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LIFE MODEL  作者: のとてね
1/2

00 ゲームをする前に

ライフモデルとは


1:1980年代にC.B.ジャーメインらによって提唱されたソーシャルワークの代表的な理論。人間を環境から切り離された存在ではなく、環境と相互に影響し合う一つのシステムとして捉え、人と環境の交互作用を活用して生活上の課題解決を目指す理論。


2:上記の理論を元にした、人型自律機械を使用した実験。及び、その実験にて使用された人型自律機械の総称。実験の目的や詳細な内容は不明であり、ただの都市伝説ではないかと噂されるほど謎が多い。


「ただいま」


 抑揚の無い掠れた声が、入居して以来変化の無い飾りっ気のない玄関に響く。

 勿論、帰ってくる言葉は無い。一人で暮らしているのだから当然だ。


 重くもない足取りでリビングへ向かい、持っていた鞄を安物のソファに放り投げる。来ていた服を脱ぎ捨て、家の中に干してあった寝巻に着替える。

 そのまま寝室まで直行してベッドにダイブしたいが、今日は生憎と予定が入っている。


 会社の同僚と妹からゲームをしないかと誘われたのだ。しかも同じゲーム。


 そのゲームの名前は LIFE MODEL。


 名前だけ聞くと、点が蠢くシュミレーションゲームを連想するが、なんでも妹が言うには、アンドロイドになって荒廃した世界と自然が融合した広大なフィールドを駆け回るんだとか。風景を楽しむウォーキングシュミレーターかな?


 試しにティザートレーラーを見てみたら、銃を持ったアンドロイド同士が派手にドンパチしてたり、恐竜や動物を模したロボットと戦っていたりしていた。アクションですね。


 一体何故誤解を招く説明をしたのか理解に苦しむが、妹は流れるように嘘を吐く生命体だ、そういう習性だろう。


 同僚からは名前だけ聞かされて帰りに買ってこいと言われただけだし、本当に彼等がこのゲームをさせようとしているかすら怪しい。


 まあ、ティザートレーラーを見た感じ面白そうだったから買ったけど。


 投げ捨てた鞄の中からソフトを取り出して、一応内容を確認する。


 タイトルはLIFE MODEL

 制作会社はミリアスタ

 発売日は二年前

 ジャンルはSF

 対象年齢は二十歳以上

 対応ハードはVRボックス


……VRゲームだったのかこれ。



完全同調(フルダイブ)型VRゲームハード


VRボックス


 Virtual Reality boxの略だったか。

今までのゲーム体験とは全く違う、まるで実際にその世界にいるような没入感を味わえる、と言う謳い文句を引っ提げ、オネイロスエンターテインメントが発売したゲームハード。


 数十年前に最初のタイトルが配信されてから、なかなかの勢いで勢力を拡大させたゲームジャンルである。

そこそこな数の画面筐体のアクションゲームや大半のFPSを絶滅させていて、そのジャンルを一部の物好きな会社(変態企業)が年に一、ニ本作るか作らないかと言ったところまでに衰退させている。


 とは言う物の、落ち物ゲーだったり格ゲーだったりは未だ画面筐体が殆どだし、物好きな会社の商品を熱心に買い求めるファンもいる。画面でするゲームが古いと言われる日は来なさそうだ。


 最近は一家に一台を目標に、どでかい本体を必要としないヘッドギア型を三ヶ月後ぐらいに発売予定らしいが、私の家にあるのは最上位(ハイエンド)モデルのマッサージチェアみたいな形をしたどでかい本体が必要なタイプだから関係無い。



 そうかVRか…

 最近やってないんだよな、ティザー最後まで見ておけば良かった。

 リビングから別の部屋へとつながるドアを開け、その部屋に置かれたVRボックスへと向かう。

 持っていたソフトからデータカードを取り出し、それが入っていたうっすい箱とも言い難い何かを、壁に取り付けられたゲームソフトが所狭し詰められた棚の中に捩じ込む。新しく棚買わないと。


 埃を被ったスロットのカバーを開き、スロットにゲームカードを突っ込み本体にダウンロードさせる。数秒とかからず、ダウンロード完了を知らせる甲高い音が部屋中に鳴り響き、顔を顰める。この音は嫌いなんだよな、どうにかならないものか。


 マッサージチェアを思わせる安物のソファとは違うふかふかな座り心地のボックスに入り、指先にある電源ボタンを押して本体を作動させる。


 顔の前にアイマスクがかかり、そして私の意識は体から離れた。


完全同調(フルダイブ)型VRゲーム


████年代にS.F.ソーシャルによって実験が開始された脳波を電気信号に変え、それを機械によって認識し、そして電気信号を用いて脳を動かすと言う技術を元に開発された新世代ゲームハード。その総称。

オネイロスエンターテインメントCEO ミクラス・ニックによって確立された技術を元にしたものが多く、それ以外の技術では安全性に難がある。


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