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09 王家の墓編 エピソード8 part1(改訂)


朝のギルドはいつもよりざわついていた。


アリスとミクリが依頼掲示板の前に立つと、受付嬢が慌てた様子で声をかけてきた。


「ちょうどいいところ! 緊急依頼なんだけど……引き受けてくれない?」


アリスが目を輝かせた。


「どんな依頼?」


「北方の街道で、行方不明になった商人の護衛と捜索。報酬はいつもより高めよ」


ミクリが静かに頷く。


「行こう。アリス」


二人はすぐに準備を整え、町の北門から街道へ出た。


馬を借りて数時間走ると、森の入り口に商人の荷馬車が残されていた。


アリスは馬から飛び降り、地面を調べる。


「血の跡……まだ新しい」


ディネが肩の上で顔をしかめた。


「魔物の仕業ね。気をつけなさい」


サラが興奮気味に声を上げた。


「僕が焼いちゃうよ!」


ノームが低く警告した。


「足元に注意。沼地より厄介かもしれないぞ」


森の中へ踏み込むと、木々の間から複数の影が飛び出してきた。


「ゴブリン……いや、もっと大きい!」


オークの群れだった。


アリスは大剣を構え、ミクリと背中を合わせる。


「左は私! 右はミクリ!」


「了解!」


二人が同時に動いた。


アリスが気を込めた大剣で正面のオークを真っ二つに斬り裂き、ミクリが魔剣で横のオークの足を切り裂く。


サラの炎が残りのオークを包み、ディネの氷の矢が追撃を加え、ノームの土壁が逃げ道を塞いだ。


オークたちが次々と倒れていく。


アリスは息を弾ませながら笑った。


「やった! 連携、完璧じゃん!」


ミクリも穏やかに頷く。


「ああ。お前がいると心強い」


さらに奥へ進むと、商人の残したキャンプ跡が見つかった。


テントは破れ、荷物が散乱している。


アリスは地面に落ちていた血痕を指差した。


「ここからさらに北だね」


ミクリが剣を構え直す。


「急ごう」


森を抜け、開けた草原に出た瞬間、巨大な影が現れた。


「リザードン……いや、もっと大きい!」


それは進化したリザードン・キングだった。


体長は十メートルを超え、毒の息を吐きながら突進してくる。


アリスは即座に叫んだ。


「ミクリ、足を狙って!」


「任せろ!」


ミクリが俊足で回り込み、後ろ足を深く切り裂く。


アリスは気を最大限に込めた大剣を振り上げ、ディネのアイスランスを剣に纏わせて突進した。


「これで終わりだ!」


氷の力を乗せた一撃が、リザードン・キングの首を深く抉る。


サラの炎が傷口を焼き、ノームの土の槍が動きを封じた。


リザードン・キングが断末魔の叫びを上げて倒れた。


アリスは剣を地面に突き立て、大きく息を吐いた。


「ふう……強かった!」


ミクリが駆け寄り、周辺を探すと、近くの木の陰から震える商人が出てきた。


「助けて……くれて、ありがとう……」


アリスはにっこり笑って手を差し伸べた。


「無事でよかった! 一緒に町まで戻ろう」


商人は何度も頭を下げながら、二人の後をついてきた。


ステファンの町に戻り、ギルドに報告すると、受付嬢が目を丸くした。


「リザードン・キングを倒したの!? すごい……報酬、倍にしとくわ!」


アリスは報酬の袋を受け取り、ミクリとハイタッチした。


「やったね!」


ミクリが穏やかに微笑む。


「君のおかげだ」


その夜、宿の部屋でアリスはベッドに寝転がりながら、精霊たちに話しかけた。


「みんな、今日もありがとう。どんどん強くなってる気がするよ」


ディネが満足げに頷いた。


「まあ、頑張ってるじゃない」


サラが元気よく。


「次はもっと強い相手に挑戦しようぜ!」


ノームが静かに。


「焦るな。基礎を固めろ」


アリスは天井を見つめながら小さく笑った。


(このメンバーなら、どこまで行けるかな……)


挿絵(By みてみん)

サラ(火の精霊 サラマンダー)

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次の日、ギルドの依頼掲示板の前で、アリスが目を輝かせた。


