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神隠し20

朝一から鳥車にて移動した訳だが、鳥車屋上展望を満喫していると時が何時のまにか過ぎ去ったようで…

鳥車内へ戻ると昼間近になっていたよ。


まぁ、朝もゆるりとした目覚めを迎え、穏やかに朝食を頂いてからの馬車移動。

鳥車へ辿り着いたのは10時半は回っていただろう。


ゆえに昼食となるのも分からなくはないのだが、本当に鳥車内にて調理をしているとは…

調理中ゆえの芳しい芳香が漂っているからな。


これほどまでに暴力的な香りをダイレクトに浴びせられれば、否応なしに腹が減ると言うものだ。

2人も同様のようで、引き寄せられるようにダイニングルームへと。


「鳥車の結界に欠点があるとしたら、まさしく、これですわね。

 異臭は除去されますけれど、芳香と思わしき香りは除去されませんの。

 逆に結界が香りの拡散を妨げますから、料理の香りが際立ちますわね。


 淑女としては、はしたないですけれど…つい香りに誘われてしまいますわ」

そんなことをな。


まぁ気持ちは分からんこともない。

調理している音を伴った香りは胃袋を鷲掴みにしやがるかんなぁ。

むろん、調理中だから昼食の準備は整ってはいない。

まさに、お預け状態である。


ヒューデリア嬢が語るには、淑女が準備が整わない食卓へ着くのは、はしたないことなのだとか。

まぁ、招かれ人たる俺の相手と言うことなれば、例外として見られるらしいな。

ま、本人談だから、どこまて正しいかは分からんが…


芳香に誘い出されたようにダイニングルームへやって来た俺達を、呆れたようにメイドさんが迎える。

昼食には少しばかり早いため、茶菓子を添えてくれたな。


いや、何故かヒューデリア嬢が難しい顔を。

どったの?

「この茶菓子と茶に使われているハーブは、食欲増進効果がございますの。


 美味しく食事を頂くため、お腹の調子を整える目的で食事前に頂くものですわね。

 食せば空腹感も増しますわ」

そう告げて、茶菓子と茶をジィィッっと睨むように見ているな。


腹は減っているから、昼食を待つ繋ぎとしては良さそうだが、食えば余計に空腹になると…

なに、その罠。


俺は男だし貴族でもない、招かれ人でもあるため、多少は品がなくとも許されるだろう。

許されるよね?


だが、アリンさんは貴族だから下品になるような食し方は駄目だろう。

ましてやヒューデリア嬢は淑女としての体裁もあるだろうから、アリンさんよりも品良く頂く必用があるんだろうな。

この空腹極まる状態で、更に空腹感を増す茶菓子と茶を頂いて…上品に静々と頂くと。


なんだ、その拷問。

御免こうむるわっ!


眺めていても仕方ないため、茶と茶菓子を頂くことに。

独特な風味ではあるが、癖になりそうな旨味を感じる。

これは、これで。


観念したヒューデリア嬢も頂き始めた。

そして茶を頂きつつ、俺は気になっていた真素操作について尋ねることに。


「ヒューデリア様は真素使いとのことですが、どのようにして真素を感じておられるのですか?」

そのように尋ねるとだ。

「どのようにですか?

 そうですわねぇ…例えば、お風呂へ入った時にお湯を感じるように、っと言えば良いのかしら?

 真素は辺りに漂っておりますから、私達は、その真素の中には浸かっているとも言えますの


 ですから、真素は常に身近にあり、五感でも感じることができると認識することが肝要かと」


う~むぅ、分かった、理解困難であることが重々分かったよ。

なに、その抽象的な説明、分かるかぁっ!


そして…さっきの茶と茶菓子で目茶苦茶腹が減ることが、否応なしに分かったぜっ!

腹が減ったぁん。

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