第四十三話 剣と灯火①
予言者アゲハ。
屋上から下りてきたミサコは、社会部の自席で手早くそう入力し、検索をかける。
が、情報は表示されない。
今日もダメみたいね………。
そこでキーワードを少し変更して「予言者」だけにしてみようとしたものの、間違って「予言書」と入力してしまった。
すると、一件の情報が表示された。
【やはり予言書は存在する!?】
ミサコはパッと見出しに目を通すと、すぐに詳細を読み始めた。
【………噂の出処はさだかではないが、人類の未来が記されている予言書があるらしいと言われている。その予言書には、これから起きることが詳細に書かれており、信じがたい内容も多数あると囁かれている。しかも、それを新江戸政府の議員の誰かが持っていて、密かに解読をしている可能性があるという憶測が飛び交っていた時期もあったほどだ。ところが、“連続おさらば事件”を境にして、それに関する一切の情報が途絶えた。悔しいことだが、我らが準京都側の一人の女性新聞記者もその中に含まれているとのことだ。“正義という剣で道を拓き、真実という灯火で明日を照らす”というのがその記者の信条だったらしい。真相は闇に葬られてしまったが、火のないところに煙は立たない。準京都人の一人として、勇敢なその記者に敬意を表したい………】
………。
一通り最後まで目を通したミサコは、しばし黙した。
と、その間に、画面から情報が消えた。
どうやら、検閲でブロックがかけられたようだった。
正義という剣で道を拓き、真実という灯火で明日を照らす………。
その一文が何かを訴えかけてくるかのように、いつまでも頭の中から離れない。
この人、同じだ、お母さんと………。
ミサコは不意にそう思うと椅子から立ち上がり、エレベーターを待つことさえせずに階段を駆け下りた。
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