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第二十話 不思議なこと

 トモキは車を運転しながら、助手席をチラッと見た。


 ミサコは窓から何か変わった様子がないかとしきりに眺めていた。


 探しているのはカエル化現象。


 目的は、発生現場で生中継をすること。

 

 社会問題化している事案を社会部に属する職員が取材するのは当然なことだった。


 もう一つ、世間に謎を投じているものとしてバタフライ現象もあったが、それについては社会部だけではなく、局としても取り上げるほどの必要性を認めなかった。


 そのため、取材対象から外されていた。


 そして、ミサコが本当に関心を寄せているものは別にあったため、事あるごとに部長から叱責されていた。


 まともな仕事をしろ、と。


 だからこそ、ミサコは彗星の撮影と予言者アゲハの調査で早出をするついでに、自分が通常業務もちゃんとしていることを証明しようとしていた。


 よほど勝気なのか、対抗意識があるとでも言うべきか。


 どちらであるにしても、駆り出されたトモキとしてはハタ迷惑なことだった。


「彗星はどうでしたか………?」

「もちろん、見つかったわ」

「アゲハの情報は………?」

「それは、まだ見つかっていないわ」


 トモキの問いかけにミサコが片手間的に答え、会話が途切れる。


 いつものことだった。


 トモキがそれらのことに興味がないのをミサコは知っているからだ。


 それでもあえて聞いたのは、ご機嫌をうかがうためでもあった。


 案の定、トモキの遅刻の件は、だいぶクールダウンしているようだった。


 良きにしろ悪しきにしろサバサバしており、ある意味では瞬間湯沸かし器のよう。


 そんな性格のために、きっと、他人には理解されにくいタイプなのだろう。


 そろそろ三十路を迎えるにもかかわらず、いまだに独り身なのも、そのせいなのかも知れない。


 トモキはハンドルを握りつつ、チラッとミサコの横顔を見てそう思った。


「止めて!」

「………!?」


 と、突然、ミサコが言う。


 咄嗟にブレーキを踏むトモキ。


 が、車が急停車したものの、特にこれといったものは見当たらない。


 これは、ひょっとしたら………?


 まさに、トモキがそう予感した時だった。


 やや前方にボールが跳ねてきた。


 その直後、それを追いかけてきた男の子が車道に飛び出した。


 どうやら横の公園で友達と遊んでいたようだったが、もし止まらなければぶつかっていたタイミングだった。


 やっぱり………。


 時折、ミサコは不思議なことをする。


 事前に危険を察知して避けるかのような行動を。


 霊感でもあるのかな………?


 だからトモキはそう勘ぐったりするのだが、ミサコはいつだってそのことを気にする素振りさえ見せなかった。


「もう、いいわ」

「はい………」


 このお姉さんに感謝しないとダメだぞ!


 トモキは何気ない顔でボールを持って公園に戻っていく少年を見ながらそう思いつつも、またアクセルを踏んだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


“何となくいい感じ”と思われましたら、広告の下にある「ブックマーク」と「☆☆☆☆☆」のポイント評価をいただけると嬉しいです^^


これからも、皆さまに楽しんでいただける作品を作っていきますので、よろしくお願いしますm(_ _)m

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