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静かになった部屋に、まだ少しだけ熱が残ってる。
さっきまでの余韻が、じわじわと身体に残ってて、
うまく動けない。
隣で、湊が息を整えてる気配。
それから、少しだけ間を置いて
ふっと、小さく息を吐く音。
そのまま、横にいる私を見る。
一瞬だけ、目が合って、すぐ逸らす。
「……いや、ほんとに」
自分に言い聞かせるみたいに、もう一回。
「やりすぎましたね」
でも完全に後悔してる声じゃない。
どっちかっていうと、
“やっちゃったな”と“でも止まれなかった”の間。
黙ったまま見てると
ちょっとだけ困った顔する。
「……あんなことする方が悪いでしょ」
ぼそっと。
開き直り。
「……は?」
思わず返すと、
「いや、だって」
少しだけ視線泳がせてから
「あれで我慢できるわけないじゃないですか」
そのまま、少しだけ近づいてくる。
「ほんとに、無理でした」
今度はちゃんとこっち見て言うから、
余計にずるい。
少しだけ間。
それから、ふっと表情が緩む。
声のトーンが少し戻る。
「大丈夫ですか」
さっきまでとは違う、ちゃんとした声。
そっと腕に触れてくる。
「動けます?」
「……無理」
「ですよね」
苦笑。
でも、その顔はどこか安心してる。
そっと、手が重なる。
さっきよりずっと優しい触れ方。
そのまま少し沈黙。
ぽつりと、
「次は加減します」
「……無理しないでいいよ」
一瞬、止まる。
それから、ふっと笑う。
「……それ言われると」
少しだけ顔を寄せてくる。
「余計無理なんですけどね」
低い声。
さっきの余韻が、まだちゃんと残ってる。
思わず目を逸らすと、
くすっと笑う気配。
そのまま、額に軽く触れる。
今度は本当に優しい。
「可愛すぎました」
「あれは反則です」
小さく言って、
また少しだけ距離が近づく。
でも、さっきみたいにはいかない。
ちゃんと止まってる。
そのまま、少しだけ息を吐いて
隣に落ち着く。
肩が触れる距離。
何も言わなくてもいい空気。
「満足ですか」
なんて聞いてくるから
「……うん」
って答えると、
少しだけ、目を細める。
「それなら、よかった」
その声は、さっきよりずっと柔らかくて。
そっと、もう一回手を握られる。
今度は、ただ繋ぐだけの手。




