32 新魔王国の再興編 エピソード16 part 3
シェラール王女 (シャルル王女)
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ゲルデヘルム魔王国の復興もかなり進んできた。
ほとんどいなかった魔物や魔族も順調に増えてきた。
今までは魔物がいなかったので、冒険者が勝手に、ゲルデヘルム魔王国に入ってきて魔物狩りをしていたが、魔物の数が増えたことで、ゲルデヘルム魔王国内に入り辛くなった。
もちろん、魔物たちがゲルデヘルム魔王国から出ることはないが、冒険者が入ってきても無闇に殺すことは禁止していた。
まだまだ魔族や魔物も少ないので、侵入者には組織だって対応するような訓練もしていたので、少ない戦力でも多くの成果を出していた。それがゲルデヘルム魔王国に簡単に入れないような抑止力にもなっていた。
今後は、アルテミスを中心にして、ゲルデヘルム魔王国に、エルムガンド帝国から人間を招いて、魔族との共存ができるような国を作ろうと模索していた。エルムガンド皇帝には伝えていて、アルテミスがエルムガンドで活動できるようになっていた。アルテミスを信仰の対象として布教して、アルテミスを信仰する人間には魔族は手を出さないというようなことを風習化しようということである。
アリスは、その報告を聞いて満足していた。
アリス「ディアブロもアルテミスも頑張っているな!
後は、ルシファー、いるか?」
ルシファー「なんでしょう?アリス様。」
アリス「その後、南の魔王と正教会の動きはどうだ?」
ルシファー「今のところ、両方とも動きはございません。
ヒグナス商会も召喚石を手に入れたという報告もございません。」
アリス「なるほど。特に問題ないということだね!
それなら結構。このまま何も起きなければいいけど…
ところで、ゲルデヘルム魔王国の復興も順調に進んでいるし、ちょっとシグナス王国に行って、その後何か問題が起きていないかを聞いてみたいと思っているから、今度はお茶もしたいし。ルシファーもついてくるように。」
ルシファー「かしこまりました。仰せに従います。」
アリスとルシファーは、シグナス王宮内にワープした。
アリスは、そのままノアール王女の部屋へ向かい、扉を開けた。
アリス「ノアール王女様お元気ですか?」
ノアール「あらまぁ。シャルル。どうしたの?いきなり。」
アリス「少し落ち着いたから、ちょっと、お茶でもしようと思って。いいかな?」
ノアール「そうですよ!お茶しましょう!シャルルは働き過ぎだから、たまにはゆっくりしないとね!」
アリス「ありがとう!お茶お茶!」
ノアール王女の私室でアリスとノアールはゆっくりお茶を楽しんでいる。
アリス「ところで、ゲルデヘルム魔王国の再興が結構進んできたけど、その後何か悪い影響がシグナス王国に出ていないかな?ノアール王女は何か聞いていないかな?」
ノアール「その後も特に何もトラブルがあったというお話しは聞いていませんよ。最初はやっぱりちょっとしたことが色々あったみたいだけど、最近ではトラブルがなくなったと聞いています。」
アリス「それなら良かったです。最近は、ゲルデヘルム魔王国の目線でしか見ていませんでしたので、ちょっと余裕ができたら、気になってしまって。
でも良かったです。悪いことが起きていなくて。」
ノアール「ちょっと他の者にも聞いてみますね。
執務室に行きましょう!」
ノアール王女の私室から執務室へ移動する
ノアール「衛兵!北部の行政官を呼んできてください。」
衛兵「はっ!承知しました。」
行政官「ノアール王女様。いかがされましたでしょうか?」
ノアール「行政官。こちらは、シエステーゼ王国のシェラール王女です。
この度、ゲルデヘルム魔王国のその後の様子を知りたいというのですが、何かありますか?」
行政官「あのゲルデヘルム魔王国を殲滅されたシェラール王女様でございましたか。失礼いたしました。
