09 王家の墓編 エピソード8 part1
サラ(火の精霊 サラマンダー)
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ギルドへ行くと、面白い依頼を受けることになった。王家の墓で、ジャイアントスケルトンが出たというので倒す依頼である。
<天の声>
「王家の墓。」
「王家の谷には、王家の墓がいくつもあり、今も現在の国王のための墓を建設している最中である。
どの墓も一般的に墓泥棒に荒らされており、すでに人が通れる道ができていて、中には宝物は一切何もない。
墓職人は、過去の墓を参考にして、今の墓を作っている。つまり、すでに破られた墓泥棒用の仕掛けは使わず、新しい仕掛けを考えるためである。
王家の墓の中でも、最も古いアレキサンドリアン・シスト王の墓に、ジャイアントスケルトンが出たということであった。
アレキサンドリアン・シスト王とは、シエステーゼの建国の父と呼ばれていて、絶大な魔力と力でこの国を統治し、築いたと言われている。
王都の王宮図書館には、アレキサンドリアン・シスト王の伝説の書籍がいくつもある。
(アリスは興味ないので読んだことはないけど、父から良く伝説を聞かせられて、ウンザリしていたらしい。)
アレキサンドリアン・シスト王の伝説には、ふざけたものが多かった。
山を吹っ飛ばして、平地を作った。とか。
20万の敵兵を一瞬で壊滅させた。とか。
敵都市の一つを一瞬で消し去った。とか。
巨大なドラゴンを瞬殺した。とか。
アンデットの軍勢を従えていた。とか。
まるで信じられないような話しばかりであった。まあ、昔話とはそういうものである。
(のちに「なるほど」と思うことになるのだけど、それは後からのお楽しみということで、今はおしまい。)
アレキサンドリアン・シスト王は、死しても絶大な魔力を持っているとして恐れてもいた。魔力で墓を守っているという伝説もあるので、普通の墓泥棒は手を出せなかったと言われている。」
アリスとミクリは馬車に乗って、西方の砂漠を抜けて、南に向かうと王家の谷に着いた。
ディネ「あれ?」
アリス(小声で)「ディネ。どうしたの?」
ディネ「ここは、ジェイドがいたとこ?
数百年も前のことだから、ちゃんと覚えていないけど。」
アリス「ジェイドって、闇の精霊の?」
ディネ「そう!闇の精霊。性格も暗くて、要するに、ネクラだね。頭は良い方だけどね。サラとは反対に!」
サラ「なんだと!それじゃ、私は頭が悪いみたいじゃないか!」
ディネ「あら。自覚はあるんだ。」
サラ「はあ!?この私のどこが頭悪いっていうんだよ!」
ディネ「そういうとこ。すぐ血が昇って、何も考えずに行動するじゃない!」
サラ「それなら行動力があるって言えばいいだろう!人をバカみたいに言いやがって!」
アリス「アイツらのケンカはいつもの事だから、気にしないでおこうっと。」と思うだけ。
アレキサンドリアン・シスト王の墓は、更に奥に入った岩穴の中にあった。
入り口は、人一人がやっと入れる空間であるが、ミクリが先頭となって、岩穴の中に入って行くと、通路には、妖精にしか見えない特別な仕掛けが施されているので、ノームが正確に仕掛けを教えてくれた。(サラとディネはケンカ中なので。)
アリス「ミクリ!そこの壁は怪しいから気をつけて」
「ミクリ!足元のその石には何か仕掛けがありそうだから、避けて通ろう!」
とアリスはミクリに指示して難なく通り抜けた。
ミクリ「アリスはすごいね!罠が良くわかるよね!」
アリス「感よ!感!」
ミクリ「僕はぜんぜんわからなかった!」
横幅も高さも広い空間の通路に出ると、そこにはスケルトンが20匹ほどいた。
アリス「まさかこれはアレキサンドリアン・シスト王のアンデットの軍勢か?
