第四十七話 蛇の道は蛇①
【罪と罰の館】は店内の照明を絞っているために、全体的に薄暗かった。
しかも、ドラキュラやフランケンシュタインの蝋人形、切っ先に血を思わせる赤いペンキの塗られた釜や斧などが置かれていたので、さながらお化け屋敷的な様相でもあった。
だが、それはあくまでも雰囲気作りの小道具だったので、何も演出をしなければ入り口脇にある受け付けカウンターぐらいしかなかった。
あとは、奥に続く通路の左右に向かい合う個室があり、ドアにはそれぞれ名前が刻まれていた。
左側の部屋には【罪の間】、右側には【罰の間】。
そして今、罪の間では、江森彦麿とレッドスネーク団リーダーの契約交渉が行われていた。
「追加で銃が二十、弾丸が千ですか………?」
江森は腕を組み、じっと思案するふりをしてみせた。
室内にあるのは、円卓が一つ。
壁一面に飾られた無数の絵画。
それらは、どれも様々な罪をモチーフにしたおぞましいものばかり。
あとは、二つのドア。
通路側にある表口と、部屋の奥の裏口。
リーゼントのレッドスネーク団リーダーは江森の向かい側に座り、肩の入れ墨をこれみよがしに見せていた。
「その半分ぐらいなら何とかなるかも知れません」
やがて江森は勿体ぶったように言った。
「少なすぎるぜ、いつもあと一押しのところで弾がなくなる」
「そう言われましても、こちらとしてもいろいろと制約がありますので、その辺の事情をご理解いただければと」
「分かったよ!」
レッドスネーク団リーダーは江森のカールした口ヒゲを見ながら渋々そう言うと、円卓にケースを乗せて蓋を開けた。
江森は中の札束をじっと眺めてから言った。
「商品の受け渡しは、明日、いつものところでよろしいですね? その時に残金をいただきますので」
「きっちり用意しておくぜ」
レッドスネーク団リーダーはそう言うと、裏口のドアを開けて出て行った。
江森はケースを閉じて手に持つと一旦部屋を出たものの、すぐに通路を挟んだ罰の間に入った。
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