光秀の考え
僕は目を開いた。怜君はすでにいなく、何故か、級長は無事だった。
級長の話を聞くと、僕を倒した後、そのまま、目的地へと向かったらしい。
「あんな男だと思わなかった!」
誰よりも級長は激怒していた。
光秀はボロボロで、いずれ個人的に奴を倒す、と言っていた。
一人では立てないようで、級長の肩をかりて、ようやく歩ける程度のようだ。
僕はというと安心したような悲しいような、複雑な気持ちになった。
でも、よく考えると、今まで怜君に頼りっぱなしだったかもしれない。もっと強
くなりたい。怜君を止めたり、他のみんなを守れるように。そう、思った。
いったん、源さんの元へ帰ろう、と思ったその時、僕達の元に現れたのはなんと
、晴美だった。
見たことない白いフードを被った女の子を連れて。中学生ぐらいの年齢のようだ。
「ハッ、ザマァねぇな。……しっかし、女は傷ついてないっと。奴もまだまだ甘
ちゃんだな」
光秀はボロボロながらも口を開いた。
「何故だ。何故ここにいる、通神閣の五階で待っているんじゃなかったのか?」
「ハッ、誰が俺が待っていると、言ったよ。待っているのは戒だ」
「戒さんが!?」
僕は思わず、叫んでしまった。
「別に驚くことでもないだろうによ、あとな、俺が用があるのはお前らだ」
と言い、晴美は連れの女の子の、肩を叩いた。
女の子は、フードをさげ、
「初めまして、桐咲愛、と申します」
そして、その桐咲さんは僕の元に歩いて来て、能力の付加された右手で、僕に触
れようとした。とっさに盾を構えたが、桐咲さんの、
「抵抗しないで、大丈夫、悪いようにしないから」
という声の優しさに負け、盾を解いてしまった。
彼女が、僕の額に右手をあてる。すると、なんと、腹が痛くなくなった。どうい
うことなのか訊くと、回復する能力者なんだという。
彼女は光秀にも同じことをすると、
「じゃあ、私はこれで」
と言い、去って行った。
晴美は、おい、後でデートの約束、忘れるなよ、と言い、後にはセクハラです、
という言葉が残った。
そして。
「じゃあ、用意はいいか?」
と晴美は言ってきた。
僕は、
「何を、するつもりなんだ?」
「ハッ、決まっている、第二ラウンドの始まりだ」
晴美が指をパチンと鳴らすと、晴美の隣の空間が歪み、条が出てきた。
「やあ、久しぶり。第二ラウンドの相手はこの僕、と言いたいところだけど、天
使界の魔物を連れてきたよ。ま、君達にとってはちょっと厳しい相手かな」
すると、またしても、条の隣の空間が歪み、モンスターが現れた。
条は、
「ガーゴイル、一般的な悪魔の顔と角、翼を持つモンスター、石化できる」
と、補足説明すると、晴美ともども消えてしまった。
また、どこかで見てるに違いない。くっそ、ダメージは回復してもらったが、精神的にきつい。
特に怜君がいない、という点で。
そして、晴美が僕達をオモチャにして遊んでる点でだ。
僕は冷静になって考えた。今までは怜君が決め手だったが、彼がいない今、決め手
は……。
光秀のジェットパンチはただ飛ばすだけだし、級長にモンスターを直に
能力の付加された手で触れてもらうしかない!
と考えている間に、ガーゴイルが飛んで一直線に襲ってきた。
爪による引っ掻き攻撃のようだ、僕の盾では防げない。
避けようと思ったが、両となりには級長、光秀がいる。
光秀はともかく、級長は避けられないかもしれない。
どうしようか、と考えていると、光秀が、
「この戦い、俺に任せろ」
と、言い、飛ばす力の球を蹴り飛ばし、ガーゴイルに
ぶち当てた。ガーゴイルは飛ばされて十メートル程後方に下がった。
そんなに言うなら光秀に任せよう。何か、考えがあるようだ。
筆者の最近のお勧めは断然、くんせいたまご、ですね。
もともとくんせいされた物は好きなのですが、くんたまは別格です。
食べる機会があればぜひ!
……おやじか!