29 新魔王誕生編 エピソード15 part2
南の魔王ラファエル
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魔王会議の始まりである。
3つの席には、
南の魔王ラファエル
東の魔王アヴォスヘイム
西の魔王ギルバイン
が座っている。
南の魔王「ようこそ、みなさん。よく集まってくれた。
ひとり足りないが‥。
今回の議題はそのことについてである。
北の魔王が倒された。非常に遺憾である。
だが、北の魔王を倒した闇の魔王も倒された。
このことは許されないほどの問題である。
つまり、続けざまに、力のある魔王が簡単に倒されたことは、魔王としての権威が罵倒されたと言っていいのではないだろうか。
このまま魔王の権威が失墜したままでは、我々の立場がない。断固として権威を取り戻す必要がある。
みなさんの意見を聞きたい。」
東の魔王「南の魔王の言うことは理解できる。だが我々の意見を言う前に、闇の魔王を滅ぼした人間の言い分を聞いた後でも良いか?」
アリス「初めてお目にかかります。闇の魔王を倒したシエステーゼ王国 第一王女 シェラールでございます。
またの名は、冒険者 アリスと名乗っております。
それでは、闇の魔王を倒した理由をご説明させていただきますが、真意は決して4大魔王様に楯突くつもりではございませんので、御承知ください。
闇の魔王ですが、我が国を滅ぼそうと軍勢を従えて、まさに攻め入ろうとしていたので、先手を取って、私が乗り込んで、闇の軍勢を撃ち破り、闇の魔王を倒した次第にございます。手に入れた闇の魔王の城と領土をどうこうしようという考えはございません。」
東の魔王アヴォスヘイム
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東の魔王「闇の魔王は北の魔王を滅ぼして、魔王の地位を奪ったのじゃが、我々に何の説明もせず、北の魔王を名乗っておった。
いずれ我々3大魔王たちとなるはずであった。
問題は、闇の魔王を倒したのが人間であり、魔王の地位が下がり、魔王が3人になることで、パワーバランスが崩れることになる。それだけは避けたい。闇の魔王が北の魔王を倒して、そのまま北魔王となったのは、均衡の点から言えば、バランスが保たれて問題は無かった。
今、均衡が崩れたままの状態を続ける訳にはいかん。
そこで提案じゃが、闇の魔王を倒したこの者が、北の魔王になることである。闇の魔王を倒したこの者なら、北の魔王になる権利を持っておる。見たところ、魔王と匹敵する魔力も持っておるし、ディアブロを従えておるから問題無かろう!
闇の魔王を倒した者が、新たな魔王なら、魔王の威厳も保てるというもの。もし仮に闇の魔王を倒した人間と敵対することになれば、闇の魔王を倒したこの者は、3人の魔王を倒すことはできないが、確実に1人は倒す。我はこの者の味方なれば、倒されるのは、南の魔王か西の魔王ということになるがどうするか?」
西の魔王「我は敵対したくない。この者を新しい魔王と認めよう。」
南の魔王「んーーーーん。確かに、闇の魔王を倒した者と相対することは避けたい。魔王を倒した者が魔王であれば、魔王の威厳も保たれるか。
その者は、北の魔王国家をどのようにしようと考えておるか?」
アリス「北の魔族はほぼ壊滅しました。
闇の魔王に心頭する魔族はもういません。
闇の魔王を壊滅した私の存在は、当地で逆らう者はいないでしょう。もし逆らう者がいれば倒すので問題ないかと。
今後は、新しい魔王として新たな名で統治を表明し、実際の統治は暗黒神であるディアブロが行い、その補佐として偉大なる月の女神アルテミスを付けて、北の魔族を再興しようと考えております。
人間には、新しい魔王が人間とは言わず、魔族から新たな魔王が誕生したとすることで、魔王と魔族の威厳を保ちながら、新しい魔王国家を作るつもりです。
いかがでしょうか?」
南の魔王「んーーーーん。
まあ、それなら魔王と魔族の威厳を保ちつつ、パワーバランスを保つことが可能か。
東の魔王よ。そういうことであるな。」
東の魔王「そういうことだ。」
南の魔王「お主は魔王になることに同意するのか?」
アリス「もちろん。人間と魔王と魔族にとって、一番安定する方法であるなら、魔王になることに躊躇はありません。」
南の魔王「西の魔王も問題ないな。」
西の魔王「問題ない。」
南の魔王「それでは、お主を新しい魔王として迎えよう。だが、もしお前の言ったことに偽りがあれば、我々3大魔王は許さぬからそのつもりでおるよう。
それで新しい魔王の名はなんとする?」
アリスは咄嗟に考えた。
アリス「魔王オルブレスはいかがでしょう?」
南の魔王「北の魔王オルブレスか。
良かろう。
我々は、北の魔王オルブレスを4大魔王の一員として認める。
それでは今回の魔王会議を終わる。」
こうして、アリスは、正式に北の魔王オルブレスとなった。
アリスは、ディアブロとともにシエステーゼ王国に戻った。
すぐにシエステーゼ国王に報告し、リンデン王国、カンタレラ王国、シグナス王国に出向き、それぞれの国王に直接説明した。
南の魔王が気にしていたことが、パワーバランスではなく、魔王の威厳ということに驚いていた。
だが、よくよく考えてみたら、魔王は力の強さや権威の序列というものを大事にしてきたから、よく理解できる。
アリスは、シエステーゼ王国に戻り、北の魔王国の再興の準備を行うことにした。
西の魔王ギルバイン
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精霊の会議 8人
場所は、亜空間の会議室。
「皆さん集合しましたね」
ノーム議長が木槌を叩く
「トントン」
「これから第19回8大精霊会議を始めます。
議題は、契約者が正式に北の魔王になってしまった件についてです。」
ディネ「シェラールだの、アリスだの、オルブレスだのよく名前を変えてバカじゃないの?」
サラ「名前を変えればそれなりに見えると思っているんじゃないの。
中身は変わってないのにね!」
ノーム「論点からズレてますよ」
サラ「別に魔王でいいじゃん。」
ノーム「何か支障はありませんか?」
ジェイド「特にありません。」
ウィスプ「僕はいいけど、魔王が光の精霊を連れていていいの?」
ディネ「ウィスプはあまり目立たないから、きっとわからないよ。」
サラ「別にいいじゃん。」
エスト「これから契約者はどこで暮らすの?」
ディネ「きっと魔王の仕事は全部ディアブロに押し付けて、また勝手に冒険に出るつもりじゃないの?」
サラ「僕もそう思う。」
セレネ「それじゃ前と変わりませんね。」
シルフ「でもそれでいいんじゃないかな。契約者は。」
ノーム「それでは、契約者が魔王になっても変わらないから気にしないということでいきたいと思います。
以上。」
パチパチ
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本来、個人的に勝手に書きたかったのはここまでです。
でも何故か読んでいただいている方がいらっしゃるので、できるところまで続けて書いてみます。
なので、テイストが少し変わるかもしれませんので、最初に誤っておきます。
すみません。
よろしくお願いいたします。