神隠し19
ヒューデリア様との挨拶を終えた後、それを俺達は鳥車へと。
アリンさんとヒューデリア嬢にはお付きの方々もおり、彼らも一緒に行動しているよ。
意外と大所帯だなっ、をい!
まぁ、郷家ご令息に領家ご令嬢ともなれば貴族か何かだろう。
なればお付きの1人や2人はいても不思議ではあるまいよ。
不思議なのは、そんな2人が俺の側仕えの如く振る舞っていることだ。
いやさ、俺…一般人なんやけど…
これで俺が真素操作できんかったら…どうなるんやろね。
胃、胃がぁぁぁっ‼
そんな俺の気持ちなど知らんプイッって訳ではないのだろうが、2人は実にニコヤカに俺をエスコートしてくださる。
いやさ、真素が操れるか分からないからさ、胃がマッハで…ね。
鳥車内は意外と広く天井も高い。
実は2階もあるそうだが、そちらは天井が低く狭いそうな。
っても、普通の馬車と比べたら倍近い広さなんだてさ。
いや、どんだけやねんなっ!
しかも2階からは屋上へと上がることも可能らしい。
屋上って外だよね?
飛行中だと風圧で吹き飛ばされるよね。
でも着地している時に屋上へ上がっても意味なくね?
そんなん思っているとさ。
「しかし…各所へ結界を施した鳥車と聞いていましたが、これほどの規模だとは…
雨風を防ぎ、結界内は適温と聞いておりますが?」
そうアリンさんが尋ねいるぞ。
「そうですわね。
埃なども通しませんが、内部は操具により、常に清潔に保られておりますの。
ですから鳥車内での飲食もよろしくてよ」
機内食ならぬ鳥車内食ですか、さいですか。
軽く、そう思ってるとな。
「おおっ!噂の鳥車内厨房で調理された料理が堪能できる訳ですなっ!」
そうアリンさんが興奮したように。
って、ちょっと待てぇぇいっ‼
「鳥車内厨房って、まさか飛行中に調理したりせんよな?」
思わず尋ねるとだ、2人がキョトンとして俺を見る。
なんぞ?
「いや葵様、鳥車内へあつらえた厨房ですから飛行中に使用するのでは?」
アリンさんが不思議そうにな。
「いやいや、飛行中だったら揺れたりするだろ?
そんな不安定な場所で調理なんかしたら危ないじゃないか」
そうだよね?だと言うのにさヒューデリア譲がね、困ったように告げる訳よ。
「いえいえ葵様、鳥車はそこまで揺れませんわよ。
今も揺れてないではありませんか」っと。
って、へっ?
「今、ですか?」
思わず首を捻るとヒューデリアが困ったように…
「あら、もしかして…既に飛び立っていることに、お気付きではありませんの」ってさ。
いやいや、マジでぇ?
思わず鳥車の窓から外を見ると、大地ではなく大空が見えていた。
マジだったようで…何時の間に…
鳥車内は静かであり、揺れは全くと言って良いほど感じない。
2人に誘われて屋上へと上がると…そこには絶景が。
いや、これさぁ、高所恐怖症の方だったら気絶するんじゃね?
だが、地球では味わえないと思えるほどの絶景だったよ、うん。




