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神隠し33

皆さんが食事に夢中になり挨拶に来ないなら好都合。

その間に食事を進めるのみだな。


だが、なんだか違和感をな。

ああ、そうか…俺達3人は飢餓と言えるほどの空腹感に苛まれてないと言うことだ。

これは、どう言うことなんだろうな?


不思議に思いヒューデリア嬢へ訊いてみることに。

「ヒューデリア様」

「なんでございますか?」

「鳥車内と同じ環境と言うことは、我々も同様に飢餓感を覚えるのでは?

 昼の鳥車内にて味わったような飢餓感を覚えないのですが…これは一体?」


そう尋ねるとだ、ヒューデリア嬢でなくアリンさんがね。

「おそらくは、昼に鳥車にて食事をしたためかと。

 これは私の推測なのですが、膨大な真素に囲まれた際に体が過剰反応を起こし飢餓感を覚えるのかと思われます。

 それに対し十分な真素を含んだ料理を食すことで体が膨大な真素に馴染んだのではないかと」


「それってさ、真素を体に取り込んだからってこと?」

これは、アレだ、アレ。

小説お得意の膨大たる魔力ってヤツだろ?

チート一直線にて、俺ツエッってか?

魔力を計る水晶を砕いたり、溶かしたり、砂塵とかしたりさ、定番だよね。


そんなことを思っている俺へアリンさんが困ったようにね。

「いやいや、人と言うか、生き物が真素を体内へ保持したりはできませんよ。

 まぁ、息をすればすった空気を体内へ取り込みますし、水分を摂ってもですね。

 だが葵様が仰っているのは、そう言うことではないですよね?」


そんなアリンさんの言葉にヒューデリア嬢が反応してな。

「体内へ取り込めるのは定まってますわよね?

 十分に食した直後に暴食しようとしても無理なのと同じでは?

 何処へ許容量を越えた真素を人の身へ留めるのかしら?」

素朴な疑問って感じで…いやね、何処へって言われても…不思議空間?


「いや、でも…聖女様とかは膨大真素を操るんだろ?」

思わず尋ねたんだが…


「そうですけど…なにか、ご不審な点でも?」

そう返されてしまう。

俺、何か勘違いしてるか?


「その真素ってさ、自分の真素…つまりは体内真素を扱ってるんじゃないの?」

小説界の常識だよね?


「そんな訳あるはずがないですわっ!

 それほどの真素体内へ取り込めば、人の身など耐えられず破裂しますわよ」

なにそれ恐い。


「葵様は膨大な真素を操ると言うことを勘違いされておられるようですね。

 真素は何処にでも存在し、その量は量り切れるものではありません。

 世界に満ち満ちている訳です。


 そのような真素を全て感じ操れる者など居りません。

 真素の極一部を感じとり操るのみなのです。

 ただ、その感じとり操れる量は人の感性により異なるのです。


 聖女様クラスになられると、膨大な真素を感じとられるのだとか。

 しいては、それが膨大な真素を操ることに繋がるわけですね。


 招かれ人が特殊とされるのは、この真素を感じとる感性が優れているからと言われているようですよ」

そうアリンさんが詳しくレクチャーしてくれました。

ヒューデリア嬢の説明より分かり易いんですが…困ったものです。

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