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戒さんの想い

気づくと、僕達は小学校の体育館ぐらいありそうな、広い建物の中にいた。窓の

ような穴がいくつかあり、そこから光が差している。円形フロアの中心には人の

四倍はありそうな、猪が倒れていた。たぶん、天使界の守護者だろう。後ろには

劣聖石があった。

僕は

「怜君が倒したのかな?」

と、訊くと、光秀は、

「……だろうな」

と答えた。級長が、何か見つけたみたいで、壁をじっと見ている。

「どうしたの?」

と僕が駆け寄ると、突然、級長は、

「人々は平和に暮らしていた」

と、話し始めた。よく見ると、壁に短く文字が彫られている。そのすぐ近くに二

階へ続く螺旋階段があった。

「二階にも何か書いてあるかもしれない、行ってみましょう」

と級長がいい、僕達はついて行った。

二階にも階段の近くに文字があり、

光秀が、

「突如、世界の均衡を崩すものが現れた」

と、読んだ。

僕達は三階へ急ぐ。

「その者、魔王。世界を滅ぼす者なり。強大な力とともに、それは現る」

と、僕が読んだ。

四階へ。

「その呪われしものの名は」

この階はここまでしか彫られていなかった。

と、突如、

「うそだ!」

という声が上から聞こえた。僕達は急いで五階に行くと、怜君が

「ウォォォォォ!」

と、両木刀を構えながら、戒さんに突進していた。戒さんは

「アクアスプレッド!」

と、言い、銃の構えをしていた右手から、弾丸のごとき速さで、能力弾を打ち出

した。怜君には当たらなかったが、近くの地面にあたったそれは爆発し、怜君を

包みこんだ。

すると、怜君は止まってしまった。

「怜君!」

僕は叫んだ。戒さんは、

「無駄だよ、前と違い、時を止めたから。後十秒ぐらいはね」

光秀が何か言おうとしたが、戒さんは、

「おっと、こっちの要件を先に聞いてもらおうか。まず、選別した理由、それは

、魔王を倒す人数を絞るため。

弱い奴はいても足手まといになるだけだからね。

近々現れる魔王とは、人類のみならず、地球上の全ての生物を滅ぼす存在とされ

ている、そう、未来に現れる絶望の象徴だ。

僕と条、そして、晴美は大学サークルの仲間でね、未来の天使界を見つけたんだ。

その天使界から未来に行くこともできた。そこは、絶望的だったよ。

あんな、未来にさせない為、ちょうど、一年前、僕はとある、強大な力を見つけ、手に入れた。

神聖石と同等、もしくはそれ以上の力を。

その力を使い、ようやく現代の時を止めたってわけ。

くしくも、魔王と似た力を使ってしまったが……。

でも時が止まるのも、もう終わる。

……とにかく、時間がないんだ、魔王を倒すのに協力してくれるね?」

怜君はいつの間にか、動けるようになっていて、

「だからと言って、あんなことが出来るものかっ!」

と、叫んでいた。

「そうか、残念だ」

戒さんはその後、壁によりかかり、カハッ、と血を吐いた。

「僕が死ねば、時は戻る。後は、君達次第だ」

級長はキャー、と叫び、僕と光秀は戒さんの元へ向かった。光秀は戒さんを背負

って運ぼうとしたが、さすがに重いようだ。足取りが重い。僕も手伝おうとした

が、

「待ってくれ、今、救急車を」

「フフッ、時が止まってるのに、どうやって呼ぶ気だい、乱暴な光秀君」

あ……。

死ぬ前に、と、戒さんは僕に能力を撃とうと構えたので、とっさに盾を出した。

「それでいい。翔君、美智子ちゃん、乱暴な光秀君、後は頼んだよ。僕じゃ、ダ

メだった、救えなかったんだ」

と言うと、能力を撃った。僕の盾は放たれた能力を吸収した。

その後すぐに条と晴美が現れた。条はしんみりした声で、僕は覗く能力者なんだ、

今まで、君達の情報を盗み見てた、悪かったね。と言った。

戒さんは僕の必殺技を知っていたから、今撃ったのかもしれない。

そして、晴美は

「ハッ、笑えねぇなあ、笑えねぇ」

といいながら泣いていた。条もまた、悲しそうな顔をして、

「彼は返してもらうよ。愛なら、治せる……とまでいかなくても、痛みをやわら

げることは出来るから」

と言うと、光秀の背負っていた戒さんを背負い直した。

僕は、彼らが去る前に、

「どうしてこうなったの?」

と訊くと、晴美が、

「全ての時を止めた代償は安くなかったってこった。それだけ戒はお前らに賭け

ていた、賭けていたんだ」

と言い、去って行った。



戒のことはだいぶ悩みました。

本当にこれでいいのだろうか?

と。

作中のキャラを殺すということに筆者も悲しく

なりながら書いた今回の話でした。

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