神隠し47
おもむろにカキ氷を食べ始める、俺。
匙はリビングへ来た後、メイドさんが配膳した紅茶のソーサへ乗ってたティースプーンを使用してるぞ。
こちらの世界でも紅茶が有り、砂糖を入れて飲むみたいだな。
風味が俺の知る紅茶とは違うが、結構、美味いぞ。
ミルクなどは入れないみたいだ。
そんでな、かなりの量である砂糖をドバドバ入れて甘くして飲むのが、こちら風。
底へ砂糖が溶けずに残るって…どんだけぇ~
カルチャーショックを受けた一面でもあった訳だが…そんな思いを経験させてけれた紅茶のティースプーンが役に立つとはな。
うまうま。
「おもむろに、何かを創り出したと思いましたら、なんで、素知らぬ顔で食べ始めてますのぉっ!」
ヒューデリア嬢が非難するようにな。
いや、非難されることとかしたっけか?
「はよ食わんと溶けるぞ」
そう教えてあげる俺は優しいなっ、うん。
「溶ける代物なのですな。
では、お言葉に甘えて…」
そう告げたアリンさんは、青の切子細工器に盛られたカキ氷を攻略しはじめた。
「食わんの?」って、俺はヒューデリア嬢に促してみればさ。
「いただきますわよっ!」って、不機嫌な感じで返された。
なんで機嫌が悪いんだろね?
さっきは埴輪で喜んでたのに…女心は良く分からん?
「これは…ふわふわ、シャクシャクと…美味い物ですなぁ…
冷たいですが、雪、ですかな?
雪を食べるなど聞いたことはありませぬが…なるほど、夏に雪が手に入るならば、ありですな」
アリンさんが関心しながらたべてる横で、ヒューデリア嬢がもくもくと食べ進めているよ。
あんな勢いでカキ氷を食べたら、普通は頭痛に襲われる羽目になるんだが…
実は天然氷で作ったカキ氷は、早く食べても頭痛にはならないんだよ。
これは実際に天然カキ氷を食べた経験で言ってるから間違いないぞ。
理由は分からんがな、実体験に過ぎんのでなぁ。
ただ、ヒューデリア嬢が普通のカキ氷を今のペースで食べたらさ、偉い目に会うだろうが…そこまでは知らんよ、俺。
「大変、美味しゅう御座いましたわ。
淡い雪のような氷に、淡々とした優しい甘味が2つ織り成す味へ濃厚なミルクの甘味が包み込み…
はふぅ、桃源郷へ至るほどの心地でしたわぁ」ってさ。
っか!いきなり食レポ始めんじゃねぇっ!
「ふむ、ヒューデリア様が絶賛される気持ちは、解りますな。
氷を作り出す真操具は高価で希少。
なればこそ、夏に氷を得るのは困難なのです。
手に入れたとしても、物を冷やすのに使用するのが普通で、氷を食べると言う発想などありませなんだな。
しかも削って食すとは…
更に雪氷の盛られた器の見事なこと。
この素晴らしき品で食することで、更に美味く感じられたのでしょうなぁ~」
そのように2人共が感心し通しなのだが…
「俺も勢いで創っちゃったんだが…凄い再現性だよなぁ…
ここまで再現できるとは、思わなかったよ。
それに、アレンジまで出来てるし…ほんと、どういう絡繰りなんだ、これ?」
俺が食べたのは、和三盆のスイと練乳が掛かった天然カキ氷だ。
メープルシロップは掛かってない。
メープルシロップは別で食べたことはあり、合わせたら美味かろうとは、考えたことはある。
それが無意識に実現され創り出されてんだが…
ますます、真素操作てぇのが分からなくなってきたよ。
なんだ、これ?




