最終話:終わりは突然に
「先生ー! 最終話だから復習は止めましょう!」
「なんでそうなるんだ! ここしか出番無いんだぞ! いいから復習だ!」
・冥土の土産=三流!
・シズクの正体はダークエルフ!
・悪役が不憫!
・僕を巻き込んで一斉攻撃!
「以上!」
「……先生。 出番がここだけって、誰が言いました?」
「……え? マジで?」
「お尋ね者の逮捕、ご協力ありがとうございます!」
「うきゅ~……」
翌日、オーバーキルにより気絶したシズク(なぜか消えなかった)の身柄をギルドに渡し、僕は痛む体に鞭を打ちながらベンチに座る。
「おにーちゃん、だいじょーぶ?」
と、キャルト&キャロルが心配そうな目でこっちを見てくる。 心配する位なら、あの時僕を攻撃射程から外して欲しかったな!
……あ。 そういえば、この子達は……
「……そんな事より、君達に話がある」
一旦言葉を切って深呼吸してから、僕は話を切り出す。
「僕を元の世界に還してくれないか?」
皆様覚えているだろうか。 彼女達が僕をこの世界に召喚した事を。
「「いーよ♪」」
「軽っ!?」
僕の決死の決断を、あっさりと承諾してくれる2人。
「いいのか? 召喚なんて早々できる事じゃないだろ?」
「おとーさんが、『うらぎりものをたおしてくれたから、もうかえしていい』っていってたですっ♪」
裏切り者?
「シズクおねーちゃんのことですっ」
「おしろからかってにぬけだして、まちでわるいことしてたんだって」
そうだったのか。 ……でも、それって裏切り者とは違うんじゃないのか? ってか、お城ってどういう事?
「じゃあ、もとのせかいにかえろー!」
「あ、ちょっ!」
2人に手を引かれて、僕は駆け出す。 ……ってか、身長差で足がもつれて大変な事にぃいいいいい!
****
「「とーちゃくー(ですっ)!」」
「ぜぇ、ぜぇ……やっと止まった……」
街を抜け、<惑いの森>に入ってもずーっと走り続けて約1時間。 シズクを倒した時のダメージがぶり返してきて僕の体が悲鳴を揚げ始めた頃、やっと目的地に到着したようです。
なんだかやけに開けた所に……って、あれ? ここってもしかして、ギカントベアーさんと初めて遭った所じゃ……
「おとーさーん! つれてきたよー!」
キャルトが大声で叫ぶと、パリーンというガラスが割れるような音と共に、白亜の城が現れた。
……ただし、まるで魔王城を真っ白にしたような感じだが。
呆気にとられている僕の手を引いて、2人はずんずんと中に入っていく。
「「ただいまー!」」
『『『お帰りなさいませ。 キャルト様、キャロル様』』』
「なっ……え?」
通路の壁側には、使用人であろう者達がずらっと並んで頭を下げている。 『者達』と表現したのは、全員が背中から黒い悪魔の翼を生やしているからだ。 白い壁とのミスマッチ感が半端ないな。
長い通路を過ぎると、目の前に禍々しい大きな扉が。 白い壁とは相変わらずのミスマッチだ。
2人は大きな扉をバーンと開き、中に飛び込む。
「「おとーさん! ただいまー!」」
「おう、お帰り。 我が娘達よ」
2人の父親と思わしき人物を目にした瞬間、僕の目は釘付けになった。
その人物は、額に第3の目を持つ、強面の大男だった。
まるで魔王と呼ぶに相応しい貫録を身にまとっている大男だが、その身に纏う神々しい純白のローブが、全てを台無しにしている。
唖然としていると、魔王(?)が声を掛けてきた。
「貴様が娘達の召喚した者か。 我が名は魔王。 魔物を束ねる者だ。 ……このたびは、裏切り者のダークエルフの成敗、ご苦労だった」
そう言って、深々と頭を下げる魔王。 僕の中の魔王像が崩壊した瞬間だった。
……いや、だってさ、魔王ってもっと調子に乗って偉ぶってるもんじゃないの?
