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ノーマネー・ノーライフ  作者: ごまだんご
2章 新たな仲間と安住?の都市
16/66

旅の準備はしっかりしましょうね

2章始まりました。

宜しくお願いします。




 貴族の襲撃に会い、テビニーチャの街を逃げ出したユキナリとシャナはホナップ草原を超え、緑豊かな森の中の道を進んでいた。


 当初の予定ではホナップ草原の道なりに進んで、お世話になったミノタウロス族のポピドンさんが暮らしているイスキ村を目指そうとしていたユキナリであったが、予想と違って多くの分かれ道に出会う事になってしまった。


 街で購入しておいた地図には詳細な道の情報などなく、大雑把に国や街の方向が分かるだけという現代人だったユキナリには衝撃的な地図であったのも原因の1つであろう。


 それならばと、草原に集落があるシャナに道案内を頼もうとしたのだが、シャナも使い物にならなかった。彼女は意外と箱もの娘だったらしく奴隷になるまでは集落と近くの狩場である森にしか行ったことがなかったのだという。近場で有名なテビニーチャの街への行き方くらいは聞いた事があったそうだが、周辺の街や村の情報は何ももっていなかった。


 申し訳なさそうに謝罪するシャナの頭を撫でながら、どうしようかと考えていたユキナリであったが、まぁいいやと考えるのを放棄した。


 元々確固とした目的があって旅に出たわけでもないので適当に勘で道を決めて進んでいったのだった。あまりにも適当だったので、再びテビニーチャの街に戻ろうとしても戻れないだろう。後さき考えないユキナリであった。


 適当に進みながらも4日程で草原を抜けた2人は冒頭の森の中を進んでいた。ちなみにユキナリはとっくにシャナの背中から馬車の中へと移動している。旅の間、魔物が結構な頻度で襲ってくるので足手まといのユキナリはシャナの邪魔にならないようにしたのだ。背中から降りたときシャナが悲しそうな声をあげていたのは、どうゆう事だろうか?


 森に入ってもう6日目か…………。流石に保存食と魔物の肉だけじゃ飽きて来たな。持ち物にも限度があるから調理器具は泣く泣く諦めたけど、やっぱり必要だったか。焼くか炙るしか出来ないと料理もへったくれもないしなぁ。

 

 前世での極貧生活のせいで変質した体質は食事も数日に1回でいいので食糧の減りは問題ない。シャナが狩りをしてきてくれるので新鮮な魔物の肉(ウサギとか狼)も食べれるのだが、鍋なんかの調理器具を買ってこなかった為焼肉オンリーの食事にユキナリは飽きていた。


 隣ではシャナがおいしそうにウサギの丸焼きを頬張っている。ケンタウロスなのに彼女は肉好きだ。肉食系女子だったのだ。何日も連続して献立は肉ばっかりだが彼女は嬉しそうだった。


 次の街についたら調理器具と野菜買わないといけないな。こんだけ肉ばっかりだと栄養偏っちゃうしなぁ。


 パチパチとはじけるたき火を見ながらユキナリはそう決心したのだった。


 


 夜がふけてくるとユキナリは馬車の中に入って毛布をかぶるといつもの日課を果たす。アーツの使用である。


 普通の旅人だったら夜は見張りを立てて魔物や盗賊からの襲撃に備えるものだ。ユキナリ達のパーティーでも例外ではないのだが、彼らは旅に出てから一度も夜警に立ったことはなかった。


 その理由はシャナが持つアーツ【風精霊の加護】が関係している。ケンタウロス族は風の精霊【シルフィード】との相性が良く、稀に精霊との親和性が高い個体が生まれる事がある。シャナもそんな精霊に好かれた1人であり、精霊の力を借りることができる能力を持っていた。


 精霊は何処にでも住んでおり、特に自然が豊かな場所にはたくさんの精霊が存在している。当然緑豊かな森にもいる精霊は、自分達が気に入っているシャナとおまけのユキナリに危害が加わらないように護ってくれるのだ。


 当のシャナは馬車の横でスヤスヤと眠っているが、今もここから10メートル先に現れたバウンドウルフが風の精霊によって森の奥深くに吹っ飛ばされていた。この為、ユキナリもシャナも夜に警戒を向ける必要がなく安心して身体を休ませる事ができるのだった。


 ユキナリは手の平に現れた1枚の金貨を懐の革袋に入れる。何度も使ってきたから慣れたのか、幾分疲労感も少し減ったように感じられる。その成果が入っている革袋はずっしりと重かった。実に28枚の金貨が入っている為、実際の金属としての重さに心情的な重さが加わってとても重たく感じていた。


 この世界に銀行ってないのか?数千万円を普通に持ち歩くとか心臓に悪いんだけどなぁ。とぼやきながらユキナリも意識をおとしていった。


 因みにこの世界に銀行はない。安全に金を預けられる機関は冒険者ギルドくらいである。


 




 そんな日から更に10日が過ぎた。


 途中に小さな村を見つけ野菜類と小さな鍋を買うことが出来たので、食生活も少し良くなった。スープや煮込み料理も出来るようになったのが大きい。シャナが捕まえてくるニワトリのような魔物の骨を取っといてよかった。鶏ガラというかチキンスープみたいなダシの素を作ったユキナリは、それに野菜をたっぷり入れたものを夕食に必ず出した。


 肉食系女子で野菜嫌いの馬娘は拒否したが、身体に良いから食べなさいとユキナリに怒られてからちゃんと食べていた。主人公がお母さん化してきてしまっている。


 ここ最近ずっと続いている森での旅の生活だったが、今日はいつもと違っていた。


 林道を進むユキナリ達の前に、漆黒の鎧を着た人物が立ちふさがっていたのだ。鎧の人は、巨大な両手剣を握りこみ、ガシャガシャと音を発して走ってくる。


 すぐにシャナが立ちふさがり、振り下ろしてくる両手剣を片手剣で受け止めた。馬の体重がある分ウェイトもあるシャナの身体が勢いで押された。今までの魔物とは違う実力を感じられる鎧の人だった。


「うおーーー!飯寄こせー!!!」


 突然叫んだ鎧の人の襲撃理由はしょうもなかったが・・・。






ご覧いただきまして有難うございます。

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