5 一般人、魔界へ行く
何かと読んでいただいてる人に感謝します。5です。
「琉斗!!あんたもうすぐテストでしょ!ちゃんと勉強してんの?」
「ああ~、もちろんやっていないですねお母さま。」
「正直なのはいい事ね、ただし勉強していないなら・・・。」
「すいませんでした。」
琉斗は逃げるように2階の自分の部屋に入った。
「いや~本当に勉強というのは大変だね~。サボる方もどうやってサボるか常日頃考えてるというのにさ。そう思わない?」
「知るか、そんなことより俺を早く魔界へ連れてけリュウト。」
む、冗談が通じない奴やなあ。しかし、今目の前にいるのがあの公園で死にそうになってた奴とは今でも夢みたいな感じだ。
「いや、俺魔界が何処にあるかわからないからウルだけで行ってこいよ。」
「ウル・・・!俺はウルフェンだ!!短くすんじゃねえ!」
はいはいと言いながら後ろで騒いでいるウルフェンを無視して勉強する。
契約だなんだと言われた時、俺は一瞬意識が飛んだ。
だけど俺自身特に変わった事なんてのはなくて変わったといえば傷だらけの狼が中型犬サイズの狼になっていた。
その後にウルフェンという名前を聞いたが、ウルの方が呼びやすいからそう呼んでる。
「そもそも契約して、俺の力の半分がリュウトに譲渡されたからお前の力が必要だってリュウトの家に行く途中で何回も言っただろ?!。」
「ああ・・・・。ゴメンその時、親にウルを飼うための説得を考えてたわ。」
まぁ、俺が全部世話をしますと言ったら一発OKもらったから考え損だった。
親、優しくない?
なんで勉強の時はあんなに厳しいの?
・・・あれ、さっきウルが。
「ていうかちょっと待って、今、ウルの力の半分が俺にあるっていった?」
「ああそうだ。だから・・・。」
ガタン 琉斗は勢いよく立ち上がった。
「っしゃあああ。」
「うお、どうした急に。」
ウルは驚いているようだが、俺はテンションが上がって気にしない。
だってウルの力の半分が俺の力になってるってことだろ?
「なあなあ、俺にもなんかの能力が発動するのか?!」
「ん?ああ、そこは個人差がある。俺の力というより具体的に言うと俺の負のエネルギーをリュウトにやったからどんな能力かはお前次第だ。」
それメッチャ良くない?
自分だけの能力とかワクワクするよ。
「あ、そういえばウルあの後何も食べてないだろ?なんか作ろうか?」
「またウルって・・・もういい。お前達の食事については問題ない。契約してるからお前の負のエネルギーだけで充分だ。」
「ふーん、やっぱ人間とは違うのか、ところで俺生まれてからウルみたいな奴を1度も見た事ないんだけど。」
「当たり前だ、俺たち魔界の連中は最近になって人間界にやって来たんだ。普通は知らねえ。」
あ、だから俺は日常的に暮らしてたわけだ。
という事は魔界の奴らは最近人間界にやって来たということになるな。
「なんで最近になって人間界に来たんだ?」
「・・・それはまだ教えられねえ。俺はまだお前を信頼していない。」
まぁそれもそうか、こんな今日会ったばかりの奴に自分の居場所を教えたくはないよな。
あれ?なんだろう、そうなると俺がものすごく馬鹿じゃないかと感じるのは・・・。
「ならさ、俺を魔界に連れてく理由にならなくね?」
「いや、今の俺の力では魔界に繋がるゲートが作れない。だから俺の力の半分を持ってるお前に頼んでる。」
「まるで、どこで○ドアだな!!」
「何だそれは?」
なるほどな、という事は俺の家からでも普通に魔界に行けるのか。
負のエネルギー便利すぎる。
ただ名前がなんていうか妙に悪役のレッテルがある気がするんだよな?
あと魔界とかいかにも悪役って感じがするけど、ウルが悪い奴には見えないし、俺が違う世界から来たからもしかしたらここではそういうのが常識かもしれないな。
「よし、明日なら俺、日曜日で休みだから魔界に行っていいよ。」
「!、明日か・・。できれば今すぐにでも行きたいところだが、仕方ない。チッ、これだから主従関係のある契約は嫌だったんだ。」
「?、契約に主従関係とかあんの?しかもウルからやっといて何でそっちが従のほうなんだ?」
「あ?俺の力の半分がお前にあるんだからそこに貧弱なリュウトの力が加わるからお前のほうが強いに決まってんだろ。」
ウルフェンはさも当然だと言わんばかりに言った。
そんなもんなのか?もしかしたら、魔界は純粋な力が強い方が偉い!!みたいな感じかもしれないな。
「じゃあ何で主人に対してウルはお前とか、信頼してないから教えねえとか反抗的なんだよ?」
「お前が偉く見えねえから。」
「・・・・まあそうかもしれないけど、ハッキリ言うね君。」
「ああ、何でこんな覇気のなさそうな奴と契約してしまったのが俺の人生にとって最大の侮辱だ。」
コイツ・・・!言わせておけば・・・!
「・・・行くのやめようかな。」
「きたねえぞテメェ!!」
は!言ってやがれ。そっちが折れるまでこっちは絶対いかねえよ。
まあ、話し合いの主導権はこっちが握ってるから、直ぐに決着がつくがなあ!
結局その後、ウルフェンが歯を食い縛りながら頼んでその日は終わった。
土曜日の朝、冬先琉斗はウルフェンと契約を交わした公園にいた。
「さーて、どうすればいいんだ?ウル。」
「俺がやるからそれを真似しろ。」
そうしてウルフェンの体から紫色のオーラが出て、それを放出し、1か所に集めると、小さな穴ができた。
はああ・・。改めて見ると現実離れしてて、なんかすごいわ。
「なるほどなるほど。それでどうすればいいんだ?」
「は?だからこれをやれよ。」
「いやだから、コツを教えてほしいいんだけど。」
「気合だ気合い。」
嘘だろお前・・・。そんな根性論言われても無理だろ。
「ウルって、もしかして教えるの上手じゃないの?」
「お前が下手なだけだろ。早くしろ、時間がねえ。」
原因が全部俺ということはないと思うんだがウルさん!?
仕方ない、試しに集中してみるか。
そうして目を閉じて瞑想してみると、確かになんか青?黒???みたいなモヤモヤがある。
試しに出せるように念じてみると、紺色のオーラが意外と簡単にだせた。
「よし、いい感じにゲートができた。行くぞリュウト。」
そう言うと直ぐに、ウルがゲートに飛び込んだ。
うーん多分、大丈夫なんだろうけど結構勇気がいるな・・・。
でも、今にも消えそうだから入るか。
そうして俺も入ったが、よく考えたら、ウルだけ魔界に行けばよくね?と若干後悔した。
冬先琉斗とウルフェンが魔界へ行った10分後、公園に2人、いや、1人と1匹がいた。
「本当にここにきたの?」
「反応はあったキュ。でもいない・・・・、逃げたかもしれないキュ。」
だんだんと文字数を増やしていけばいいんですが。それだと疲れ・・・・次もなるべく頑張ります。