「む? なにか聞きたそうな顔をしているな。 質問でもあるのか?」
どうやら、僕は魔王様に発言する権利を与えられたようです。
「そ、それでは。 ……どうして、真っ白な城と真っ白な恰好なんですか? 違和感が凄いんですけど……」
恐る恐る、気になったことを聞いてみる。 ……だってさ、想像してみ。 明るい色調の魔王なんて、今にも吹き出しそうなんだけど。
それを聞いて、魔王は笑いながら簡潔に答えた。
「フハハハハ! この格好は、俗にいう『いめちぇん』だ。 それと、暗いと気分まで暗くなるだろうが。 娘たちの為にも、光を取り入れてみようと思ってな」
「しかし、魔物って光に弱いんじゃないんですか?」
「確かに、光に弱い連中もいるに入るが……暗いと、むしろ足元が見えなくて戦いにくいではないか」
それもそうか。
「……もう質問はよいか? では、転送の準備を始める。 少し離れておれ」
僕が数歩下がると、さっきまで僕がいた場所に直径1メートル程の魔法陣が現れる。
「その魔法陣の中央に立てば、自ずと元いた世界に戻れるだろう」
随分あっさりと戻れるみたいですな。
「おにーちゃん! じゃーねー!」
「いつか、またあえたらいいねですっ!」
振り返ると、魔王の娘という衝撃事実が発覚したキャルト&キャロルが、笑顔で手を振っていた。 この子達は笑顔以外の表情を知らないのか。
「ピュイー」
「ピャピー」
「ピィー」
また重なっているスライム共は、至って普通の表情で特に意味も無く鳴いている。 こいつらがいなかったら、恐らく僕は土に還っていたな。 やっぱ、持つものは最強の下僕だよね。
「……じゃあな、お前達。 またいつか会おうぜ」
それだけ言うと、僕は魔法陣の中央へ足を向ける。
「もうよいのか? ではいくぞ……【亜空移動】!」
魔王が呪文を唱えると、足元の魔法陣が強く光り輝く。
そして……
「……ん? なにも変わらな(ガコン!)ってまたかぁあああああ!!」
落とし穴でしか世界は渡れないのだろうか。
腰を打たないように祈りながら、僕は真っ暗な穴の中を落ちていくのでした。
****
「……っは!?(ガタン!)」
気が付くと、いつもの学校のいつもの教室だった。
「……コホン。 君、席に着きたまえ」
「……あ、はい」
先生に促され、何故か立っていた僕は席に座る。
あの世界は、まさかの夢オチだったのか? 呆然としている僕を尻目に、いつも道理の授業が始まる。
『せーんせーい! 復習タイムでっせー!』
『おぅ! ではいくぞ、レッツ、復習ターイムっ!』
『『『アハハハハ!』』』
あの世界は、夢か現実か。
もう確かめる術は無いが、『僕はその日、腰痛に悩まされながら過ごした』とだけ記しておこう。
夢か幻か妄想か幻覚か現実か(現実の可能性かなり低いなオイ!)。 それは貴方のご想像に任せよう。
by ■■■■■(←結局名前は発表されないのかよ!)
魔物使いになったようです。 完
どうも! ゲーム中に時々手の平を攣る人間、ツキカゲと申します。
今回で『魔物使いになったようです。』完結といたします。
本当は最低1年は続けたかったのですが、モチベーションの関係やネタ切れなどの都合により、打ち切り同然の終わり方となってしまい、申し訳ございません。
続編、次回作は今のところ考えておりません。(リクエストがあれば作るかも?)
最後に、このような拙い文章を読んでいただきまして、本当にありがとうございました!(^o^)ノシ
2012.4/27 ツキカゲ




