登場人物紹介(依頼1関連)
・ヴァラン・ピールド(18)
163cm51kg
薄い茶色の短髪に青い大きめの目をしている。童顔で大体の人間には15歳前後と見られる。女顔であり、その手の特殊な性嗜好の人間には狙われてもおかしくないルックス。父親のジェイン・ピールドと瓜二つであり、それがハーディ・エムスに狙われる要因となった。
本来の人格はやや気弱だが正義感の強いごく普通の青年。ただ押しに弱く、他人の気持ちを過度に慮ってしまう傾向がある。
文武両道であり、特に学力面では跳び級で高等学院を卒業するほど。ヴァンダヴィルの大学に進学することもできたが、母親のために敢えてフィラデリアに残り二等騎士として治安維持に携わることを選んだ。
母親のエルは「母親として」愛していたが、自分を亡き父と重ねて身体を求めるエルに対し憐憫と悲しみの感情を抱くようになる。それでも精神の均衡が崩れつつある母のために何とか付き合ってきたが、本人のメンタルも壊れかけた所に竹内瑞樹に「憑依」されることとなった。
本編終了後は母が国外追放処分になったのを受け立場が悪くなるも、持ち前の能力もあってフィラデリア騎士団の中核となる。自身の家庭も数年後に持つことになり、良き父親として生きたようだ。
なお、父親がエルの兄であるジェイン・ピールドであることは本編終了後も知らされていない。また、エル・ピールドとの再会は10年以上先のことになる。
それまで本作が続くことがあれば、その辺りに触れることもあるだろう。
竹内瑞樹(享年17)
165cm57kg。おかっぱ気味の黒髪で小柄な少年。やや目つきは悪く、こちらはその手の性癖の人間に狙われることはなかった。
埼玉県の地方都市に暮らすごく普通の少年。といっても自己評価が低いだけで、その学区ではトップの高校に通う優等生であった。
性格的には正義感こそ強いものの、それほど特筆すべきものはない。ただ柔道部ではかなりの強さであり、進学校でありながら県大会上位に入るほど。暴力が嫌いな彼がリミッターを外して実力行使に出た結果が、前世における悲劇を生んだとも言えなくもない。
隣家の幼馴染、原口恵美に片想いをしていた。実のところ向こうも満更ではなく、もう少し接する機会が多ければもう少し早くそのような関係になっていてもおかしくはなかった。
もし原口家が恵美の再婚相手に乗っ取られていなければ、彼女とごく平凡な家庭を築いていただろう。だが、その機会は訪れなかった。
恵美の母親の再婚相手に殺害された後、ヴァラン・ピールドに憑依。その際に「護るべきものを護れなかった無念」「法で裁けぬ悪への憤怒」が歪んだ形で膨れ上がった結果が、「フィラデリアの見えざる刃」を生み出したと言える。
殺人という禁忌を生前に事故とはいえ犯してしまったことで、精神のたがが外れてしまったという面もある。
本編後の動向は不明。ジャニスはエル・ピールドが妊娠中の子供に転生するのではと示唆していたが、本当にそうなるかは未定である。
なお、再婚相手はどこかで再登場する予定。恵美がその後どうなったかという点も語られるであろう。
恩寵「透き通った空気」 恩寵レベル4.5
身体と自身に触れている物を不可視の気体とする能力。発動時間は2分。その間、彼への物理攻撃はほぼ無効となる。また、身体の任意の部分のみ実体化することも可能。竹内はこれを活用して背後から被害者の急所を一撃で刺していた。
僅かな隙間さえあれば侵入できる上、風に乗れば時速50km以上の高速移動が可能。また、30秒ほどで再発動ができるため、非常に捕捉しにくい。ジャニスが捕まえられなかったのもある程度やむを得ないことではあった。
一見無敵の能力に見えるが実は弱点があり、炎や極端な低温の中では活動できない。なのでおおよその場所を把握しそこに火をつけるなどすれば、簡単に殺害可能であったりもする。もちろん毒ガスも有効。
また気体であるため、臭いの粒子は付いてしまう。エルがヴァランこそ「見えざる刃」であると察したのはこのためで、遺留品の犯行声明はあくまでそれを裏付ける決定打である。
本作ではジャニスの存在のためあっさり対応できているが、ハンスが1対1で戦うとなると「切り札」なしで勝つのはかなり難しい相手であった。ハンスがエルを人質にして竹内の行動を封じたのも、それを彼が理解していたからである。