今のゲルデヘルム魔王国でございますが、何やら北の魔王オルブレスという方が新魔王となって統治していると聞いています。
ただ不思議なことに前のように魔物や魔族がこの国に入ってくることがなくなりました。
国境警備隊の話しでは、実に静かになったと聞いています。魔物を殲滅した影響かと思っていました。けど、最近は国境付近で魔物が数を増やしているようですが、シグナス王国に近づくことはないそうです。
それからゲルデヘルム魔王国が滅びて、ゲルデヘルム国内が一時期、盗賊の住処になって、盗賊の襲撃が増えましたけど、最近は魔物や魔族が増えると、逆に盗賊が減って、我々が魔物に守られているようだと国境警備兵は言っておりました。」
アリス「なるほど、それは良いことですね。また特に問題はないようですね。わかりました。もし何かあれば私に連絡してください。新しい魔王が出て来たと言っても、一度魔王を滅ぼした私にできることがあるかもしれませんので。」
行政官「ありがとうございます。心強いお言葉をいただき感謝いたします。何かあれば是非ご相談させていただきます。」
ノアール「シャルル。その時は頼むわね。」
アリス「もちろん。では、魔王国のその後が心配だったけど、問題ないようで安心しました。
ノアール王女。それではまた、お元気で。」
アリスとルシファーがワープして帰った。
行政官「シェラール王女様はお忙しい方なのですね?」
ノアール「本当に。お茶をもう少し楽しもうと思っていたのに。
あの子は昔からそうだったけど、本当に慌しい子ね!
でもシャルルらしいわ。」
シエステーゼ王宮に、ワープして戻ったアリスとルシファーは部屋に戻って、今後について話し合っていた。
アリス「一応作戦通りに、ゲルデヘルム魔王国は、魔王の威厳を残しつつ、魔王国の復興も人間には恐れられる存在として順調に行っている。前と違うのは被害が出ていないこと。盗賊の件は考慮の範疇に無かったけど、結果として良い方向に進んでいるので問題ない。
後は恐れられつつも人間と共存して行く道を見つけることだが、それはアルテミスに任せよう。
ルシファー。この後についてだけど、ひとまず正教会は置いておいて、南の魔王の対策を考えたいと思う。」
ルシファー「南の魔王についてですが、最近になって、暗殺系の強い魔人を呼びつけたとの情報が使い魔より入りました。」
アリス「困ったもんだ。どうしても暗殺したいらしい。表には自分は出ないつもりのようだ。用心深いというか。自分の手は汚さない主義というか。やり方がセコイ。まあ、上に立つ者はそういう人が多いみたいですけど。
私は好きじゃないな。
どの道、その魔人は片付けるとして、その先、来る暗殺者をすべて倒すか?暗殺の依頼を潰すか?何か考えないと。
ノームは何か良い考えないかな?」
ノーム「今のところ、有効な対策はありません。南の魔王を直接撃つのは時期早々という結論にはなっていますけど。代替え案はまだありませんね。」
アリス「ノームでもそうなんだ。じゃ、仕方ないかな。当分は、来た者を撃つということで。
ノーム。じゃ、正教会は今後どう出てくるかな。」
ノーム「正教会は、最終的にはゲルデヘルム魔王国に干渉してくると思われますけど、当分は北の魔王の今後の動きを見定めている段階だと思います。もし出て来たら、巨神獣の召喚で迎え撃つしかありません。」
アリス「なるほど。様子見の段階だから、動きがないんだ。まあ、いざとなったら、巨神獣召喚だね。
よし、なんか気持ちが明るくなってきたぞ!」
ディネ「本当に脳天気なのね!まったく」
アリス「別にいいじゃん!前向きで。」
ディネ「アホ」
アリス「アホ言うな!ディネ!」
サラ「そうだよ!アホじゃなくてバカなんだから!」
アリス「サラもいい加減にして!
そろそろ魔王国の復興も飽きたかな。
ルシファー。冒険者に戻ろうと思うから、ミクリとフノンがいるところを探しといて。」
ルシファー「かしこまりました。」
アリス「さてと冒険の準備。準備。」
ルシファーが消えて行き、アリスは冒険の準備を始めた。