表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶を読む治療士、魔獣の家族を視てしまう --人間と魔獣の境界で揺れる青年の物語  作者: 50
揺らぎ始める世界の正義

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/18

第18話 決着

「裏切り者がァ!!」


ゴブリン長が怒り狂い、

兄ボアへ槍を突き立てようとする。


だが兄ボアは、散々目の前で見てきた槍の長さを正確に測り、

攻撃範囲の外へ退いた。


そして弓師を背に乗せたまま、地面を蹴る。

「撃て! 俺には倒せん任せた!」


弓師は痛む足を押さえながらも、

兄ボアの背で体勢を整え、矢をつがえる。


ヒュッ!

ヒュッ!


逃げようとするゴブリンたちの肩や腕に矢が突き刺さり、

悲鳴が森に散った。


剣士と盗賊も動き出す。


「右を押さえる!」

「ボアたちは左へ回り込め!」


人間とボアが、

互いに声を掛け合うという異様な光景。


だがその連携は、驚くほど噛み合っていた。


***


ハルはゴブリン長と対峙していた。


「てめぇが全部邪魔なんだよ!」


槍が突き出される。

ハルはメイスで受け流し、木の影へ飛び込む。


ガンッ!


火花が散り、腕に衝撃が走る。


(……だめだ、武器がもたない)


ゴブリン長は苛立ち、

戦況をひっくり返そうと焦って攻めてきた。


「死ねぇ!!」


その瞬間――


ヒュッ!


兄ボアの背から放たれた弓師の矢が、

ゴブリン長の腕を貫いた。


「がっ……!」


槍が落ちる。


ハルは即座に動く

距離を詰め、メイスを振り下ろした。


ガンッ!!


ゴブリン長がよろめく。


そこへ兄ボアが突進し、

巨体でゴブリン長を木へ叩きつけた。


最後の一矢が放たれる。


ヒュッ――。


弓師の矢が、

ゴブリン長の胸を正確に貫いた。


強靭な肉体により

矢は貫通しなかったが、内臓には達した

木に沿って、そのまま崩れ落ちた。


ゴブリン長がやられ、他のゴブリンたちも指揮を失い、ゴブリンは全滅した崩壊。


***


戦いが終わると、

兄ボアがハルへ歩み寄った。


「……第一偵察隊の記憶を読めるか?」


ハルは首を振る。


「遺体には触れても記憶は読めない

 ……ごめん」


兄ボアはしばらく黙り、

やがて静かに言った。


「……いい。

 だが、家族の最後は……必ず教えてくれ」


ハルは頷いた。


「約束する」


兄ボアたちは弓師を途中まで運ぶことを申し出た。

冒険者たちもそれを受け入れ、

奇妙な共闘のまま森を後にする。


ハルは胸の奥に重いものを抱えながら、

村へ戻る道を歩いた。


その背後で――


盗賊が、

誰にも気づかれないように

冷たい目でハルを見つめていた。


(……記憶を読む?

 まずいな、それは)


森の静寂が、

新たな不穏を孕んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