第四十七話 蛇の道は蛇②
そこにはシルバーパンサー団リーダーが待っていた。
罰の間は、罪の間とまったく同じ作りだった。
ただ、飾られている絵画の種類だけが異なっていた。
壁には恐ろしい数々の罰の場面を描いた絵がびっしり並んでいる。
「お待たせして申し訳ありません」
江森は低姿勢を装いつつシルバーパンサー団リーダーの向かいに座ると、ケースを床に置いた。
「それで、どのくらいご入り用ですか?」
「銃を三十、弾丸を千五百だ」
モヒカンのシルバーパンサー団リーダーは円卓に身を乗り出し、指にはめたいくつもの牙の形の指輪を見せつけるようにしてきた。
「三十に千五百ですか………十に五百ぐらいなら、何とかならなくもありませんが」
「シケたこと言うな、全然足りないぜ」
「こちらとしても、難しい状況の中で、できるだけご希望に沿いたいと思っています」
「仕方ねえな! 本当はもっとまとまった量がほしいくらいだがな」
シルバーパンサー団リーダーは江森の仕立ての良さそうなスーツを見ながら不満そうに納得して、円卓に札束の入ったケースを乗せて開いた。
江森はまたもやじっと札束を目算した。
「商品は明日、残りの代金と引き換えになりますので」
「心配するな、品物だけもらってトンズラしようなんて考えちゃいないぜ」
シルバーパンサー団リーダーはそう言うと、裏口から去って行った。
江森は一人になると、もう一つのケースも円卓に置いて開き、しげしげと眺めた。
敵対する双方に対して同時に商売をすることができるだけではなく、警察が踏み込んできても裏口から逃げられる。
しかも、客はバイヤー以外の誰とも顔を合わせることがないため、安心して商談ができる。
この罪と罰の館はまさに裏取引専用の会員限定の店であり、常連の江森はこれまでも何度となく違法薬物や武器の売買を行ってきたのだった。
そして、今日も戦果である二つのケースを持って部屋を出ると、店のオーナーの矢島有作が店の入口で来客者の対応をしていた。
どうやら、相手は飛び込みの客のようだった。
その矢島の後ろには、店員の溝口貴文が控えていた。
溝口は小柄のためか、常に睨み上げるような目つきをしていた。
「紹介者などいない!」
「では、お引き取りを」
「これでもか!」
客はそう言って数枚の紙幣を突きつけたが、矢島は動じなかった。
「今もお伝えしましたが、当店は会員様限定となっております。非会員の方のご利用はご遠慮いただいております」
「ケッ!」
客はそう舌打ちすると店を出て行った。
それを見た江森は改めて感心するかのような表情になったが、溝口は不満そうな顔でしゃくれ気味のアゴをモゴモゴさせていた。
「塩をまいておけ」
矢島がそう指示すると、溝口はムッとした感じのままながら、言われた通りに入口の扉付近を清めた。
その間に江森がいることに気づいた矢島は、カウンター脇の荷物置き場からシルクハットを取ってきて差し出した。
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