勝てる気がしない

お待たせ致しました。一ヶ月ぶりの投稿です


---ラガシュ平原---


『パラサイトダンデライオン』なる植物型のモンスターが出現するというラガシュ平原へとやってきた俺たち。


「あ、アレかな?」


悠里の指差す方向には見るからに超絶巨大なタンポポが。


って……、デッカ!え?デカすぎるだろ!?


一言で言えば俺よりでかい。大体2〜3メートルといったところだろうか。

しかもいくつかの個体が綿毛を絶えず飛ばして居る。花を咲かせて居る個体もある。

そう、パラサイトダンデライオンは群生して居るのだ。綿毛を飛ばし続ける個体のおかげで秒速で増殖して居る。


「こ、これあかんやつや……」


なんというか人の手に負えそうにない。


「見て……、康介くん。根っこのところ」

「おいおい……、嫌な予感的中かよ……」


そう、パラサイトダンデライオンの根っこのところには動物の死骸が転がっていたのだ。

どうやらパラサイトダンデライオンは地面ではなく、動物の体に根を植え付けるらしい。成る程、確かにパラサイトだ。キノコかよ。

いくつかは地面に植わって居るが、大方寄生していた宿主である動物の死体が腐って白骨化したのだろう。


誠治が顎に手を当てながら冷静に分析する。


「つまり、動物の体から養分を吸い取ってある程度成長し、大きくなると大地に根を生やす。そういう事だね」

「にしてもデカイな。それに触手みたいな蔓がびゅんびゅん生えてんぞ」


すると、パラサイトダンデライオンは俺たちの目の前で近くを飛ぶ鳥をまるで食虫植物の様に絡めとり、花弁の中に突っ込んだ。

ジュルジュルと花弁の中から透明な液体が出てくる。消化液だろうか?


「うわぁ、無理だろこれ」

「僕もちょっとお近づきにはなりたくないなぁ……」

「ねぇねぇ、見て見て。これブヨブヨしてる」

「アホかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎何触ってんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」


俺と誠治の会話をがん無視して悠里が手前のパラサイトダンデライオンの茎のあたりについて居るブヨブヨを突っついて居る。

取り敢えず俺は叫んだ。シャウトした。


「あ、危ないよ、悠里さん……。た、頼むからゆっくりこっちに戻ってきて……」


誠治がまるで立てこもり犯に呼びかけるかの様に声をかける。


「うん、分かった」


ダッシュで戻ってきやがった。


すると、悠里の動きに反応したかの様にパラサイトダンデライオンの触手状の蔓がこちらに大挙して迫ってきた。


「あ、アホおぉぉおおぉぉぉおぉぉぉ‼︎」

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ⁉︎」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」


俺と誠治は叫びながら逃走して居るが悠里は違う。テンション上がって叫んでるだけだ。こいつ今の状況を楽しんでやがる。


どないせいっちゅーねん。


って、ちょっと待て。


「おぃぃぃぃぃぃ‼︎あ、あのタンポポ、あ、歩いてねえか⁉︎」

「根っこが足の形してるね……」

「すっごい!」

「お前はいつまで頭ん中お花畑なんだよ!」


叫んでも事態は好転しない。

後ろからはドスドスと音を立てながらこちらに迫ってくるタンポポの大群。『キシャァァァ』とか言ってる。

隣には楽観的な幼馴染。クソの役にも立ちはしない。

逆の隣には白目むいて全力疾走して居る二つ年上の大学生。やはり役には立たないだろう。


「くっそ!やるしかねえのか!ぶっ飛びやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」


逃げても仕方がない。

クエスト失敗で違約金を払うのが嫌だというのもある。だったら戦うしかない!

俺はその場で反転し、思いっきり右手を振りかぶって拳を突き出した。

俺のチート能力があればこんな葉っぱ野郎なんざ一撃で吹き飛ばせる!


ブチブチブチィ!


嫌な音と嫌な液体を漏らしながらいくつかのパラサイトダンデライオンは吹き飛んでいく。

しかし、数が多過ぎる。


プスッ。


「あ」


刺さった。


刺さってしまった。


パラサイトダンデライオンの綿毛が俺の首筋に。


あ、俺死んだ。


「こ、康介くん!」

「康介!」


俺はその場にがくんと倒れこむ。

ダメだ。力が入らない。


「くっそ……、ぐ、ぐぁぁぁぁぁぁぁ!」


俺が立ち上がろうと両腕に力を込めた瞬間、首筋に激痛が走った。

まるで全身を炎で焼かれて居るかの様に痛い!


「いってえ……、くっそおおおお!」


ミチミチと音を立てながら綿毛が急速に成長する。根っこが俺の体の内部に入ってくる感覚がする。

そして、次第に俺の全身から力が抜けていく。エネルギー吸い取られていくのを体で感じるのだ。


「くっ、視覚チート!」


誠治がチート能力を使って俺の体の内部を見て居るのだろう。

そして、誠治の表情は蒼白に染まった。


「だ、ダメだ……、もう体の奥深くにまで……」

「康介、ちょっと我慢してね」

「は、はぁ……?うぃっ⁉︎」


ブチブチブチィ!と俺の首筋から悠里が綿毛を取り出したのだ。

もちろん激痛が走った。


「いってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」

「ゆ、悠里さん⁉︎な、何して……、そんな事したら主要な器官を傷つけたかもしれないのに……」

「うーん、なんか大丈夫な気がしてさ」


そう言って悠里は手をヒラヒラと振った。

そうだ、悠里のチート能力を幸運チート。悠里が取り出した綿毛は奇跡的に(・・・・)俺の体に後遺症を残さなかった。

それは、必然的に起こされて奇跡だったという事だ。


「相変わらず恐ろしい能力だね……、悠里さん……」

「幼馴染ながら戦慄を隠し切れん」


しかし、休憩して居る暇はない。

まだパラサイトダンデライオンは沢山いるのだ。


「チッ!誠治!アレって弱点ないのか⁉︎」

「炎に弱いってさ!」

「そりゃ耳寄りな情報だな!で、炎は?」

「ごめん、使える人ここにいないよね」

「よく分かってんじゃねーか!なんの役にも立たねえ情報をありがとうよ!」


と、俺たちが問答をしていると突然背後から火の手が上がった。

しかも小さな炎ではない。突然大きな炎が上がったのだ。


「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ⁉︎」

「ば、バカな!」


確か山火事ってのは稀にだが、枯れ葉の擦過でも起こると聞いたことがある。

しかし、まさか今ここで起こるか⁉︎


まさか……。


俺と誠治は同時に悠里の顔を見つめた。


「あはは……、え、私?」


十中八九お前だよ。


立ち尽くす俺たちの背後でパラサイトダンデライオンは全滅した。


これを『幸運』で片付けるのだからチート能力恐るべし。


さっき、パラサイトダンデライオンに勝てる気がしないと言ったが、そんなものより悠里に勝てる気がしない。

『転生魔王』が忙しいのでペースが遅いですが、温かい目で見守ってやってください

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