91 リンドバーグ島編 part02(改訂)
アリス
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フノン「ちょっと待ってくださいね。自然と魔法のバランスを保つ儀式ですよね。えーと! ……あ、ありました。これですね」
フノンは古びた巻物に指を走らせ、解読した内容を読み上げ始めた。
フノン「これらの儀式は、島の自然と魔法の力を調和させ、そのバランスを保つために行われるもので、年に四度、季節の変わり目に行われることが記されています。内容は以下の通りですね」
【春:再生の儀式】
春の訪れと共に新たな生命の誕生を祝う。守護者たちは島の中央にある大樹の下に集まり、花や若葉を捧げ、古代の呪文を唱えながら大地に命のエネルギーを分け与える。
【夏:太陽の儀式】
夏の盛りに行い、太陽の力を借りて島の魔法を強化する。守護者たちは海岸に集まり、太陽光を反射するクリスタルを掲げて海に入り、その光を水面に集めて浄化を行う。
【秋:収穫の儀式】
秋の実りに感謝し、島中の収穫物を集めて大宴会を開く。収穫物を神殿に捧げ、来年の豊作と島の平穏を祈願する。
【冬:静寂の儀式】
厳冬を迎える前に、島全体を休息へと導く。守護者たちは山頂に集まり、静かな瞑想を行いながら、浄化の雪を迎える準備を整える。
フノン:「……となっています」
アリス:「……。……。長い! 三行でまとめて! 意味わかんねー!」
サラ:「アリスがバカだから理解できないだけでしょ!」
アリス:「バカ言うな! これ、要するに季節ごとにパーティーしろってこと?」
ミクリ「うーん。一つ一つの儀式は意外と普通というか、大したことないように見えるけど……。こんなことで本当に島全体のバランスが保てるのかな?」
フノン「積み重ねが大事、ということなんでしょうね。……メリッサさんはどう思いますか?」
メリッサ「……すみません。私にはちょっとちんぷんかんぷんなので、アリス様と一緒に踊っていろと言われればそうします!」
アリス「そうだよね! 良かったぁ、話の通じる仲間がいて!」
サラ「バカ仲間がね?」
アリス:「バカ言うな!」
フノン:「二人とも、少し黙って! ……続けますよ。巻物には、守護者たちの具体的な役割についても詳細に記されています。島の調和を保つためには、以下の四つの任務が欠かせないそうです」
1. 自然の調和を保つ(環境監視)
島の環境を監視し、天候の異常や災害の予兆があれば迅速に対処する。
(実例:ペンダントの力を使って嵐を鎮めるなど)*
2. 魔法の維持と強化(結界管理)
定期的な儀式や魔法アイテムの保護を通じて、島の結界を維持する。
(実例:巻物の呪文を用いて、弱まった結界の修復を行う)
3. 知識の継承と教育(次世代育成)
古代の知識を次世代に伝え、住民に自然や魔法の大切さを教える。
(実例:若き戦士に技術を教えつつ、調和の精神を説く)
**4. 外敵からの防衛(守護)**
島に近づく海賊や魔物などの危険を察知し、必要であれば戦って島を守り抜く。
*(実例:かつて襲来した海賊団を、守護者の力で撃退した記録あり)*
フノン:「……ということですね」
ディネ:「なるほど。やるべきことはハッキリしているわね」
アリス:「えっ、どういうこと? フノン語をアリス語に翻訳して!」
ディネ:「つまりね、自然の脅威や外からの敵からこの島を守って、それを次の世代にちゃんとバトンタッチしなさいってことよ」
アリス:「……難しい! 責任重大じゃん!」
サラ:「アリスみたいなバカには荷が重いかもな!」
アリス:「バカ言うな! やる時はやるわよ!」
巻物を読み終えたアリスたちは、守護者としての使命を改めてその胸に刻み込んだ。
神殿の厳かな空気が、彼女たちの決意を後押しする。
フノン「次は……『守護者の誓い』をする必要があるみたいだよ」
アリス「誓いね! どんと来い! どんな呪文を唱えればいいの?」
フノン「形式ばったものじゃなくてもいいみたい。さっきの役割をちゃんと全うします、っていう意志を示せばね」
アリス「オッケー! 任せなさい!」
私たちは島の中央にそびえる大樹の前へと移動した。
アリスは深呼吸をし、真っ直ぐに大樹を見据えて言葉を紡ぐ。
アリス:「私たちは、この島を守る守護者としての役割を全うします。自然の調和を保ち、魔法を維持し、知識を継承し、外敵から島を守ります。この誓いを、心に深く刻み、未来永劫に守り続けることを誓います!」
その誓いが高らかに宣言された瞬間——。
大樹の葉がザワザワと激しく揺れ、天から降り注ぐような巨大な光の柱がアリスたちを優しく包み込んだ。
アリス:「うわっ、なんだこれ!? また急な演出!」
フノン「……認識されたんだよ。これで試練をひとつ通過できたはずだ!」
光が収まった後、私たちはさらに巻物を読み進めた。
そこには、守護者たちがどのようにして自然のエネルギーとリンクし、その力を引き出すのかという核心部分が記されていた。
フノン「守護者の力の源泉……『四元素の力』の章ですね。守護者たちは水、風、土、火の力を借りて島を守る方法を習得していた。……って、ええっ!? ちょっと、これビックリなんだけど!」
アリス「どうしたの? そんなに驚いて。宝箱の場所でも書いてあった?」
フノン「……違うよ。この文献、私たちの名前がすでに載ってるんだ!」
アリス「はぁ!? なんでバレた!? もしかしてストーカー被害!?」
ディネ「そんなわけないでしょ。これは預言に近い魔法的な記録よ。私たちがここに来ることは、何千年も前から決まっていたってことね」
アリス「魔法か! 前世のゲームでもよくあったけど、実際に体験すると変な感じね……」
ディネ「当然でしょ。その方が運命的でわかりやすいじゃない!」
サラ「世の中、説明されないと理解できないバカが多いからな!」
アリス:「バカ言うな! ……それで、私の名前はどうなってるの?」
フノン「アリスはそのまま『アリス』だね」
アリス「はぁー、良かったぁ! 『北の魔王オルブレス』とか、中二病全開の名前じゃなくて! シエステーゼの『シェラール』でもちょっと堅苦しいし。……ええと、あと何か変な名前載ってない?」
サラ「もう無いだろ! バーカ!」
アリス:「バカ言うな!」
メリッサ「……私は? 私の名前はありますか?」
フノン「メリッサさんも、そのまま『メリッサ』って書いてあるね」
メリッサ「……そうですか。メリッサ、ですか」
ミクリ「メリッサさん、なんだかつまらなそうですね。もっとすごい二つ名とか欲しかったですか?」
メリッサ「いえ、別にそういうわけでは。ただ、なんだか不思議で……。最近、自分が恐ろしい『メドゥーサ』であることを忘れている瞬間があるんです」
ミクリ「へぇー! いいじゃないですか、それ。人間らしくなってきた証拠ですよ!」
メリッサ「そうなんですけど、自分でも驚いてしまって。でも……メドゥーサの力を使って戦っている時は、それはそれで楽しいんですけどね」
アリス「お願いだから、楽しくなっても私たちを石にしないでね!?」
メリッサ「もちろんです、アリス様!」
ミクリ「それで僕の名前は何になっているの? やっぱりミクリかな?」
フノン「ミクリは……。あ、そもそもミクリには別名なんてなかったよね」
ミクリ「そうだった。それでなんて書いてあるの?」




