29 新魔王誕生編 エピソード15 part2(改訂)
南の魔王ラファエル
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南の魔王城、大会議室。
重厚な円卓を囲む三つの席に、南の魔王ラファエル、東の魔王アヴォスヘイム、西の魔王ギルバインが座っていた。
三人の視線が、アリスとディアブロに集中する。
南の魔王ラファエルが低い、威圧的な声で切り出した。
ラファエル:「ようこそ、よく集まってくれた。
ひとり足りないが……今回の議題はそのことについてだ。
北の魔王が倒され、闇の魔王も倒された。
これは魔王の権威が踏みにじられたも同然。
このままでは我々の立場がなくなる。
権威を取り戻す必要がある。
みなの意見を聞きたい」
東の魔王アヴォスヘイム
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東の魔王アヴォスヘイムが穏やかに手を挙げた。
アヴォスヘイム:「その前に、闇の魔王を倒した人間の言い分を聞くのはどうか?」
アリスは一礼し、はっきりとした声で名乗った。
アリス:「初めてお目にかかります。
闇の魔王を倒したシエステーゼ王国第一王女シェラールでございます。
またの名は冒険者アリスと名乗っております」
彼女は丁寧に、けれど迷いなく続けた。
アリス:「闇の魔王は我が国を滅ぼそうと軍勢を率いて攻め入ろうとしていました。
そこで先手を取って私が乗り込み、闇の軍勢を撃ち破り、魔王を封印した次第です。
手に入れた城と領土をどうこうしようという考えはございません」
東の魔王アヴォスヘイムが静かに頷いた。
アヴォスヘイム:「闇の魔王は北の魔王を滅ぼして地位を奪ったが、我々に何の説明もなかった。
いずれ我々三魔王で対処するはずだった。
問題は、魔王が三人になることでパワーバランスが崩れること。
それだけは避けたい。
そこで提案じゃが、闇の魔王を倒したこの者が、北の魔王になることだ。
この者なら魔王と匹敵する魔力を持ち、ディアブロを従えている。
魔王の威厳も保てるというもの。
もし人間と敵対するなら、確実に一人は倒される。
我はこの者の味方じゃ。倒されるのは南か西になるが、どうするか?」
西の魔王ギルバイン
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西の魔王ギルバインが即座に答えた。
ギルバイン:「我は敵対したくない。この者を新しい魔王と認めよう」
南の魔王ラファエルが腕を組んで唸った。
ラファエル:「んーーーん。確かに相対するのは避けたい。
魔王を倒した者が魔王になれば威厳も保てるか。
その者は、北の魔王国家をどのようにするつもりだ?」
アリスは落ち着いて答えた。
アリス:「北の魔族はほぼ壊滅し、闇の魔王に心酔する者はいません。
私の存在に逆らう者もいないでしょう。
逆らう者がいれば倒しますので問題ありません。
今後は新しい魔王として新たな名で統治を表明し、
実際の統治は暗黒神ディアブロが行い、補佐として月の女神アルテミスを付けます。
人間には『魔族から新たな魔王が誕生した』と伝えて、
魔王と魔族の威厳を保ちながら新しい魔王国を作ります。
いかがでしょうか?」
南の魔王が少し考えてから頷いた。
ラファエル:「んーーーん。それなら魔王の威厳を保ちつつ、パワーバランスも保てるな。
東の魔王、そういうことだな?」
アヴォスヘイム:「そういうことだ」
ラファエル:「お主は魔王になることに同意するか?」
アリス:「もちろん。人間と魔王と魔族にとって、一番安定する方法であるなら、
魔王になることに躊躇はありません」
ラファエル:「西の魔王も問題ないな」
ギルバイン:「問題ない」
ラファエル:「それでは、お主を新しい魔王として迎えよう。
だが、もし言ったことに偽りがあれば、我々三魔王は許さぬぞ。
新しい魔王の名はなんとする?」
アリスは咄嗟に考え、明るく答えた。
アリス:「魔王オルブレスはいかがでしょう?」
ラファエル:「北の魔王オルブレスか。良かろう。
我々は北の魔王オルブレスを四魔王の一員として認める。
それでは今回の魔王会議を終わる」
こうして、アリスは正式に北の魔王オルブレスとなった。
魔王城を後にし、ディアブロと共にアルテミスのワープでシエステーゼ王国へ戻った。
すぐに父王に報告し、リンデン・カンタレア・シグナス三国の国王にも直接説明した。
どの国王も最初は驚きを隠せなかったが、
特に南の魔王が気にしていたのが「パワーバランス」ではなく「魔王の威厳」だったことに、皆が意外そうな顔をした。
アリスはシエステーゼ王国に戻り、北の魔王国再興の準備を始めた。
魔王の仕事はほとんどディアブロに任せ、
自分は相変わらず冒険者アリスとして動き回るつもりだった。
ある夜、宿の部屋で精霊たちが集まった。
ディネ:「シェラールだの、アリスだの、オルブレスだの……
よく名前を変えてバカじゃないの?」
サラ:「名前を変えればそれなりに見えると思ってるんじゃないの。
中身は変わってないのにね!」
ノーム:「論点がズレてますよ」
サラ:「別に魔王でいいじゃん」
ノーム:「何か支障はありませんか?」
ジェイド:「特にありません……」
ウィプス:「僕はいいけど、魔王が光の精霊を連れていていいの?」
ディネ:「ウィプスはあまり目立たないから、きっとわからないわよ」
シルフ:「魔王アリス、かっこいいじゃん!」
エント:「本当に無茶ばかり……でも、みんなで支えますわよ」
セレネ:「……月の光が……新しい道を照らしますように……」
アリスはみんなの声に囲まれながら、にっこりと笑った。
アリス:「みんな、ありがとう!
これからもよろしくね!
北の魔王オルブレスとして……
でもやっぱり、私はアリスだよ!」
口うるさい8大精霊たちと、
頼もしい仲間たちと共に。
新たな肩書きを得た美少女剣士の、
まだまだ続く冒険が、再び動き始めようとしていた。
(続きは次話で)
本来、個人的に勝手に書きたかったのはここまでです。
でも何故か読んでいただいている方がいらっしゃるので、できるところまで続けて書いてみます。
なので、テイストが少し変わるかもしれませんので、最初に誤っておきます。
すみません。
よろしくお願いいたします。




