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測定不能  作者: Wataru
6/6

補正値0.02

職業適正評価は、完全自動化されている。


 能力試験、実績、性格傾向、健康状態。


 すべて数値化され、AIが最適職を割り振る。


 人為的な介入はない。


 それが、この国の誇りだった。



 主人公の仕事は、そのログの確認だ。


 エラーがないかを見るだけ。


 基本的に、何も起きない。


 今日も同じだと思っていた。



 若者のデータが流れる。


 非世襲。


 能力値は高い。


 適正スコアも十分。


 だが、最終評価がわずかに下がっている。


 -0.02。


 誤差範囲。


 画面右上には表示。


 【継承安定率:正常】


 主人公は眉をひそめる。


 別のデータを開く。


 世襲。


 能力は平均。


 だが補正値 +0.02。


 表示は同じ。


 【継承安定率:正常】



 仕様書を開く。


 そこに小さく記載されている。


 《社会安定補正》


 世代継承職は、安定指数向上のため微調整を行う。


 合理的だ。


 世襲は教育コストが低い。

 ネットワークが引き継がれる。

 トラブルが少ない。


 社会は回る。



 主人公は指を止める。


 補正値は変更可能だ。


 ログは残らない。


 0.02を消すだけ。


 誰も気づかない。


 社会も壊れない。


 ほんのわずか、公平になるだけ。



 だが。


 画面には表示。


 【継承安定率:正常】


 異常ではない。


 違法でもない。


 混乱も起きていない。


 誰も抗議していない。



 主人公はしばらく画面を見つめる。


 胸の奥に、かすかな違和感。


 小さい。


 本当に小さい。


 たった0.02だ。



 指が動く。


 保存。



 【処理完了】


 【継承安定率:正常】


 表示は緑。


 問題なし。


 主人公は端末を閉じる。


 違和感は、まだある。


 けれど。


 社会は正常だ。


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