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メイリオン・クロニクル~魂導の旅路~  作者: さとう
第五章

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メイリオン・クロニクル

 黒鎖庁もまた、同じような組織だった。

 闇の組織……という言葉が、これほどしっくり感じたことはない。

 しかも、これを誰もが受け入れているという現実もある。

 僕らは、町のカフェで個室を取り、考えていた。


「……世界は広いよ。僕は本当に、世間知らずだった」


 リアも、フレイアも、ギデオンもフィオナも。そして一緒に来たカイルも重々しい。

 だが、カイルは言う。


「これが『支配』の国です。ユウト君……キミはどう思いますか?」

「どうもこうも……僕の感性じゃ、受け入れられない」

「なら、それでいいのです。あなたがメイリオンとして感じたことが、あなたの軌跡となるのですから。それを受け入れ、糧とすればいい」


 真っ当なことを言われた。

 確かに……この国は、このやり方を受け入れている。正しいか、正しくないか判断するのは個人であって、そのやり方を否定する権利は僕にない。

 リアも黙りこみ、フレイアも天井を見ていた。

 そして、ギデオンが言う。


「さて、ユウト……これからどうする?」

「…………」


 考え込んでいると、ドアがノックされた。

 追加のお茶かな? と思ったら……入って来たのはリュミエール・サルバだ。


「どうやら、全てを知ったようですね。ユウト」

「……まあ、ね」


 驚きはしない。

 他のみんなもそうだった。なんとなく、来る予感はしていた。

 リュミエール・サルバは椅子に座る。


「さて、この国を知ったうえで聞きます。ユウト・カミシロ……キミはこれからどうします? もし、この国を変える気があるのなら……私と共に」

「……」


 普通ならここで、非人道的なやり方は許せないとか、苦しむ人たちを解放したい……って、思うんだろう。でも僕はわからなかった。

 なぜなら、誰も苦しんでいないのだ。


「……ギデオン、どう思う」

「…………わからない」


 外からやって来た僕らから見れば、非人道的な行為に見えるところがあった。

 でも……この国の人たちは、誰も苦しんでいない。全てを受け入れている。

 そこに水を差し、苦しみを自覚させるのが正しい行為なのだろうか? 

 

「僕は、正義のヒーローなんかじゃない。でも、苦しんでいる人たちを助けたいと思うし、守りたいとは思う……でも」


 声が、聞こえない。

 誰も『助けて』や『怖い』などの、恐怖を感じていない。

 全て、あるがままに。それが『支配』の道……この国では、誰もがその道を歩んでいる。

 フィオナを見ると、ただ祈りを捧げていた。


「では、このままでよい、と」

「……そう、なのかも、しれない」


 答えが出ない。

 リュミエール・サルバがやろうとしていることは、『支配』の脱却なのか。それが正しいのかどうか、僕の価値観ではわからない。

 リュミエール・サルバは失望したように僕を見て立ち上がった。


「では、旅を続けるといいでしょう。あなたの歩む道がどうなるか……楽しみです」


 そう言い、リュミエール・サルバは出て行った。

 重苦しい沈黙だけが、僕たちの間にあった。


 ◇◇◇◇◇◇


 翌日。

 僕らは、次の国に行くために準備をしていた。

 カイル・ヴェルナー先生にお別れを言うと、驚きだった。


「私も同行しましょう。リュミエール・サルバのことは気になりますが……まあ、彼の計画では恐らく数年は動かない。『道越者』であり貴族とはいえ、国を転覆させるほどの力はまだなでしょう。それに……ユウト君。キミが旅を続けて知識を深めることで、この国を何とかしたい、どうにかしたいという気持ちが芽生える可能性もゼロではない。その時……リュミエール・サルバと対峙することになっても、キミは逃げない。今は、成長の時期です」


 長々しくそこまで言い、旅の装いをして町の入口に集まった。


「じゃあ、次の国へ行こう」


 リアは頷き、フレイアは斧槌を担いで笑い、ギデオンも頷き、フィオナは微笑む。

 カイル・ヴェルナー先生を仲間に加え、僕の旅は続いて行く。


 ◇◇◇◇◇◇


 ユウトの旅は続く。

 世界を巡り、『孤独の道』を突き進んだ少年は、自分の道を見つけて歩続ける。

 一人の青年は孤独だった。

 でも、孤独だからこそ、誰かと共に歩むことで、寂しさが埋まることを知った。

 

 数年後、リュミエール・サルバと対峙したユウトは、多くの仲間を連れていた。

 メイリオンの従者たち。異なる道を歩み、異なる属性を持つユウトの孤独をうめる仲間たち。


 旅は続く。

 ユウトの、漂魂者としての旅メイリオン・クロニクルは、これからも続いて行く。

打ち切りエンド。これにて完結です。

応援ありがとうございました! 

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