101 *
シーツの上。
少しだけ距離があいたまま、向かい合う。
さっきまで普通に話してたはずなのに、
どこか落ち着かない空気が残ってる。
「……どうしたんですか」
「な、なんでもない」
視線を逸らす。
でも、逃げきれてない。
「……」
その違和感、もう見過ごせなかった。
「……遥花さん」
名前呼ぶと、ゆっくり視線が戻る。
そのまま、手を伸ばす。
「……っ」
触れた瞬間、わかる。
「……」
一瞬、止まる。
でも、引かない。
指先で、そっとなぞる。
布越しに伝わる感触。
「……今日、のために?」
低くなる声。
「……うん」
小さく頷く。
その瞬間、
理性が揺れた。
「……」
息が浅くなる。
少しだけ距離を詰める。
「……だめだ」
ぽつりと落ちる。
「え?」
「……やさしく、できないです」
さっきより明らかに余裕がない声。
「……っ」
視線がぶつかる。
外せない。
「……ちゃんと見せてください」
抑えてたはずの言葉が、そのまま出る。
「……やだ」
でも、手は離されない。
「……」
少しだけ息を吐く。
「……じゃあ」
指先が、ゆっくり動く。
「俺が見ます」
「ちょ、まっ」
その声より先に、
止めていたものに触れる。
「……っ」
空気が一気に変わる。
「……」
一つ、外すたびに
余裕が削れていく。
「……やば」
小さく零れる。
「……こんなん無理や」
「……ほんとに、だめだって言ったのに」
掠れた声。
でももう、止める気はない。
「……我慢できるわけないじゃないですか」
半分、呆れたみたいに笑う。
「……無理に決まってるでしょ」
完全に、開き直った声。
さっきまでの“抑える側”じゃない。
「……っ」
逃がさないように、引き寄せる。
「……もう、手加減しないですから」
低く落とす。
「……後悔しても、遅いですよ」
「……しないって言った」
「……ほんとに、困ります」
そう言いながら、
全然困ってない顔。
むしろ、嬉しそうにすら見える。
「……じゃあ、遠慮しません」
そのまま、深く沈む。
さっきより、ずっと強い。
「……っ、湊……」
名前呼ばれるたびに、余計に加減が効かなくなる。
「……呼ばないでください」
「……余計、止まらなくなる」
呼吸が乱れる。
「……ほんとに」
息が触れる距離で、
「……可愛すぎなんですよ」
それは責任転嫁みたいな言い方で。
でも、完全に本音。
「……だから、こうなるんです」
止める理由なんて、もうどこにもない。
「……っ」
そのまま、全部持っていくみたいに深くなる。
「……遥花さん」
名前を呼ぶたびに、
自分の中の何かがほどけていく。
自分でも制御できてないのが分かる。
それでも止めない。
時間の感覚が曖昧になる。
どこまでかなんて、もう分からない。




