神隠し48
土器を創ろうと想像したら埴輪と土偶が出来て、ガラスの器を創ろうと想像したら切子細工の器が出来た。
ついでにってことで、切子細工の器へカキ氷をと想像してみれば、氷の質は天然氷で、カキ氷の触感は喫茶店で最近売り出してた雪ようなふわふわカキ氷。
なぜか和三盆のスイとメープルの2つシロップが創造出来たし、練乳もだな。
いやいや、メープルシロップは別として、和三盆のスイと練乳は、完全に素材ではなく加工品だろっ!
素材でなく加工した品も想像しだいで創造できるなら、なんでもありだな。
まっ、想像できないした品が素直に創れないんだけどなっ!
「しかし…葵様は、滅茶苦茶ですわねっ!
真素操作で物を創り出された方など初めてですわよ‼
もっとも、真素操作で物が創り出せるなんて考えた方も居られないでしょうけれど…規格外過ぎますわっ!」
いゃぁ~そんなこと言われても…照れますなぁ~
「誉めてないですわよっ!」
なんですとぉっ!
「なんで意外そうなんですかぁっ!」
なんか分からんが…すんまそぉ~ん。
「んっ、もぅ!」
淑女が地団駄踏むんじゃありません!
「葵様…無言でヒューデリア様を煽らないでください。
しかし表情1つで意思を伝えるなどと、器用なことをされますなぁ~」
アリンさんが、そんなことをな?
「えっ!表情でですか?」
「いや、無意識なんですかっ!」
え~っとぉ…
「そんなに表情へ出てました?」
反射的に尋ねてしまったよ。
「ええ、何時も以上にですね。
明らかに態とだと思っていましたよ」
それほどまどにかぁっ!
「別に何時も通りにしていたつもりだったんだが…」
思わず人差し指で頬をポリポリってな。
「しかしヒューデリア様も言われておられましたが、真素操作で物を創り出すなど、前代未聞ですぞ。
しかも、既に土などのレベルを越えてられるではないですか!」
「あっ、やっぱり、アリンさんも、そう思います?」
俺が告げるとな、ヒューデリア嬢が不思議そうに…
「どういうことですの?」ってね。
それを聞いたアリンさんが、空かさずフォローを。
「さきほど葵様は、真素操作で放った土塊を見られ物を生み出せるのでは?っと仰ってられました。
それを元に埴輪や土偶を創り出された訳ですな。
次に創り出されたガラスの器も土の延長と考えれば、納得できますし、氷も水を凍らせたとするならば良いでしょう。
ですが、氷に掛かっていた3種の品については説明がつきません。
おそらくは加工品…しかも削ったり形成して焼き締めたり、熱して溶かし加工するよりも複雑な行程が必要かと。
素材1つの単純加工では無いと思われますな」
おしい!ちょっと違う。
「だいたいは、アリンさんが言われた通りですが…掛かっていた1つは樹液を煮詰め造られる品ですね。
不純物を取り除く遣り方と煮詰め方で味が変わるみたいですが、樹液と言う素材だけです。
和三盆のシロップも砂糖を厳選した天然水へ溶かし煮詰めた物ですね。
この和三盆は簡単に言えば砂糖です。
ただし、砂糖を練っては絞り、練っては絞りを繰返し、余分な密を取り去った代物ですね。
練乳は牛乳で造ったジャムとでも言える代物ですよ。
問題なのは植物や動物に由来する品と言うことなんです。
土器にしても、ガラスにしても生物は関わらないですから…」
事態を把握した皆が再び固まったぞ、どったの?




