39 ラインリッヒ共和国編 エピソード20 part4(改訂)
アリス
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アリスたちはモンテールに着くと、長期滞在できる宿を探した。
ノエル村の一つ手前のロレーヌ村に着いたアリスたちは、親切なカーチス村長さんに家に泊めてもらった。
そこで村長からノエル村の話を聞いた。
村長「ノエル村は昔は普通の人間の村で、今のような骸骨の領主ではありませんでした。
辺境の地でありながら、真面目に田畑を営み、その村民を真面目に統治する素晴らしい村でした。
ところが東の魔王が来て、彼らを骸骨に変えてしまったのです。この辺りでは東の魔王の呪いとして有名です。
村に入った者は呪いにかかると言われています。
当初は王都からの兵隊がノエル村を壊滅するとしていましたが、村に入ると骸骨になる呪いと、骸骨になっても年貢をきちんと納める村人たちを理解して、今のまま放置されることになりました。
この村はノエルの民を守るために作られました。
この村の東に大きな倉庫があり、今ではノエル村で収穫したものをその倉庫まで運び、我々が彼らに代わって王都に納めるようにしています。
だから、この村ではノエルの民を悪くいう人はいません。彼らのお陰で生活ができているのですから。」
アリス「ノエル村の人たちも良い理解者がいて心強いと思います。お話を聞いて良かったです。」
アリスたちは、翌朝、ノエル村に出発した。
フノン「魔素濃度が高くなってきましたね。魔王領並みですよ。」
アリス「もうすぐなんだと思う。」
畑を耕す人影が見えてきた。
メリッサ「骸骨が畑を耕しています。」
畑で作業している人はみんな骸骨である。
道の先に領主のお城が見えてきた。
門番がいる感じではない。自由に入れるようだ。
呪いのせいで、外から来る者はいないからかもしれない。
これだけ強い魔素量なのに、魔物がいる気配はない。
ほんとにのどかな田園風景である。
お城の中に入ると身なりの立派な骸骨が立っていた。
骸骨「おやまあ、珍しくお客さんですか?」
アリス「初めまして! 冒険者のアリスといいます。
それから、ミクリ、フノン、メリッサです。
みんなで冒険者をしています。」
ミクリ、フノン、メリッサ「初めまして。」
骸骨「ようこそ。お越しになりました。
私はここの領主ポアロと申します。
ここに来るお客さんはほとんどいないので、
何もお構いできませんけど、どうぞ中にお入りください。
ところで、みなさんはビックリされたでしょう!」
アリス「いえいえ。一つ前の村の村長さんに詳しくお話しを聞いていましたので、ぜんぜん大丈夫です。」
骸骨「ああ。ロレーヌ村のカーチス村長ですね。
ロレーヌ村の方々にはよくしてもらっています。
ところで何用でこの辺境の村まで来られたのでしょうか?
ここは人が来るようなところではありませんので。」
アリス「実は大変不謹慎な話ですが、骸骨の領主の村があると聞いて、どんなところか見てみたくて、ここまで来ました。
でも、昨日ロレーヌ村のカーチス村長さんに色々お話しを聞いて、単なる好奇心で来たことを大変恥ずかしいと思っています。
みなさんのお気持ちを考えるといたたまれない気持ちでした。ここに来るまでは。
でも実際に村の人々が熱心に畑仕事をしている姿を見て、考えが変わりました。
みなさんは前向きに生きていらっしゃる。骸骨なのに卑屈になることなく、日々の生活を楽しんでいるように思います。
ここは、魔物の脅威も無ければ、討伐の軍隊も来ない。
普通の国民が持っているようなストレスがないのです。
最初は、一緒に呪いを解くことはできないかと思っていました。東の魔王に掛け合っても良いかと思いました。
でも今は、ほんとうに呪いを解くことが幸せなのだろうか?
と考えるようになりました。
東の魔王と対立することもできれば避けたいと思っています。
もしかすると、今のままが一番良いかもしれません。
グダグダと生意気を言って申し訳ございませんでした。」
骸骨「なるほど。なるほど。
そうですね。
最初はなぜ我々が犠牲になってしまったのか?
