神隠し42
ヒューデリア嬢が大人しくなったよ。
アリンさんのイケメンスマイルに轟沈した訳ではあるまいが…ないよね?
兎に角、大人しくなったヒューデリア嬢を放置して話をな。
えっ!テメェは少し紳士的になれ?はははっ、何のことですかな?
「それでですね、火以外の属性も試してみたいんですよ」
そう告げたら首を傾げられたよ。
ありゃあっ、属性っう概念がない?
まぁ日本でも、ファンタジーのファの字もない時代にはさ、属性なんて認知されとらんかったかんなぁ~
ん~、これは4大属性の方だな、陰陽五行、五行相克の方は説明が面倒だわ。
「あちらで大昔に世界を構成する要素として4つの存在があると考えられていたんです。
地水火風の4つ、つまり4大属性ですね。
これは科学知識が発達する前の根拠のない説ですが、物語で扱い易いために使われている言葉なんですよ」
そう告げるとな、理解できたようで。
「つまり、火以外の地、水、風の、いずれかを試したいと?」
「そうなりますね。
取り敢えずは無難な水でしょうか?」
俺が告げるとな、ヒューデリア嬢が不思議そうに…
「なぜ水ですの?」ってな。
う~ん、分からんか…したらさ。
「おそらく除外した理由ですが、風は見えず分かり難いため、地は現在空中ですし、行使できた場合も産み出された代物の重量が不明だからでしょう。
その点、水は見え易く、重い場合は液体なので、最悪でも窓から流し捨てれば良いかと。
そのように認識したのですがよろしかったですかな?」
そう告げられたので、よろしかったですってことで頷いておいたよ。
だってよぉ~何が不満か分からんか?
ヒューデリア嬢が尋ねたいオーラがな。
そんなオーラ満載中の中、下手に口を開くとな。
だからさ、「ウォーターボール」ってね。
火球をイメージしたのと同様に水球をイメージして放つと、火球と同様に現れた水球がヒュンってな。
結界内へと至り着弾と同時に弾ける。
結構な威力じゃね、これ?
続けてウインドボールって風球を。
思わず螺旋○と言いそうになったよ。
そら拙いだろがぁっ!
でぇっ、アースボール、つまり地球だが…流石に地球と言う惑星は現れなかった。
ホッ。
けどな、ヒュンって同じくブッ飛んでって…ガゴォォンッと大きな音が着弾時にな。
メチャ威力あんじゃね?
間違っても、これで狙われたくねぇわ、俺。
轟音で威力のほどが分かったのだろう、2人とも…いや、俺を含めた全員の顔が真っ青だな。
リビングに鏡を置いたの誰や?
今、自分の顔を見たなかったわっ!
「凄く頑丈な結界ですのね」
いや、そこ?そこなの、ねぇっ!
「そうですね。
あの結界が無ければ多大なる損害が発生していたでしょうな。
レクイア鳥へは被害が及ばずとも、鳥車がどうなっていたか…
下手をしたら鳥車が瓦解して空中へ放り出されていた恐れも…」
いや、なに、その予測…怖いわっ!
「ははははっ、飛んでる鳥車内での真素操作検証…止めね?」
乾いた笑いしか出んわっ!
「そうした方が、よろしいかと」
「そうですわね」
使用人の皆さんも頷いてらっしゃる。
満場一致となりやしたから中止です、中止ぃっ!
恐過ぎるわっ!




