第十二話 記憶の中の少女⑤
………やがて回想を終えたノボルは、改めて小さいケースを開けて中に入っているネックレスを見た。
それから、小物整理ボックスを開けて手鏡を取り出し、右耳の後ろを映してみる。
どう見ても同じものだった。
やっぱり、これは偶然なんかじゃない………。
そして、そう思うほどに、見えない何かが動き出すかすかな気配のようなものを感じた。
と、その時、なんとも力ない音でお腹が鳴った。
どうやら、テーブルの上から漂ってくるおいしそうな香りに反応したようだった。
お弁当を取り出して開けると、大盛りのご飯に、野菜コロッケが二つと、つけ合せのサラダ。
空腹にせかされるようにケースを閉じたノボルは、両手を合わせて合掌をすると、早速、食べ始めた。
不思議なことに、食事の時だけは、疲れがどこかに吹き飛んでいってしまったような気がした。
ところが、あっという間に束の間のリラックスタイムが終わってしまうと、また体に鈍い痛みが戻ってくる。
この頃では、日に日に疲労感が蓄積し続けているのが分かった。
だから、湿布を貼ったところで、もう気休めにしかならないようにも感じられた。
一日を終えた安心感と満腹感とで、急に眠気が襲ってくる。
体の汚れを洗い落としてから、少しベッドで横になろう………。
ノボルはそう思うと、バスルームに向かった。
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