色々と悩みました。
でも悩んでいても始まりません。
魔王は、ここを最終防衛ラインと言っておりました。
確かに我々がこの姿をしていれば、近づく人間などいないと思いました。それが我々の役目ならきちんとこなしましょう!と考えております。
今はこの状態が一番なのです。」
アリス「わかりました。我々はこれ以上東に向かいません。
ところで、ここを北に抜けるとどうなりますか?」
骸骨「ここを東へ抜けると東の魔王領、北に抜けると北の魔王領です。」
アリス「わかりました。では我々はここから北へ向かいます。」
骸骨「あのー! 聞いていましたか?
ここから北へ行くと北の魔王領ですよ。北の魔王は、とても恐ろしいと聞いております。危険ではないでしょうか?」
アリス「大丈夫です。最近、北の魔王は大人しくなったと聞いていますので。」
骸骨「それなら良いのですけど。」
アリス「何もできずにすみませんでした。
みなさんによろしくお伝えください。
では、我々はここで失礼いたします。」
骸骨「ではみなさん気をつけてくださいね。」
こうしてお城を出て、北へ向かうルートを進んだ。
アリス「こういうところもあるんだね。」
フノン「大変勉強になります。実際に見ると教えられることも多かったです。」
ミクリ「人生って難しいですよね!
メリッサは泣いてるの?」
メリッサ「なんか悲しくなってしまって。」
アリス「一度戻りますか?」
ミクリ「そうですね。一度戻って、次を考えましょう!」
アリス「じゃ、このまま北の魔王領に入って、魔王城まで戻りましょう!」
フノン「アリスは、魔王城でいいと思いますけど、我々はシエステーゼ王国に戻りたいですね。」
アリス「そうでした。では魔王城経由してシエステーゼ王国に戻りましょう!」
ミクリ「やっぱり魔王城は経由するんだ。」
アリス「ちょっと様子を見て見たくて。」
北の魔王領にはすぐに入れた。
魔物が襲って来ることもなく普通に通れた。
アリスが思念波でお迎えを呼んだので、魔物が引く馬車がお迎えに来て、魔王城まで楽に行くことができた。
魔王城には、ウィンちゃんがいて、飛んで飛びついて来た。
ウィンちゃんはとってもかわいい。
ミクリにもフノンにも抱きついていた。
大人の心を理解している。
メリッサだけは状況が掴めず、戸惑っていた。
頭が混乱しているようである。
アリス=北の魔王????
次にシエステーゼ王国に行ったらまた大変だ。
ディアブロ「アリス様。お久しぶりでございます。」
アリス「ディアブロ。魔王国の復興はどうだ?」
ディアブロ「魔王国の復興は順調でございます。
南の魔王の嫌がらせも大人しくなりました。」
アリス「そうか。まあ。そうだろうな。
人間との関係も問題はないか?」
ディアブロ「最近では魔物の数も増えてきて、人間も簡単には入れなくなりましたので。」
アリス「あれ。我々がラインリッヒ共和国から魔王国に入ったときに、魔物に遭遇しなかったけど。」
ディアブロ「事前に避けるように通達を出しておきましたので。」
アリス「さすが、ディアブロ。気が利くね。
ところでラインリッヒ共和国が軍備を増強している。
こちらに来る確率は低いけど、注意をしておくように。」
ディアブロ「はい。御意に。」
アリス「アルテミスは?」
ディアブロ「呼んで参ります。」
アルテミス「アリス様。お久しぶりでございます。」
アリス「アルテミスも忙しいと思うけど、魔王国にも大学や研究機関を作りたいと思っている。是非、アルテミスにお願いしたい。ディアブロも協力するように。」
アルテミス「大学? 研究機関? ですか?」
アリス「ラインリッヒ共和国にあって、すごい研究をしていたよ。魔王国にも魔法大学や魔法魔術を初めとするあらゆる魔法研究機関があれば、魔族も人を襲うだけの低脳ではなく、もっと違った生きがいを見つけられるかもしれないと思って。」
アルテミス「なるほど、わかりました。やってみます。」
アリス「よろしく。」
魔王とアリスとの関係が誰にもばれないように、魔王城からシエステーゼ王国の王宮へは転移魔法であっという間だった。
最初から使えば? いやいや、転移を多用したら、旅の醍醐味が薄れてしまうでしょう。




