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第41話 絵美里の告白と俊則の気持ち

あれから2か月が経過した。


お兄様は大聖堂で結婚式を挙げ、それはとても美しく大変眼福なお二人だった。

ガチで“スチル”がない事に悔し涙を流したものだ。


今はゆっくり世界を回りながらハネムーンの最中です。


一方相変わらずヘタレな私は、

愛する俊則との関係を、進める事が出来ないでいた。


脳内ではもう“とんでもない事”になっているけれど……


もちろんキスはいっぱいする。

なんならそれはもう熱烈な大人のキスだってした。


溶けちゃうほど気持ちいい♡


私の体だって……

俊則優しく……


あう…


ああ、もう。


ダメだ私。


俊則もスッゴク色っぽいし、超かっこいいけど。

結局私を最優先だから……


いつも『そうなりそう』な時に私が少しでも躊躇すると優しく頭を撫でてくれて、


『俺は舞奈が大好きなんだよ?そういう事もしたいけど、舞奈が心からそう思わないならしない。俺は舞奈の心が一番大切なんだ。体も欲しいけど、それが目的じゃないんだ。ゆっくりでいいからね』


とか言うし。


違うの。

私もしたいのっ!


でも……

もう、なんで?


あうう。


……私はきっと。

38歳まで重い想いでこじらせてしまい…


――恐いんだ。


もし、俊則が……

その…


良くなかったらって……


ああああ、もう。

俊則優しいから絶対思わないし、そんなことでどうにもならないってわかっているけど…




――怖い。



※※※※※



私が自室のベッドでそんなことで悶々としていると、珍しく絵美里が一人で私の部屋に来た。

なんだか思い詰めた顔をしている。


「いらっしゃい絵美里。どうしたの?ルルは?」

「舞奈さん」


「…なに?」


絵美里は私が座っているベッドの隣に腰を掛けた。


いつもはそんなこと絶対にしない。

一応彼女は私の従者だ。


「…本田先輩、私がもらいます」

「っ!?な、なに?突然…」


絵美里は真剣な表情で私を見つめる。

思わず怯んでしまう。


「可哀そうです。本田先輩をじらすだけなら私を抱いてもらいます。気持ちよくしてあげたい」

「だ、ダメっ、やだっ、まっ、待って、そんな……」


「舞奈さん、酷いよ?どうして拒絶するの?本田先輩、貴女の事心から愛しているのにっ!どうして?もう、私見ていられないよ」


「……」


「いらないならいらないって言ってください。私はいつでも抱かれたいのに…どうしてもあなたに敵わないのにっ!」


絵美里の目から涙が零れ落ちる。


私はなぜかとても悲しくなった。

そして情けなかった。


私はどこかで。

絶対俊則は私を選んでくれると――うぬぼれていたんだ。


「ごめんね、絵美里。ごめんね…ヒック…グスッ……うう……うああ」

「グスッ…舞奈さん…ヒック……私、本田先輩が好きなの……でも、舞奈さんも大好き」


「……うん」


二人はしばらく抱き合って泣いていた。


絵美里は涙を拭いて寂しそうに笑う。

私は何だか居た堪れなくなってしまった。


「もう、舞奈さん。本田先輩は優しいですよ?そしてあなたを待っています」

「…うん」


絵美里は大きくため息をつく。


「まったく。38歳で乙女とか……面倒くさいです」

「うっ…酷いっ」


「もう、先輩の童貞貰うんでしょ?早くしてください。私もう我慢できないですから」


猛烈な色気が絵美里の体から噴き出した気がした。


ぐうっ、さすが主人公!

やばすぎる。


「先輩いま部屋で一人ですよ?さっき訓練終わっていましたし」

「っ!?……うん」


「…初めては痛いですからね。でも思いっきり甘えてあげてください。本田先輩もチェリーなんだから」


「う、うん。……その、あの…どのくらい痛いの?」

「ふふっ、内緒です♡」


「ん、もう。……イジワル」



※※※※※



私は絵美里に会えて良かったって。


心から思った。


確かに彼女のせいで私たちは酷い目に遭った。


だけど。

今の彼女は私の大切な親友だ。


思えば彼女も“悪い神”の被害者なんだ。


「ありがとう絵美里。私、俊則に会ってくる」

「はい。大丈夫ですよ。舞奈さんスッゴク可愛いんだから」


「うん」



※※※※※



私は俊則のいる客間のドアをノックする。

きっと私は。

――今、死にそうな顔をしているに違いない。


「どうぞ」


優しい声が私に勇気をくれる。

大きく頷いて、私はドアを開けた。


「舞奈?いらっしゃい。…どうしたの?嬉しいけど」


ああ、やっぱり好きだ。


優しい瞳も、温かい声も。

私は何も言わずに俊則に飛びついた。


彼が優しく私を受け止めてくれる。


「どうしたの?…ああ、可愛い。大好きだよ」


ぎゅうっと抱きしめてくれる俊則。

私はとても心地よくて顔をスリスリしてしまう。


「はあ、可愛い。舞奈、愛してる」

「うん。……俊則」


「ん?」


顔に熱が集まる。

でも、言うんだ。


私はもう後悔しないって決めたはずだ。


「舞奈」

「ひうっ」


「ごめんね。……俺さ、経験ないじゃん?だからさ、舞奈女の子なのに――君に決断させてしまうところだった」


「えっ?」


俊則は私を抱いてベッドへと優しく下ろしてくれる。


「初めてで、うまくできないかもだけど……失敗するかもだけど……舞奈を抱きたい」

「っ!?」


「ごめんね。俺がヘタレだったから、舞奈にそんな顔させちゃった」

「……」


「俺さ、恐かったんだよね」


「っ!?」


「もしうまくいかなくて、嫌われたらどうしようって」


「…あ」


俊則はまだ17歳。

そして彼は全く経験がない。


普通は色々知識があるはずだった。

エッチなビデオとかそういう本とか……


でもそんな余裕、彼の人生になかったんだ。


「でもさ、俺も男だから……好きな子とエッチなことしたい」


そして物凄い欲情の色に瞳が染まる。


大人のキスをしながら私の体に触れてくる。

体中に電気が走り抜ける。


「もう、我慢したくないよ。舞奈、君が欲しい」

「……うん」


もう。

この男は。


私の勇気を。

ううん、“無理”を分かってくれていた。


そして怖いのに。

……俊則から言ってくれた。


凄いね。

私たち年は全然違うのに、同じだったんだ。


二人とも恐かったんだね。



もう愛おしさが止まらなかった。


そして不安も。

彼に抱かれ、あり得ない幸福感に。




全て流されていた。


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