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測定不能  作者: Wataru
11/25

存在ランキング

朝、ログインすると表示された。


白い画面。

黒い文字。


【存在ランキング:8,412,229位】


彼は少しだけ目を細めた。


「まあ、そんなもんか」


隣の席の同僚が言う。


「俺、500万台」


少し誇らしそうだった。


ランキングは毎月更新される。


社会貢献度。

経済価値。

代替可能性。


AIがすべて計算する。


公平な制度だと、皆が言う。



彼の仕事は清掃だった。


オフィスビルの廊下を拭き、

ゴミを回収し、

トイレを整える。


人が働く場所を、整える仕事。


ランキングが低いのも、理解はできた。



ある日。


駅が止まった。


最初は小さな遅れだった。


でも数日で、駅のトイレが閉鎖された。


ゴミが溜まり、

臭いが広がる。


駅は一部閉鎖された。



同じ頃、病院でも問題が起きた。


廊下の清掃が追いつかない。


感染対策が保てない。


手術室の一部が停止する。


ニュースが流れる。


「清掃員不足が社会に影響」


専門家が困った顔で言う。


「想定外でした」



AIは再計算を行った。


社会停止リスク。

業務重要度。

必要人数。


数日後、発表が出る。


【清掃業務:社会重要度 高】



彼はそのニュースを見た。


同僚が笑う。


「俺たち、重要らしいぞ」


「へえ」


彼はうなずく。



翌月。


ランキングが更新された。


彼はログインする。


表示を見る。


【存在ランキング:8,412,229位】


変わっていない。



同僚が言う。


「上がらないのか」


彼は少し考える。


それから言った。


「仕事は重要でも」


「人は替えがきくんだろ」


同僚は少し黙った。



彼はモップを持つ。


床を拭く。


ゴミを回収する。


駅は少しずつ動き始める。


病院も再開する。


社会は、また回り始める。



彼はスマホを見る。


表示が出ている。


【社会安定度:正常】


その下に、小さく表示された。


【清掃員:代替可能】



彼は画面を閉じた。


モップを持ち直す。


床は、まだ少し汚れていた。

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