「これ、面白そう! 王家の谷にある古い王墓で、ジャイアントスケルトンが出没してるって」


ミクリが静かに頷く。


「報酬も悪くない。行ってみよう」


二人は馬車を乗り継ぎ、西方の砂漠を抜けて南下した。


王家の谷に到着した瞬間、ディネが肩の上で小さく声を上げた。


「あれ……?」


アリスが小声で聞いた。


「どうしたの?」


ディネが少し記憶を掘り起こすように目を細める。


「ここ……ジェイドが封じられてた場所かも。数百年ぶりだから記憶が曖昧だけど」


アリスが目を丸くした。


「ジェイド……闇の精霊だっけ?」


ディネが頷く。


「そう。暗くてネクラで、頭は良いんだけどね。サラとは正反対よ」


サラが即座に反応した。


「なんだと!?」


ディネがにやりと笑う。


「あら、自覚あるの?」


サラが声を荒げる。


「はあ!? 俺がどこで頭悪いってんだよ!」


アリスはため息をついた。


(いつもの喧嘩……無視無視)


王家の墓は岩穴の奥深くにあった。


入り口は狭いが、中は広く複雑な仕掛けが施されている。


ノームが低く警告した。


「壁の右側に罠がある。足元も注意」


アリスがミクリに伝える。


「ミクリ、右の壁は危ないよ。足元も石が怪しい」


ミクリが驚いた顔で振り返る。


「アリス、罠がよく見えるね! すごい」


アリスは照れくさそうに笑った。


「勘……かな?」


広い通路に出ると、二十体ほどのスケルトンが待ち構えていた。


アリスが剣を構える。


「アンデットの軍勢……? 数は少ないけど」


ミクリが先陣を切った。


「俺が中央を突破する!」


ミクリの俊足がスケルトンの群れを切り裂き、アリスが気を込めた大剣で残りを一掃した。


さらに奥の巨大な扉を開けると、豪華な広間が広がっていた。


奥の祭壇に巨大な石棺が置かれている。


その瞬間——天井から巨大な影が落ちてきた。


ジャイアントスケルトンだ。


アリスが叫ぶ。


「本命きた!」


ミクリが即座に応じる。


「いつもの連携で!」


二人は息を合わせて動いた。


ミクリの速攻で足を崩し、アリスの気を込めた大技が何度も叩き込まれる。


サラの炎が骨を焼き、ディネの氷が動きを鈍らせ、ノームの土の槍が隙を作った。


ようやく大きな隙が生まれ、ミクリの必殺の一撃がトドメを刺した。


アリスが息を弾ませながら親指を立てる。


「ミクリ、サンキュー!」


ミクリが穏やかに笑った。


「オー!」


アリスは石棺に近づき、魔力を注いだ。


淡い黒い光が溢れ、静かな声が響く。


「……よろしく」


アリスが明るく手を差し伸べた。


「ジェイド、はじめまして! これからよろしくね♪」


ディネが嬉しそうに。


「ジェイド、久しぶり!」


サラが元気よく。


「よう!」


ノームがぼそり。


「やあ」


ジェイドが少し驚いた様子で。


「……みんな揃ってるんだ。一人でこんなに大精霊と契約してるなんて……珍しいな。大丈夫?」


挿絵(By みてみん)

闇の精霊シェイド

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ディネが軽く笑う。


「心配症ね。まだまだ余裕よ」


アリスが苦笑いした。


「みんな、言い方きつくない?」


依頼を完了し、ギルドに戻った後、アリスはミクリに呟いた。


「最近、魔物が強くなってきてるよね。もう一人、魔法使いが欲しいな。後方支援と回復、強化魔法をやってくれる人」


ミクリが静かに頷く。


「そうだな。いい人いないかな」


その夜、亜空間の会議室では5大精霊が集まっていた。


ノームが重々しく切り出す。


「新メンバーのジェイドさん、自己紹介を」


ジェイドが小さく。


「……ジェイドです。よろしく」


サラが即座に突っ込む。


「それだけかよ!」


エントが慌てて。


「静かに! 可哀想でしょ」


サラが即座に。


「うるさいババア!」


ノームがため息をつく。


「みなさん、静粛に……」


ディネが優しく。


「ジェイド、これからよろしくね」


ノームが締めくくった。


「そろそろ契約者との連携を増やしていこうと思います。皆さんの意見は?」


「いいと思う」「賛成」「右に同じ」


ノームが頷く。


「では、今後連携を強化します。以上」


パチパチ(拍手)


アリスは宿のベッドで小さく笑った。


(ジェイドも加わって……ますます賑やかになりそう)


しかし、その賑やかさとは裏腹に、アリスは胸の奥で再びあの不穏なざわめきを感じていた。


王家の谷で感じた、どこか古い闇のような気配。


(……まだ、何かが近づいている気がする)


(続きは次話で)


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