・エル・ピールド(38)
170cm65kg、B92W66H90
長い金髪と青い目が印象的な妙齢の美女。歳のせいかやや肉付きが良くなっているが、それが返って肉感的な魅力となっている。昔はもう少し締まった身体だった。
フィラデリア騎士団長。この若さで一都市の治安維持を担う騎士団のトップというのは実はなかなか異例であり、実際それだけの手腕があった。若い頃は自ら現場に出向き捜査活動を行っていたようである。
この関係上、捜査に必要な一通りの魔法は修めている。対象の属性を調べる「鑑定」もその1つであり、彼女のそれは本職顔負けの精度であった。また、剣術もやや衰えたとはいえ十分な腕前。
生まれについては本編の記述通り。2歳上の兄、ジェインとは共依存の関係であり、貧しさの中支え合う中で禁忌を犯してしまった。そして永遠に会わないという約束の元、ジェインは開拓者の国カルディアへと旅立つこととなった。
不幸中の幸いであったのは、エルは既に騎士師範学校で頭角を現していたことであった。ヴァランはエルが暴漢に襲われた時に生まれた子として認知され、騎士団の庇護の元育てられた。このため、母子家庭でありながら比較的良好な環境の下で彼らは生きていけたといえる。
ジェイン死去を知り、9年前に自らフィラデリア赴任を志願。そして1年前からフィラデリア騎士団長の職に就く。
騎士団長としては厳格な職務態度で知られた。それだけに本編終了後に追放処分を受けたことは現場に相当な波紋を呼んだようである。
また、「厳格で有能な騎士」というペルソナを被ることへのストレスが彼女の心を徐々に蝕んでいたのもまた事実である。母としてもヴァランを一人前に育てねばというプレッシャーがあった。
そこにエムスからの脅迫・肉体関係の強要を受けたことで精神が限界に達し、実の息子であるヴァランに極度に依存するようになる。それは言葉遣いや態度こそ大人のものであったが、一種の幼児退行に近い状態であった。その帰結が近親相姦という禁忌である。
ヴァランが彼が以前愛していた兄にして「夫」のジェイン・ピールドの生き写しであったのも不幸なことであった。竹内の憑依がなければ、どこかしらでヴァランが彼女を刺すか、全てを打ち明けられた彼が心中に踏み切っていただろう。
本編終了後はカルディアのモラント商会会頭であるジェフリー・モラントの元で家政婦としての教育を受けることになる。
なお、依頼1から十数年後に再登場の予定があるがそこまで本作が続くかは未定である。
本質的には真面目で几帳面な人物であり自責的な性格。なおややマゾの気がある。
・ジェイン・ピールド(享年30)
165cm54kg
エル・ピールドの実兄。外見的特徴はほぼヴァランと同じだが、目元に泣きぼくろがある点は明確に違う。
エルと別れた彼は開拓者・冒険者「ジェムス」としてカルディアに渡り、ヴラド大橋建設プロジェクトに携わることになった。
武芸の腕の高さに加え整ったルックスもあり、冒険者の中ではリーダー格として活動していた。ヴラド大橋建設は困難を極めていたが、彼の友人であるパウル・ソーリスが12年前に憑依されたことで一気に話が動き出す。
パウルの中の人物は都市計画に明るく、かつ建設に関する知識も有していたようである。そして、彼とジェインの協力を得て大橋は完成。寂れた村であったフィラデリアの基礎も短期間で築き上げたが、これはパウルとジェインの能力あってこそのことであった。
その過程で一般の商会として「フィラデリアの黒曜石」を立ち上げたが、対立する冒険者グループとの抗争が激化。その中で部下であったハーディ・エムスにパウル共々殺されている。
ハーディは商会の乗っ取りと共にジェムスを犯すつもりであったようだ。ただ前者については、人望が不足していた彼では掌握は不十分であった。後者はジェイン(及び同席していたパウル)の必死の抵抗にあり不首尾に終わっている。
なお、生涯独身であった。そのルックスから女性、及び特殊な趣味を持つ男性から非常に慕われたが、「最愛の人がいる」と頑としてそこは曲げなかった。無論、パウルとの関係もBLではなく純粋な友情である。