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ⅩⅥ:シズクの正体

「先生、復s「さぁ、復習の時間だ!」


・無意味なあらすじ!


・いつぞやの小屋に到着!


・魂がぁあああああ!


「以上!」


「最後まで言わせろ先公!」

「……うぐっ……」


「フフ……どうですか? 魂を吸われる気分は」


 月が綺麗な夜。 僕は絶体絶命な状況に陥っております。


 何だこれは。 何があったんだ。 説明プリーズ!


「どうして私がこんな事をしているのか、知りたそうですね。 地獄への手土産に話してあげましょうか」


 必死のアイコンタクトが通じたのか、律儀にシズクは話してくれそうです。 ……ってか、普通そこは『冥土の土産』じゃ!?


「『冥土の土産』って言ったら、その辺の三流悪役じゃないですか」


 なるほど納得。


「え~、話している途中に死んじゃったらごめんなさいね? 実は私、【精霊族(エルフ)】じゃないんです。 私の本当の種族はダークエルフ。 大雑把に言うと魔物です」


 魔物ぉ!?


「そして、私達ダークエルフは、他者の魂をその糧として生きます。 具体的には、若くて活きのいい異性じゃないとダメなのですが」


 吸血鬼かよ。


「そんな訳で、お腹が減ったので魂を頂いています。 悪く思わないでくださいね?」


 そう言うと、シズクは満面の笑みを見せる。 ……って、だんだん視界がくすんできたんですけど!?


「……あ。 ちなみに、私の髪と目は、【精霊族(エルフ)】っぽく見せるために幻術を使っていただけですよ。 月の光を浴びると幻術が解けちゃうんです」


 ……そう言えば、何で命のやり取りをしてるはずなのに、こんなにのんびりとした空気が流れてるんだ? ……コメディー小説だからか。


 そんな事を考えている間も、意識が薄くなって……


「(ガチャ)ふぁ~……誰か見張り代わっt――」


「……あっ!(サッ)」


 と、そこへ、唐突の乱入者(トウカ)が出現。 恥ずかしさからか、シズクが死の抱擁を解除した!


「うぉおおおお……!(ヨロヨロ……)」


 そして、僕が命からがらシズクから離れる。 『うぉおおおおお!』と叫んだつもりが、情けない声になったのは仕方ないと思うよ?


「あ、アンタ達何してんの……?」


 目を点にしたトウカが、呆然とした雰囲気で聞いてくる。


 恐らく彼女の頭の中では、僕とシズクが抱き合ってイチャついているように見えたのだろうが、実際は命のやり取りをしていました。


「ぜぇ、ぜぇ……トウカ……シズクの……髪と目を……見てみろ……」


「はぁ? ……え!? あ、アンタは、お尋ね者のダークエルフ……通称『森の大幻術者』!」


 ……え? そんな有名人なの? だったらどうしてわかんなかったの? 髪が金から銀になって、目が青から赤になっただけだよ? 姿形は一切変わってないよ? ねぇねぇねぇ(以下略)。


 そんな僕のアイコンタクトを華麗にスルーして(でも気付いてたっぽい)、トウカは、シズクを敵意の籠もった目で睨めつける。


「フフ……私の正体がわかったところで、私をどうするんですか?」


「元仲間だからって容赦しないわ。 大人しくお縄につきなさい! 【拳一閃(チャージストレート)】!」


 足元で寝ている子供+αを蹴飛ばしながら、オーラを纏った拳で殴りかかるトウカ。 ……あ~あ、蹴飛ばされ組が一塊になって壁にぶつかったじゃんか。


 そんな事は無視して、トウカはシズクに拳を叩きつけ――


「な……っ!?」


 ――る前に、シズクが片手で受け止めた。


「フフッ、この程度の攻撃が私に通用するとでも?」


 余裕の笑みを見せるシズク。


 ……だが、受け止めている手が微妙に震えているのを僕は見逃さなかった!(キリッ☆)


「次は私の番「ピュイッ!(ズドッ!)」「ピャピッ!(ドゴッ!)」「ピー!(ドガッ!)」でっ!?」


 シズクの台詞が終わる前に、無理矢理起こされてキレた3色スライムが【体当たり】で奇襲。 ……君達に(強さのバランス的な意味も含めて)フェアプレイの精神は無いのか。


「こ、今度こそ私の「せっかくきもちよくねてたのにー!(ブォン!)」「すいみんぼうがいはんたいですーっ!(ブンッ!)」ばっ!?」


 そして、キャルト&キャロルによる追い討ち。 その武器はいつの間に出したの!?


「痛たた……」


「……大丈夫か?」


「な、なんとか、大丈夫です……」


 挙句の果てには、僕がシズクを気遣う始末。 どうしてこうなった。


「……でも、私の近くにいていいんですか? 魔物使いさん……っ!(ガシッ!)」


「……ぐぅっ!?」


 唐突に抱き付かれ、さっきの悪夢がまた甦る。


 おぅ、魂を吸われる事をすっかり忘れていた。


「……皆、今が攻撃のチャンスよ」


「「「「「…………(コクリ)」」」」」


 動けない僕とシズクを見て、トウカが冷めた目付きで非常な命令を下す。


「ちょっと待て! このままじゃ僕も巻き添えに「総攻撃よ!」「「おー!」」「「「ピィッ!」」」話を聞けぇえええええ!!」


 僕とシズクを狙って、オーラを纏った拳と炎を纏った斧と吹雪を纏った槌とビームと火炎と真空波が襲い掛かる。


 ……皆様、僕の特殊能力【最弱】(くわしくは『Ⅴ:Let's 自己紹介』参照)の存在を忘れておりませんか? ダメージ2倍なんですけどぉ!


 僕の魂の叫びを華麗にスルーして、非情な攻撃は僕ごとシズクに襲い掛かったのであった。

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