それにしては数が少ないけど。」
ミクリ「じゃ!俺から行くね!」
いつもようにミクリが先制攻撃で中央突破して、半分くらいを倒して、残りをアリスが剣の舞で仕留めていった。
通路を先に進むと大きな扉があった。
ミクリとアリスは2人がかりで、その扉を開けると、中は大きな広間になっていた。
天井は暗くて見えないけど、壁には豪華な飾り彫があり、その手前には何体もの石像が置かれていた。
奥には祭壇があり、石棺が置かれていた。
アリス「ディネ。あれだね。」
ディネ「確かそうよ。でも気をつけてね!‥」
ディネが全部を言う前に、アリスとミクリは広間の中央に進んでいた時、突然、上から、ジャイアントスケルトンが現れた。
アリス「ついに来たな!本命!」
ミクリ「じゃ!いつもの連携で!」
アリス「わかった。」
ミクリが先制攻撃して、アリスは気を溜めての大技で攻撃するが、やはり致命傷まで与えられない。連携の連続攻撃に入ったが、なかなか手強い。
アリスは弱い魔法攻撃も使いながら、気を込めた剣での連続攻撃の舞である程度弱ったところで、ミクリの必殺技、天元殺法でトドメをさした。
アリス「ミクリ。サンキュー。」
ミクリ「オー!」
アリスは中央の石棺に意識を集中して魔力を繋ぎ、ジェイドと契約をした。
契約にも慣れて、1、2秒でできるようになっていた。
アリス「ジェイド初めまして!これからよろしくね♪」
ジェイド「あぁ。よろしく‥
あれ? なんで、君たちが?」
ディネ「失礼ね!この絶世の美女を目の前に、何その態度。」
サラ「なんではないだろう!
せっかく会いに来てやったのに!」
ノーム「やあ!元気だった?」
ジェイド「元気だけど、エントまで」
エント「私は最近このメンバーになったのよ」
ジェイド「そうなんだ。でも一人でこんなに多く精霊と契約しているの見たことないけど。大丈夫なの?」
ディネ「ほら出た。心配症が。まだまだ大丈夫みたいよ。この人。」
アリス「ディネ。言い方酷くないですか?」
精霊たちの会話は言って切りがないので、
アリス「ミクリ。依頼は果たしたから帰りましょう!」
ミクリ「そうだね!でも最近は思うように倒せないね!」
アリス「そうなんだよね!やっぱりもう1人。魔法師が欲しいね!後方からの攻撃と回復と強化の援護魔法が必要かも。」
ミクリ「どこかに良い人いないかな!」
アリス「そうだね!」
ジャイアントスケルトンを倒して、ギルドに帰宅した。
闇の精霊シェイド
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精霊の会議 5人
場所は、亜空間の会議室。
「皆さん集合しましたね」
ノーム議長が木槌を叩く
「トントン」
「これから第4回5大精霊会議を始めます。
議題は、新しいメンバーの紹介です。」
ノーム「それでは、新しいメンバーのジェイドさん!自己紹介をお願いします。」
ジェイド「ジェイドです。よろしく‥」
サラ「なんだ、それだけかよ」
エント「あなたは静かに!可哀想でしょ!」
サラ「うるさいな!ババア!」
ノーム「ハイ!静粛に!」
ディネ「ジェイド。よろしくね♪」
ジェイド「なに話せばいいの?」
ディネ「別に無理して話さなくていいから。」
ジェイド「契約者って、どんな人なの?」
サラ「アホ!無能!まだまだ弱い!」
エント「そんなことないわよ!私は頑張っていると思うけど。」
ディネ「最近はだいぶ上達してきたみたいね。」
ノーム「そろそろ我々との連携も考えて良いかもしれませんね!みなさんの意見はいかがですか?」
サラ「いいと思う」
エント「私も同感ですね。」
ディネ「右に同じですわよ。」
ノーム「それでは、今後は契約者との連携も増やしていきたいと思います。
以上。」
パチパチ(拍手)
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