第十二話 記憶の中の少女④
………………孤児院内の一室。
幼い頃のノボルと写真の中の少女。
「ねえ、ノボルくん、見て見て!」
そう言って、二枚の絵を見せる少女。
「光の精と、光の人………? これは何なの?」
「昨日、不思議な夢を見たの………光がいっぱいの夢! それでね、その中に出てきたの!」
「ふぅん、そうなんだ………」
まじまじと二枚の絵を見るノボル。
「でも、この人、人間なのに翼があるって、ちょっとおかしいような気もするけど?」
「人間じゃないのよ。きっと、宇宙人なのよ! だって、テレパシーを使えるの! だから、しゃべらなくても言葉が伝わってくるの!」
「そうなの!? スゴイね! じゃあ、光の精っていうのも同じなの? 人じゃないから、宇宙蝶とか?」
「そうよ! だって、光の人のお使いさんなんだから!」
「お使いさんって?」
「偉い人とかの命令で用事とかをする家来みたいなものよ」
「へぇ、そうなんだ! だけださ、どうしてそんなことを知っているの?」
「光の人が教えてくれたの! 他にも、いろんなことを話してくれたの! でもね、自分のことだけはぜんぜん言ってくれなかったの」
「そうだったんだ? でも、どうしてだろうね?」
「知らないわ、何回も聞いても教えてくれなかったんだもの。だから私は、こう言ったの、ケチっ! って。そして目が覚めたんだけど、そうしたら、これが枕の横にあったの!」
今度は服の内側から引っ張り出したネックレスを見せる少女。
それは、七色にグラデーションする羽を持つ蝶。
が、左半分しかない。
そして、またしげしげと見るノボル。
「どう?」
「それって、手のひらにあるのと同じものじゃないのかな………?」
「そうなの!」
両方の手のひらを開いてみせる少女。
左右どちらの手にも、七色の羽の蝶が刻印のように刻まれている。
「それに、これとも」
さらに、左耳の後ろをみせる少女。
そこには、小さな七色の羽の蝶が刻まれている。
「じゃあ、ひょっとしたら、僕のも?」
右耳の後ろをみせるノボル。
そこにも、少女の左耳にあるのと同様のものがある。
「同じよ!」
その少女の言葉を聞いて戸惑うノボル。
「でも、どういうことなんだろう………? どの七色の羽の蝶も全部同じなんて………それに、ネックレスのは、半分しかないし………」
「そうよね? やっぱりおかしいわよね? 私もそう思うの! ひょっとしたら、ケチって言ったから、そんなことないよって答える代わりにくれたのかも知れないわ。でも、やっぱりケチなのよ! 半分だけなんだから! それに、変なことも言っていたわ!」
「どんなこと?」
「確か、ネックレスの意味がどうのこうのって伝わってきたけど、忘れちゃったわ! だって、ぜんぜん意味が分からないんだもん!」
「そっか………」
「でね、もう一つ、これもあったの!」
さらに、紐をつけて首からかけていた別の物を引っぱり出す少女。
それは、可愛らしいワニの刺繍がされた巾着。
中に入っていたのは、薄っすらと光っている黄金色の羽。
「それは、何なの………!?」
「光の人の羽よ! 一つあげるって!」
「くれたの!? ちょっと光っているよ!?」
「そうなの! 不思議でしょ! でね、これはすっごいんだよ! どんなことでも一つだけ願い事を叶えてくれるんだって!」
「本当に!? それはすごいね!」
「そう、すごいの! だからね、また言ってあげたの、そんなにすごいものなんだから、みんなにもあげればいいのにって。そうしたら、こう答えたの、特別な使命のある人にしかあげないって。もう、本当にケチなんだから!」
「そうなんだ!? でも、特別な使命って何かな?」
「それも教えてくれなかったわ」
「そっか………でもさ、どんなことでも叶うってすごいよね! 一つだけだから、何をお願いしたらいいのか迷ってしまいそうだね」
「ぜんぜん迷わないわ。もう決めているから!」
「ほんとに!? 教えてほしいな!」
「ノボルくんのことよ!」
「えっ!? それって、どういうこと………?」
「いつかノボルくんのために使いたいなって思っているの!」
「そうなの………? 嬉しいな! でも、せっかくだから、自分のために使ってもいいんだよ?」
「いいの! この羽はノボルくんのお願いごとのためにとっておくの! だって、私にはもう一つあるから!」
「えっ!? 羽が二つあるの!?」
「違うわ、ネックレスよ。今は半分しかないけど、もう片方と合わさって一つになったときも願いが叶うんだって!」
「そうなんだ!? スゴイね! じゃあ、僕がそれを見つけてあげるよ!」
「本当に!? なら、約束しよう!」
指きりげんまんをする二人………………。
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